「もうこの歳になると、誕生日なんか嬉しくないよ」
誕生日。
一年に一度しか訪れない、特別な日。
子供の頃。
誕生日は、心待ちにしている最高の日だった。
普段なら買ってもらえないだろうプレゼントが貰える。ケーキだって食べられるし、お寿司も食べられる。誕生日パーティをしているって人も結構いた。
何より、一年でいちばん祝福されている日だった。
子供は成長が祝福される。
彼等にとって誕生日は、また1歩、大人に近づくことが出来た節目の日。
大人になるにつれて、歳をとることは老いることに変わっていく。
「 もうこの歳になると、誕生日を迎えても嬉しくないよ」
何度も聞いた言葉。
親だったり、お世話になった学校の先生だったり。彼らの誕生日なのに、ささやかな愚痴をこぼしていた。
そうか。これから先、誕生日を嬉しいと感じることは少なくなるのかもしれない。
いつだったか。
そんな僕の考え方を、がらりと変えてくれる言葉をかけてくれた人がいた。
「年をとると、誕生日って嬉しくなくなるのかもね。後は老いるだけだ、って。」
そんな僕に、君は言った。
「大人にとってからの誕生日は、1年を平穏に過ごせたことに感謝して、それを祝福する日なんだと思う」
親が誕生日を迎えたとき、君の言葉を捧げようと思う。
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