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箱の中身はなんだろな

とあるショッピングモールのトイレへ向かった。
そこはまあまあ広い空間で、手洗い場と用足し場(便宜上そう表記する)の間に花壇が設置されているような、華やかなトイレだった。
そこで僕は用を足し、手洗い場に向かおうとしていると、小学生くらいだろうか、まだあどけない表情をした五人くらいの子どもたちがいつの間にかそこに居た。
彼らはその幼い表情とは裏腹に、白や黒、グレーといったモノトーンの色が配色された学校制服のようなものを着ていた。今思えばおかしいのだけれど、彼らの中には女子生徒もいるようだった。

その時そのトイレには僕とその子供たちしか居なかったので、なんとなく「こんにちは」と声をかけてみた。他に誰か、例えばおじさんなんかが数人いればそのまま出ていっただろうが、ほんの気まぐれというやつだ。声をかけてみることにした。

すると、子供らは朗らかな表情と声でもって「こんにちは!」と返してくれた。ふうん、今どきの子供はなかなか良い挨拶をするではないか、なんておじさんみたいなことを考えながら、「何年生?」とまた声をかける。すぐに「四年生です!」と答えが返ってくる。
なんとなく、「知らない子供」と「知らない大人」にあった壁がなくなったような気がして、続けて「それ、制服?」と質問してみた。まさかここまで会話が続くとは。
中のひとりである女子生徒が「中高一貫なんです!」と答えた。いや、それを言うなら小中一貫だろ、と心の中で突っ込みながらも「そうなんだ!制服を着ているから中学生かと思ったよ」と応えた。
すると女子生徒は不思議そうな顔をして、「中学生…?」とこぼした。他の子供らも同じように不思議そうな顔をしている。
僕は少し慌てながら「小学校のあとは中学生になるんだよ。知らないかなぁ」と言うと自分らの中で合点がいったのか、
「ああ、えっと、僕たちの学校ではそうじゃなくて、10年生まであるんです」という驚きの答えが返ってきた。

小学校と中学校を合わせても9年間なのだから、あるとしても9年生までだろう。だってそれじゃあ卒業時に同年代の子らとは1年ズレてしまうではないか。
それか、5-6歳から入学していて、世間との足並みを揃えているのだろうか。僕が知らないだけで、そういう学校もきっとあるのだろう。ただ、残念ながら確かめる術は今、無い。

「そうなんだね。それにしても、君たちはしっかりしてるね。」
僕がそう言うと、彼らはお互いの顔を見ながら、嬉しそうにはにかんだ。
それじゃもう行くね、と言おうとすると、男の子が近づいて来、
「あの、これ」
とサッカーボールくらいの大きさの箱を渡された。その箱を少し観察してから、
「なんだい、これーーー」と言い目の前を見ると、もうそこに子供らの姿はなかった。

箱の中身がカタ、と音を出した。
何故だか僕は急に恐ろしくなって、背筋に冷や汗が流れ落ちるのが分かった。
恐る恐るその箱の蓋を開けると、一体の人形とA4サイズくらいの紙が入っている。その人形は人型のもので、なんとなくだがカウボーイに見えなくもない。見開かれた両目は虚空を見つめ、口許には緩やかな笑みが浮かんでいる。

紙には『開けないでください』と書かれていた。

途端、箱の中の人形が飛び出し、すさまじい風を起こしながら高速で辺りを飛び回り始めた。びゅんびゅんという音がそこらにこだまして、まるでハウリングかのようにどんどん音圧を増していく。その音はすぐに例えようのないくらいの轟音になり、僕は思わず耳を塞いだ。

『開ケルナト、書イテアッタロウニ』

"それ"は、物凄い低い声と、馬鹿に甲高い声が混じったような恐ろしい声を僕にぶつけて来る。耳をふさいでいるはずなのに、その声は体の芯にまで響いてるように感じる。

『良イカ、"次"ハ、開ケルナヨ』

そう言うと轟音と風圧が一気に増し、辺りは粉塵が渦を成して竜巻のようになり、僕の視界はブラックアウトした。

ハッとして目を開けると、僕はそのトイレの中に一人で居た。
手の中にあった箱も、例の人形もいない。もちろん子供らも居なくて、そこに居るのは、ただ僕一人だけであった。

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という物語を今日、昼寝をしていたら夢で見た。
全然意味がわからない。子供とかなんの伏線でも無い…謎しか残らない。10年生ってなんだよ。あるあ…ねーよwww
出来の悪いホラー映画みたいで、逆に面白くなったので書いてみた。

で、今書き終わって、公開ボタンを押そうかなとしていると来客があった。
誰かが玄関の向こう側から声をかけているようだったので、「はーい」と返事をしつつ玄関のドアを開けると、そこには誰もおらず、前の通りを走る車のゴウっという音くらいしか聞こえなかった。
不思議に思ったまま玄関を閉めようとしたところ、足元に見つけた。

あの箱を。
箱の中からカタ、と音が聞こえた。


おわり

こんな駄文をいつも読んでくださり、ほんとうにありがとうございます…! ご支援していただいた貴重なお金は、音源制作などの制作活動に必要な機材の購入費に充てたり、様々な知識を深めるためのものに使用させて頂きたいと考えています、よ!