私たち先進国の豊かさの源泉、「生産性」と、たった3分で誰にでもできるブラック企業の見分け方について
父は「努力しなさい」と私に話します。
努力すれば報われるから、たくさんの努力をしなさいと、私に話してくれます。
☆☆☆
努力はほんとうに報われるのだろうか。一生懸命がんばって仕事をすれば、盲ろう者(目と耳両方の障害者)の私でも、経済的に豊かになれるのだろうか。
私は社会に対して論理的に考えます。社会にはどのような法則性・規則性があるのかを考えるのです。
つまり、「社会を科学」します。一番最初の問題は「努力の有効性」について。まずは、
(マンキュー経済学マクロ経済学編21ページより)
このように、世界には、国ごとに極めて大きな格差がある。
もし、努力と経済的な豊かさに正の因果関係があるのならば、平均的なアメリカ人は、メキシコ人の4.7倍も日々努力していることになる。
また、マンキュー経済学の論文が正しいのならば、平均的なアメリカ人は、ナイジェリア人の33.5倍も努力をしていることになる。
ほんとうはどの国の人も同じだけ努力をし、一生懸命に仕事をしているのに、各国の生活水準にはあまりにも大きな格差がある。
さらに、メキシコ人やナイジェリア人がアメリカに移民すると、所得はアメリカ人の平均所得までいかないまでも、自国で労働していたときよりもより収入が増加する。
たとえば、優秀なメキシコ人がアメリカへ移民することで、アメリカ人の平均所得を得られたとする。
その場合、メキシコ人がアメリカへ移民するという行為は、メキシコ人が自国でがんばって働くことの4.7倍(4万7000ドル÷1万ドル=4.7倍)努力したことを意味する。
また、同じように、優秀なナイジェリア人が自国で働かず、アメリカに移民したとする。
この場合もアメリカで働くことでアメリカ人の平均所得である4万7,000ドルの所得を得たのであれば、ナイジェリア人がアメリカへ移民するという行為は、その人が自国で努力して働くことの33.5倍(4万7,000ドル÷1,400ドル=33.5倍)の価値があることになる。
ここで分かることは、「努力論」では移民という現象に適応できず、論理が破綻していることである。
努力と経済的豊かさには因果関係がない。努力した人は皆豊かだ。だから途上国の人間は努力が足りない!というわけではないのである。
私たち先進国の国民は、途上国の国民より33倍も常に努力しているわけではない。そこまでハードワークはしていない。
努力以外の変数が作用しているからこそ、私たち先進国の国民は、豊かなのだ。
では、その変数とは何か。
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