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【出来つつある形】2020年J1リーグ第3節 FC東京×川崎フロンターレ


【スタメン】

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【前半】ちぐはぐな東京を冷徹に刺す川崎

川崎のキックオフで始まった前半。
東京はガンガン行こうぜのハイテンションで来ると思いきや大人しくその場にステイ。

2020年ver戦術兵器にアップデート中のジェジエウからDF-MF間の家長に楔が入るまで僅か13秒。今年の川崎はCBから縦につける傾向が高いとはいえここまで音速でそれが出るとは思っていなかった。

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守備の時の東京は、4-2-3-1の並びで安部・Aシルバ・高萩で川崎中盤3枚捕まえましょうという感じ。それがハッキリと見えたのが上図5:30のシーン。
中から運ばせず外へ外へと追いやりたい。外に追いやり絡め取ったらディエゴのおっちゃん(CV:見取り図盛山)でカウンター。

サイドに封じ込めたいはずが、登里・長谷川の川崎左サイドコンビにダミアン・中盤を交えて縦→縦で突破される場面もあり、それもちょっと怪しい雰囲気。スペースは確かに狭かったのだけど、ボールホルダーを捕まえられてはいない。

そんな東京の守備に対して川崎はサイドから東京DF-MF間に斜めにボールを入れてシュートチャンスを狙う。ダミアンがそこで収められれば中盤に前を向いた状態でボールを届けられるが。といったところ。
東京の不運なボールロストもあり長谷川のシュートまで繋がったのは前半11分だった。

立ち上がりはイーブンというかどちらも流れを作り切れない中で、先制したのはアウェイ川崎。

左サイドのスローインをダミアンが収めて大島に落としスーパーミドルで先制。鹿島が嫌われているゴールポストに我が軍は愛されている。
今季ポジションを1列上げて得点も期待されている大島だが早速3節でのシーズン初ゴール。

大島のシュートが上手いのは勿論だけど、東京側も高萩とAシルバで大島と家長どっち見ますか?に対応できなかったところも。

先述した通り東京の中盤はマンマーク色の強く、直前のプレーまで大島を見ていたのは高萩。スローインの直前でボールサイドに寄って来た家長に付いてきたAシルバ。家長・大島2人のマークの受け渡し(になるのか?)が出来ておらず大島に時間を与えてしまった点も痛かった。

先制された東京は失点直後こそ川崎の最終ラインにプレッシャーをかけたものの、すぐに腰が引けてしまったのか、川崎にプレッシャーをかけられない。

プレッシャーがかからないなら自由にボールを回しましょう。という川崎は先制の6分後に追加点、更にその5分後には3点目と立て続けにゴールを奪い、試合の3分の1を消化したところで試合を決定づけてしまう。

川崎にとって2点目は新加入山根の躍動、3点目は今季の形である右サイドからファー狙いが決まったゴールということもあり理想的な攻撃になったわけだが、

東京側にとっては、序盤に見えた守備の綻びとは違う、戦術とも個人の問題とも言えないようなメンタルの問題に見えてしまうようなプレーの連続。足が止まり川崎の攻撃に制限を与えることが出来ずやられるがままといった印象かもしれない。

そして前半の終盤、東京は4-2-3-1(変則的な4-3-3?)の配置からレアンドロを1列上げた4-3-1-2に変更する。
カウンターで2トップ+トップ下の安部を絡めてチャンスを作りたいという意図かと推測する。

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しかし足は止まったままの東京の前線は、川崎の最終ラインにプレッシャーをかけることは無く、その後ろでは脇坂・大島の動きについていく高萩・Aシルバがスペースを空けてしまい、制限のかからない川崎最終ラインからそのスペースに縦パスを通されて立て続けに中央を割られてしまう。

サイドに追いやろうって守備だったと思うのだけど。。
特に35分前後は東京サポにとっては地獄のような時間だったと思う。

前半の内に高萩に代えてアダイウトンを入れて4-4-2へと変更するもチャンスらしいのはCKのみ。逆に45分には再び長谷川のゴールで4点目。予想外スコア4-0での前半折り返しとなった。

【後半】開始10分で決した勝敗

ハーフタイムで更に2人を入れ替えた東京。
東に代わって紺野、中村に代わって室屋が入り、並びはレアンドロをトップ下に置いた4-2-1-3(4-2-4)で後半がスタート。

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レアンドロは自由度の高いポジショニングで川崎のDF-MF間でプレー。両WGが大外に張り、川崎SB-CB間を広げてそこに侵入してチャンスを作る。

また、前半は殆ど見られなかった川崎DFへのプレスも発動し高い位置でボールを奪いシュートまで持ち込む。4点ビハインドなので当たり前だけど、ここでギアをMAXに入れて早い時間でのゴールを狙っていた。

プレスに面食らったかどうかはわからないが、川崎にとっては受けに回り耐える時間帯に。押し込まれたときに脆さが露になるのが例年の川崎ではあるのだけど、中央を割られたシーンは1度くらいだったか。

先述の通り、SB-CB間が広げられる場面がありピンチになりかける。この時、中盤のフォローが必ず為されるわけではないのだけど、失点を覚悟するようなシーンは作らせなかった。ジェジエウ・谷口コンビの強さが光る。

後半開始の10分少々を凌いだ川崎は、長谷川とダミアンで58・59分と立て続けに決定機を作るがゴールは決められず。早い時間のゴールに望みをかけていたであろう東京の攻撃を凌ぎきったことで、実質の勝敗は決したと言っていいだろう。
60分前後で両チームともに選手を交代する。

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東京もトーンダウンしたことで、前半同様に川崎がボールを自由に扱えるようになる。4点のリードがあるので無理に攻めることは無いのだけど、時折、大島が最終ライン裏にパスを送るなどして隙を伺う。

川崎の2度目の交代によって両WGと両IHが入れ替わり、前線のプレス強度が上がる。左WGに入った齋藤は元気すぎて守備の歪みを作ってしまう場面もあったけれど。。

ガソリンを使い切った東京に対し、ゲームのラスト30分でギアを上げた川崎。旗手のビッグチャンスはゴールに繋がらなかったが、無失点で締めて2連勝。味スタの多摩川クラシコでは良い思い出ばかりである。

【昨年の強みは何処へ】

長谷川健太東京と言えば、4-4-2でブロックを作り中に入ろうものなら潰し切ってリーグ屈指のアタッカーで素早く攻めるチームだったはずだが、今節はその色は全く見られず。

攻撃に比重を置いた結果ということでもなく、11人が去年の記憶を失ったレベルでちぐはぐなサッカーに終始してしまったという印象。
前半部分で書いたような前線と中盤の守り方の不備というところもあるのだけど、球際に激しくこないFC東京というのは珍しい。

中3日での再開2戦目というのは当然あるとしても、敵チームながら心配するレベルである。ディエゴもケガをしている様子だったし、レアンドロ、Aシルバは試合序盤からメンタルが不安定と、ネガティブなシーンを見つけようと思ったら片手では足らなくなりそうだ。まぁ大量失点での負けだからそれはそうなんだけど。

前半の中盤から守備への切り替えが遅くなったあたり、次節のトランジションの鬼であるマリノス相手にも厳しい戦いとなりそうである。今節の敗戦から切り替えられなければだけど。

【出来つつある形をどう変えていくか】

再開後2連勝となった川崎。
自由にボールを出し入れ出来すぎたところは多分に有るあるかなと思う。なので全てを手放しで喜んでいいわけではないだろう。今節ほど自由に持てたのは一昨年のホーム清水戦以来か。あの試合も大島無双なゲームであった。

とは言え、開幕節はまだまだ未完成だった攻撃の形を作り結果も出しているのだから喜ばしい限り。右から左で仕留める形は鳥栖戦に比べれば段違いだ。得点パターンになりつつある形は家長・長谷川コンビあってこそ。
そこにダミアンも絡み3トップの連携に磨きもかかってきている。

再開2試合で既に3トップは競争で2~3歩リード出来たと言えるが、ここに小林・中村憲剛が戻った時にどのような肉付けがなされるのかが気になるところ。左で作って右で仕留めるというのがルヴァンカップでチラ見した形だったと思うが、どの顔を見せてくれるのか妄想が捗る。

気になったのは中盤3人の守備。
内容の部分で少し触れているが、川崎の中盤はDFラインのカバーにはあまり入らずにぼかしてる感がある。それで今節はピンチらしいピンチは少なかったから良いのだけど、そこを執拗についてくるチームが今後は増えてくるのだろう。

鹿島・東京とトップ下を配置するチームが続いたことが原因だとは思うが、センターの田中が中央に残ってプレーしており、そこも開幕戦と大きく違うポイントであったと思う。中盤で数を合わせてこない相手でもそうするのかな。個人的に気になってるところ。

川崎はなぜか次節まで中2日の強行軍。今節のスタメンを見る限り、鬼木さんは変えないで行きそうな気はしている。

今回はこの辺で。それでは。


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