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チェコ買い付け日記 ㉙(最終回)「空港探訪」

日本に帰るときが近づいてきました。
この頃はまだコロナ禍で、ワクチンの接種にかかわらず日本への帰国72時間前にPCR検査をして陰性の判定が必須でした。
街中の検査場は事前にウェブでの予約が必要だったので、予約がいらない空港の検査場へ。
空港は地下鉄とバスでプラハの中心部から40分ほどです。乗り換えは1回。
プラハは乗り換え駅でも日本のターミナル駅ほど大きなものはなく、迷うことはありません。

来たときはUberで、空港からホテルまで車でした。
今回の旅の前に空港からホテルまでどうやって行くのがいいか、何度も調べました。
前回の旅ではベルリンから車でチェコへ来たため、チェコで公共交通機関を使ったことがなかったのです。
初めてで全く勝手がわからないから重い荷物を持って電車やバスはやめておいた方がいい。でも一人でタクシーやUberも…などと不安なことは尽きませんでした。
それがこうやって「迷うことはない」と思えるようになるなんて。
スマホでルートを簡単に調べられるということもあるけれど、自分に度胸がついたということが、この旅での一番の収穫です。

PCR検査の翌日、無事に陰性のメールが届きました。
すんなりと日本に帰れます。

朝6時の飛行機なので4時には空港にいなくては、ということで最後の日だけ空港の目の前の「いいホテル」に泊まります。
晩ご飯は空港の中のレストランへ。
セルフ方式で、旅行客も働く人も利用する食堂という感じです。

プラハのヴァーツラフ・ハベル空港はいつ行っても混んでいるということがありません。
広い通路をゆったり歩く人、掃除用の機械に乗ってのんびり進んでいくスタッフ。
食堂も同じで、客もスタッフものんびり。

外の席で、飛び立っていく飛行機と空港で働く人たちの休憩時間を眺めながら、私ものんびり、最後のチェコビールを楽しみます。
噂話(のような雰囲気)をしたり、同僚と挨拶はするけれど違う席に座ったり、食事の後に軽くメイクを直したり。
当たり前だけれどどこの国でも変わらない風景です。

翌日はせっかくの「いいホテル」を楽しむひまもなく、念のためちょっと早めの午前3時半にチェックアウトです。
時間が時間なので閑散としたロビーを想像していたのに、エレベーターのドアが開くと同じ飛行機に乗るであろう大勢の人でごったがえしていました。
まるで午前10時ごろ、チェックアウトタイムのようです。

歩いて30秒の空港へ。
もちろん空港の飲食店は閉まっていますが、店の作りがオープンなので、テーブルは旅行者たちで満席です。
ソファー席や椅子を並べ、リュックを枕に眠る人も。
もしかしたら早めにチェックインが始まるかもしれない、という淡い期待をよそに、チェックインが始まったのは4時半。
せっかく目の前のホテルに泊まっていたのに、私たちもオープンしていない飲食店の客として1時間を過ごしたのでした。

飛行機はロンドン経由でした。
乗り継ぎだけですが初めてのロンドン。
飛行機を降りてヒースロー空港の待合ロビーに入ります。
驚いたのは同じヨーロッパなのにプラハのヴァーツラフ・ハベル空港とは格段に違う華やかさ、にぎやかさ、人の多さでした。
多種多様な人々が思い思いのファッションで世界中からここに来ている。
もちろんチェコにもいろんなルーツを持つであろう人、おしゃれな人、華やかな人はいました。
けれど、経由地であるヒースロー空港は世界がぎゅっと凝縮された感じがします。

行きの経由地ドーハや、今まで行った、経由した空港もそれぞれ違った雰囲気があったことを思い出します。
もしかしたら空港はその国、その土地の縮図なのかもしれません。
こんな空港があるロンドンはどんな街だろう、田舎町も行ってみたいと思いつつ、「それはまた別のお話」です。(「別のお話」があるのかどうかは分かりませんが。)

この旅で3回行ったプラハのヴァーツラフ・ハベル空港もチェコという国を象徴していたような気がします。
ブルノから戻ってきたときに大都会だと感じたプラハだけれど、今思うと観光客で賑わう場所は限られていて、少し歩くとのんびり、ゆったり、少し寂しげなイメージが残ります。
けれど、私が見たチェコはチェコの中のほんの一部分でしかありません。
そんなチェコをもっと隅々まで見たいという気持ち。
この買い付け日記を書きながら、まだまだまだまだ、もっともっともっともっとチェコを知りたいという気持ちを再確認しました。

第1回(?)チェコ買い付け日記はこれでおしまいです。
第2回目も書けることを願って。
読んでくださった皆さま、ありがとうございました。



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