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キラリ、夏。


気温は38℃を超えるような真夏日。
夕方五時のチャイムが胸に響いても、まだまだ明るくて、それでも風は夕方のそれで。

バトミントンの羽根がクルクルと空に流れる。
ラケットのほんの少し先を掠めて落ちて、十も続かないラリーにお互い「風のせい」と笑いあう。

とまらない汗。

もういっそ濡れてしまえばと、タライと水でっぽうを、用意する。なんだかんだと毎年の夏。
推しポンプ式の水でっぽう。
押し出す加減で、遊びがあるのが楽しい。

水の軌道。
放たれた水は、空に丸く、キラキラッと舞いあがり、そして、時間差でビタビタッと落ちてくる。

ビタビタビタッ!

アスファルトは、濡れたそばから乾いてゆくほど熱く、シュポシュポ飛び交う水曲線が、アートのように濃く染めてはもどる。

私も娘たちも、頭からずぶ濡れで、Tシャツもリネンのチノパンもビッタビタになりながら、互いにかけ合う水にふざけて。

どうでもよくなる。
楽しくて、はちゃめちゃに。


あんなにも暑く、外に出るなんて正気じゃないほどだったのに、ずぶ濡れな私たちを夕風が冷まし、
「さむっ!」と、ポタポタ滴を落とした。

包まるバスタオルの温かさ。

そのまま風呂場で浴びた温水シャワーに、
「あったか…」と、もらす声。


もう、私よりも大きな娘たち。

水でっぽうの夏は

あの水玉のきらめきは

ふざけたまま憶えておく



暑い夏の
冷たくてあったかい、キラリ。




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