【コラム】反復可能な知と反復不可能な知の狭間を思考する
科学的な装いをしているものの、科学とは異質な営みを疑似科学と呼びます。代表的な疑似科学にホメオパシー医学を挙げることができます。
ホメオパシーとは、ドイツ人医師ハーネマン(1755 - 1843年)が創始した医学体系であり、レメディーと呼ばれる「ある種の水」を含ませた砂糖玉が、あらゆる病気を治療できると称するものです。
科学と疑似科学を明確に線引きすることは困難であるという指摘もあります(伊勢田.2003)。例えば、東洋医学体系に基づく漢方薬は科学なのでしょうか、それとも疑似科学なのでしょうか。このように考えると、登録販売者が扱うOTC医薬品の多くもまた、疑似科学性の問題と無縁ではないことが分かります。
今回の記事では、「科学的合理性に著しく反する図書を図書館はどう取り扱っているのか : 聞き取り調査を手がかりに」というタイトルの論文をご紹介し、科学的な知識(反復可能な知)と疑似科学的な知識(反復不可能な知)を考察したいと思います。なお、ご紹介する論文は以下より全文にアクセスすることができます。
科学リテラシーと図書館の役割
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