「読書感想文」物語のなかとそと
江國香織さんの散文集です。
物語を読んでいる間、私の身体はそこにあるのに、私は物語の中にいる。この散文集を読んでいる間、私の身体はこたつに入ったり、お湯を沸かしたり、ストーブの前でくるんとしていたりするのだが、私は江國香織さんと話しているのだ。美味しいものについて、パンに、お風呂に、旅について。江國さんは、嘘のように本当を話し、本当のように心地いい嘘をつく。あたたかいスープをすするように、ゆっくりと味わいながら、彼女の話を聞いているのだ。
お正月がおわり、時計がいつもの冷