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【web3.0】IDの役割変化

 これまでのアカウント・IDにおいて、個人の信用と匿名性は同じ橋の両端に位置し、フォロワーが増えるにつれ後天的に相互が交わることはあれど、基本的には相対する評価項目だった。
本noteはこれまでのアカウント管理とブロックチェーン下でのアカウント管理を、特にメタバースの分野で対比し、留意すべき点を綴ろうと思う。

これまでのID管理

 snsの台頭に個人の発信が容易になった現代は、権利が個に戻ってき始めたように思う。出始めたころは、公序良俗の匙加減が個人に委ねられた時期もありつつ、法が後追いする形である程度の形成を保っている。
これはプラットフォームという母体があり、各国当局があるからこそできる手法で、各国に法人がない場合は問題解決に時間がかかるものでもある。

 要するに母体からIDを受け取り、好きに運用できると同時に母体に対して要望や改善点なども直接やりとりできる。
母体から見るとユーザーの動向に注意を払い、その国の法に準じた形で管理しなければならない。

 noteもそうであるように、多かれ少なかれ「アカウント」とという物を触れていると思うし、snsの問題・課題などは割愛し次の項に進みたいと思う。

メタバース下でのID管理

 メタバース、特にソーシャルをメインに運用しているプラットフォームを例に出すと、諸問題が起きた際、運営に連絡し改善を求める形になる。私が知る限りでは、完全web3.0型のプラットフォームを見かけないので、とりあえず現在はこれが一般的。
公序良俗に反する者への対応はアカウント同士でのミュートなども併用し、法にまで触れる案件では運営が対処しなければならないのが当然の仕組み。ただしこれには難点もある。

 不快であることは人の尺度で変わり、全員が納得する形など須く存在しない。すでにしたい人vs.してほしくない人で価値観の統一など崩壊しているのだから、そこから生まれる議論など着地しないのは当然だ。

 そうなると多様性とは人ではなく、集団に適応すべきだと思う。もちろんメタバースにおいてであって、実社会は地域など物理的作用が生まれるので、今回はとりあえず横に置いておく。

 個人的に多様性とは、誇示する権利ではなく受け入れる覚悟だと思っているので、「これが私の多様性」みたいな押し付けはスルーでいい。場のルールさえ守ってくれれば誰でも問題なし、そぐわない人は住みやすいルールのところに自然と流れていく。

 実際にこれを行なっている方々も散見するし、逆にスルーで良いところにお気持ち表明をしてしまう層もいる。ネットリテラシーという言葉ができたが、それを搭載・拡張したメタバリテラシーが、この「島ごとスルー力」だと思う。

ブロックチェーン下のID管理

 ブロックチェーン、いわゆるweb3.0とメタバースが相性がいいのは、パラレルな社会に個体識別ができるようになるからなのだが、初めに述べたように本来は個の信用性と匿名性は相反する場所に位置している。ここの感覚をweb3.0に合わせてアップデートしておかないと、従来通りの認識で使ってしまい後手後手になりかねない。

 端的にいうと、web3.0では信用性と匿名性が切り離された技術革新である。web3.0型を使う上で確実にウォレットを作ることになるが、ウォレットの中のすべての動きが全世界に公開され隠し事が一切できない、分散型台帳。ただし、そのウォレットが誰のものなのかは匿名性があり、自身がどこかで公言しない限り誰の所有ウォレットかはわからない。

 匿名性が守られるのであれば、メタバース上の動きもあまり変わらないように思うかもしれない。好きな発言をしたところで旗色が悪くなったら雲隠れできるのは、snsの特徴の一つとも言えるから。しかしそうはならないのがブロックチェーンのすごいところ。

 アバターとは3DCGの自分の分身であるが、ことweb3.0においてはウォレットアドレスの方が自分のアバター(化身)であると思う。分離されたもう一つの自分、そしてウォレット内はブロックチェーン下で一意に情報を改竄できない。リアルでいう個人情報に近く、3DCGはこの本質的アバターの外側、見た目にすぎない。

 AIが話題になり始めた時に、有識者はこぞって言っていたことがある。良識にそぐわないツイートやポストは直ちに消しなさいと。機械の処理能力が段違いになると過去のネガティブな発言が掘り返され、もしも法や条例の変更が叶い、業務使用遵守のもと個人snsを評価の指標に取り入れて良い、となれば慌てふためくのは目に見えている。

 これはweb2.0型のアカウント運用、任意のものを任意のタイミングで自分で消すことができる。さてブロックチェーン下ではそうはいかない。そのアカウントで過去何をしたかブロックチェーンには残る。どれだけ弁解したとて事実は秒単位の時刻まで正確に指し示す。

 そのアカウントを消して仕舞えばいいと思うかもしれない。だがウォレットの中の各種トークン達はどうするのか。現行の世界のお金はどう動いたか分からない。俗にいうマネーロンダリングが可能だ。だがブロックチェーンは消したい過去が入ったウォレットから、暗号資産・NFT等を新しいウォレットに移したことさえ事実として残る。汚れてしまった過去のウォレットアドレスはどんだけ高価なものを持っていたとしても、別運用するしかない。孤立させるしかない。

まとめ

 要するにweb3.0内とリアルを同性質で運用する必要はなく、本音と建前をさらに明確に分離した形になりそうだ。建前の部分はもう「ここだけの話」すら話さないようにする。ブロックチェーン下では、不意の言動がどこでどう作用するか分からないから。皆が良き振る舞いをすれば栄えていくweb3.0型メタバースを見届けたいものである。

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