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チェコ買い付け日記 ㉗「リベレツへ行く理由」

リベレツまでのバスは満席でした。
平日の11:00にバスで1時間の街へ、みんな何をしにいくのでしょうか。
と言う私も古本を探すために、という不思議な理由でリベレツへ行くのです。

リベレツはチェコで6番目に大きな街と書かれています。
ただ6番目と言ってもかなりのんびり、こじんまりとしています。

行きが満席だったので着いて早々に帰りのバスのチケットを取っておこうと、チケット売り場と思しき場所で尋ねたのですが、英語が通じない。
英語がわかる人に説明してもらった場所へ行ってみても、それらしい窓口が見当たらない。
ネットでは今回もクレジットカードではじかれる。
とりあえずチケットは後回しにして、お腹が空いたので昼食にします。

街の中心部の広場に建つ市庁舎の地下がレストランになっています。
ずっと食べたいと思っていた牛肉のタルタルがありました。
チェコ語ではタタラーク。
香辛料や調味料を混ぜた生の牛肉をカリッと揚げたパンに乗せて食べます。タルタルを乗せる前に、生のニンニクをパンに擦り付けるとさらに美味しい!
ビールと合います。
もう一つ、もちもちしたじゃがいも団子の中にひき肉が入っている料理も食べましたが、これは名前をメモするのを忘れました。

いくつかの古書店をまわります。
あまり大きな街ではないけれど、古書店がいくつもあります。
本だけでなく古い楽譜やリベレツの昔の観光パンフレットなど面白いものがたくさんありました。

チェコでは古本がきれいな状態でたくさん残っています。
日本とは違って乾燥した気候なのも良いのでしょうか。
1930年代や40年代の本が表紙も色あせることなく自分の手に乗っているのを見ると、紙の本が大切にされている国なんだと実感します。
もちろんデジタルは便利だし、私も生活の大部分がデジタルに移行しています。そのうち本もデジタルで十分と思える日が来るかもしれない。
それでも、紙の本で見るイラストや文字に特別な気持ちを持ってしまうのは不思議です。
同じものをデジタルで見たときとは違う気持ち。
本を開くことで、密かに閉じ込められていたものを見つけたような気持ちになるのでしょうか。
誰かにこれをうまく説明して欲しいものです。

小さな街で、行きたかった店は半日で回り終えました。
帰りのバスチケットは来た時に降りたターミナルから15分ほど歩いた場所にあるバスロータリーであっさり買うことができました。
行きはあんなに満席だったのに、帰りの車内はガラガラです。
プラハからのバスに乗ってきた人たちは泊まるのか、他に目的があって次の場所を目指すのか。

夕方のきれいな光の中をバスはプラハへ向かって走ります。

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