灯火の本当の意味が分かっていない人が多すぎる

 車を運転していると、夕方や早朝など薄暮の時間に、前照灯どころかポジション灯すらも点灯していない車がいる。
 しかも、そのような車に限って薄暮に紛れてしまう保護色に近い色が多いように思う。
 そういった無灯火で保護色に近い色の車は他車から極めて視認されにくいのだが、おそらく運転している本人は「自分からは他の車が見えているから安全」と思い込んでいる。
 どうして、無灯火で薄暮で保護色に近い色の自分の車が、自分が他の車を認識できているのと同じように他人に見えていると、そのように思えるのだろうか。
 公共の場での車の安全は「自分が他人にどのように見られているか、自分の動きで周囲がどのように動くのか」に細心の注意を払って、しかも他人に急ブレーキを踏ませたり急ハンドルを切らせないようにすることが重要だと思う。
 しかし「自分は周りが見えているから周囲も自分を絶対に見ているので、予測する必要はないし気配りする必要もない」と絶対の自信を持っている人も、少なからず存在しているように見える。

 交通の安全には、必要最低限のルールの元で車同士の信頼が必要になるのだけれども、その多数の信頼の上に胡座をかいている人が少なからず存在している。
 その中で最も危険なのは、周囲に迷惑を撒き散らしながら走っているDQN車ではなく、一見して普通に見えるのに周囲に全く気を配っていない車の方であるように思う。
 DQN車は自ずからアピールしまくっているので、周囲が危険を感じて事前に回避しようとする。しかし一見して普通の車は、周囲が危険を感じないので真性のDQN車と同じ危険な動きをした場合、周囲の回避行動が遅れる傾向にある。
 DQN車を手本にしろとは言わないが、一般の車でも周囲に積極的にアピールすることは非常に重要で、誰にでも可能なその手段がポジション灯であり前照灯なのである。
 冒頭にも書いたが特に重要なのが、夕方や早朝の「逢魔が時」とか「薄暮」と呼ばれる時間帯。
 この時間帯に、ポジション灯や前照灯の真価が問われる。
「自分の目で他の車が見えているから安全」
 ではなく
「自分の車が他の人から見えていない前提で、いかにアピールするか」
 ということが、非常に重要になる。
 多くの色が薄暮に紛れて、見えにくくなってしまうからだ。
「自分が見えているのだから、他の人も絶対に同じように見えている」
 このような思い込みは、車を運転する上で非常に危険であると言える。
 自分が見えているということについては、他の車がポジション灯や前照灯を点灯しているから、ということも少なからずある。
 自分の目が良くて、多少暗くても問題なく見えるということもあると思うが、それは個人の特性であって他の人が同じように見えるかというと、そのようなことは絶対にないと言える。
 ポジション灯や前照灯の非点灯は、点灯している車と比較すると相対的に自分の存在感を消していることになる。
 つまりは、他車から認識されにくいので、そこに存在していないものとして、周囲の認識から消えてしまう可能性が高くなる。

 実際に先日、薄暮の時間に信号のない横道から右折しようとして、車が途切れたと思って出ようとしたら、通過したワンボックス車のすぐ後ろで無灯火の黒の軽乗用が完全に気配を消して追走していた。
 幸いにして、少し頭を出して後続車を確認した時にギリギリ視認できたので、飛び出して事故になることはなかった。
 ドライバーは若い女性でハンドルを抱えるようにして運転しており、こちらに一度も視線を向けることはなくというか前照灯を点灯しているこちらの存在にすら気付いている様子はなく、前走車しか見えていない視野狭窄の状態になっているように見えた。
 前照灯を点灯すべき明るさになっているということにすら、おそらくは気付いていない。

 周囲に注意を払うことが出来ないのであれば、せめて、薄暮になったら自分が他の車を視認できているかどうかに拘わらず、ポジション灯を点灯する習慣を付けて欲しいと思う。
 自分の場合、カーナビの空の表示が朝焼け夕焼けになったことや、メーターパネルの文字が読みにくくなる明るさを、ポジション灯点灯の目安にしている。(※最近の車は、メーターパネルのバックライトが常時点灯していたり自発光しているものが多い)
 他には、他車がポジション灯を点灯しているのを目安にしている。能動的な判断ではあるが、早めに点灯して存在感が浮いている車が必ずいるので、個人的には問題は少ないと考えている。(周囲に気を回せない人は判断材料に出来ないと思うけれども、そのような人は正直運転適性に疑問が残るが……)
 最近の車はポジション灯と前照灯の自動点灯を選択できるものが増えているので、積極的にその機能を使用することをお薦めしたい。

 車を運転する全員が薄暮の段階でポジション灯や前照灯を点灯する習慣を付けるだけで、路上でのヒヤリハットは激減すると断言できる。
 ポジション灯と前照灯は、自分の視界の補助の役割は二の次で、いかに周囲にアピールするかというところが重要であり、その意味するところは二輪車のヘッドライト常時点灯の法制化にも見ることが出来る。

 こんな文章を書いても多分、運転しない人や気を付けている人にしか届かないんだろうなぁ……とは思う。|ω・`)

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