ランダム化比較試験論文の読み方(標準編概説)

 ランダム化比較試験に関する基本的な解説は、マガジンに収載されている過去の記事で概ね終えている。この記事ではランダム化比較試験論文の実際的な読み方を解説する。なお、今回は「標準編概説」と題し、研究結果の妥当性を批判的に吟味するというよりはむしろ、研究の概要とその結果について、簡便な把握を可能とする読み方に主眼を置いた。また実際の論文を用いた解説は「標準編(詳説)」で言及する。

ランダム化比較試験論文を批判的に吟味するための主な論点

 ランダム化比較試験といえど、その結果の内的妥当性は研究手法に依存する。ランダム化比較試験を批判的に吟味するための論点を以下にまとめる。

ランダム化比較試験論文を批判的に読むための論点
❖ランダム化されているか?
❖論文のPECOは何か?
❖盲検化されているか?
❖ITT解析されているか?
❖追跡期間と研究脱落状況はどうか?
❖一次アウトカムは明確か?
❖検討されたアウトカムは真のアウトカムであったか?

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 とりわけ盲検化の有無ランダム化の保持状況被験者の追跡状況は研究結果の内的妥当性に大きな影響を与えるファクターである。ただし、標準編では以下の論点が確認できれば十分である。

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