見出し画像

私たち先進国の豊かさの源泉、「生産性」と、たった3分で誰にでもできるブラック企業の見分け方について

父は「努力しなさい」と私に話します。

努力すれば報われるから、たくさんの努力をしなさいと、私に話してくれます。


☆☆☆


努力はほんとうに報われるのだろうか。一生懸命がんばって仕事をすれば、盲ろう者(目と耳両方の障害者)の私でも、経済的に豊かになれるのだろうか。

私は社会に対して論理的に考えます。社会にはどのような法則性・規則性があるのかを考えるのです。


つまり、「社会を科学」します。一番最初の問題は「努力の有効性」について。まずは、

(マンキュー経済学マクロ経済学編21ページより)


”世界全体を見渡したとき、生活水準の格差には圧倒されるものがある。

2008年のアメリカ人の平均所得は4万7,000ドルであった。

同じ年、メキシコ人の平均所得は1万ドルで、ナイジェリア人の平均所得は1,400ドルであった。”

このように、世界には、国ごとに極めて大きな格差がある。

もし、努力と経済的な豊かさに正の因果関係があるのならば、平均的なアメリカ人は、メキシコ人の4.7倍も日々努力していることになる。


また、マンキュー経済学の論文が正しいのならば、平均的なアメリカ人は、ナイジェリア人の33.5倍も努力をしていることになる。

ほんとうはどの国の人も同じだけ努力をし、一生懸命に仕事をしているのに、各国の生活水準にはあまりにも大きな格差がある。


さらに、メキシコ人やナイジェリア人がアメリカに移民すると、所得はアメリカ人の平均所得までいかないまでも、自国で労働していたときよりもより収入が増加する。

たとえば、優秀なメキシコ人がアメリカへ移民することで、アメリカ人の平均所得を得られたとする。


その場合、メキシコ人がアメリカへ移民するという行為は、メキシコ人が自国でがんばって働くことの4.7倍(4万7000ドル÷1万ドル=4.7倍)努力したことを意味する。

また、同じように、優秀なナイジェリア人が自国で働かず、アメリカに移民したとする。

この場合もアメリカで働くことでアメリカ人の平均所得である4万7,000ドルの所得を得たのであれば、ナイジェリア人がアメリカへ移民するという行為は、その人が自国で努力して働くことの33.5倍(4万7,000ドル÷1,400ドル=33.5倍)の価値があることになる。


ここで分かることは、「努力論」では移民という現象に適応できず、論理が破綻していることである。

努力と経済的豊かさには因果関係がない。努力した人は皆豊かだ。だから途上国の人間は努力が足りない!というわけではないのである。


私たち先進国の国民は、途上国の国民より33倍も常に努力しているわけではない。そこまでハードワークはしていない。

努力以外の変数が作用しているからこそ、私たち先進国の国民は、豊かなのだ。


では、その変数とは何か。

ここから先は

1,807字

¥ 100

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?