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チェコ買い付け日記㉖「10年後の自分に驚く」

日帰りでリベレツという街に行くことにしました。
これは東京の浅草橋でチェドックザッカストアというチェコのものを売るお店をされている谷岡剛史さんの本『チェコへ、絵本を探しに』(産業編集センター)を読んで行きたいと思ったのでした。
私がこの仕事をしてみよう、なんて考えたこともなかった10年以上前に読んだ本。
チェコはヨゼフ・ラダとミロスラフ・サセックの国、ビール美味しい、くらいの知識で、チェコいいなー、行ってみたいなーとぼんやり思っていた頃。

時々、10年後の自分は何をしているのだろうと考えることがあります。
でもまさかチェコに買い付けに行くなんて、本で読んだその場所へ古本を探しに行くなんて、その時の自分は想像もしなかったこと。
人生ってわからないものだなあ、といろんなところで聞く言葉だけれど、本当に。その言葉を実感します。
今から10年後、私はいったい何をしているのでしょうか。

リベレツへはCerny Most という駅からバスで1時間。
早めに起きて最寄りの駅から地下鉄に乗ろうとしたのですが、なぜか入口にシャッターが降りています。
電光掲示板には私たちが乗りたい線がトラブルで、少し先の駅からしか動いていないと表示されていました。
電車のトラブルは万国共通、いつも思ってもみないところで起こります。

どうしようかと相談していると、男の人が「どこまでいくんだ」と声をかけてきました。
Cerny Most まで行きたいと言うと、ここまでトラムに乗って、ここは歩けるから、と行き方を教えてくれました。
チェコの人たちは日本の人たちと似ていて、あまり積極的に声をかけてくるわけではないので、まさか助けてくれるためとは思わず、初めは私たちに何が起こっているのかと聞いているのかと思いました。
少し考えれば、東洋人がほとんどいない状況でわざわざ私たちに「今何が起こってるの?」と聞くわけはないのですが。
こんな時に気にかけてもらえるのは嬉しいものです。

うろうろと迷いながら教えてもらった駅まで辿り着くと、すでに地下鉄は全線で復旧していました。


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