見出し画像

2023.11.10 公明党に対して「公開質問状(2)」を送付しました。

公明党から、回答があったことは、下記に記したとおりです。

しかし、この回答は、消費税への言及が乏しく不十分なものでした。
そこで、詳細にお聞きしようと考え、下記の通り、改めて公開質問状を送付しました。

公明党
代表 山口那津男 殿
公開質問状(2)
2023(令和5)年11月10日

インボイス制度の中止を求める税理士の会
インボイス制度に反対する司法書士の有志の会

ご回答ありがとうございました。
我々の質問に御回答頂いたことに、まず感謝致します。

さて、御回答は、我々の質問に直接お答え頂いてないように感じました。
御回答は、消費税について4行、軽減税率について3行、インボイス制度について5行の記載となっておりました。我々は、消費税の本質部分についてお聞きしたのであり、軽減税率やインボイス制度についてお聞きしておりません。インボイスに関するご質問だと勘違いされているかもしれませんので、確認のためにご指摘させて頂きました。

改めて申し上げますが、我々が送付した公開質問状は、2023年9月26日の公明新聞の「国に納めるべき消費税が事業者の手元に残る「益税」の解消につながることも重要だ」という解説について、①消費税法の規定、②東京地裁の裁判例、③国会答弁と異った解説、あるいは誤った解説ではないかというものでした。①②③で述べられているとおり、消費税法において、消費者に納税義務はなく、事業者も消費者から消費税を徴収する義務はありません。消費者が支払うものは、取引対価たる売買代金のみであり、本体価格とは別に消費税や消費税相当額を預かることはありません。
これに対する御党からの御回答は「消費税は税制改革法及び消費税法において規定されておりますが、 事業者を納税義務者としつつ、その負担は消費者に求める間接税です。この点については、ご指摘の判決や財務省の答弁とも整合するものと考えております。」というものでした。この回答では、公明新聞の記載と、①消費税法の規定、②東京地裁の裁判例、③国会答弁との整合性が取れているのかが不明確です。
先日の我々の質問が抽象的すぎたため、お答えしにくかったのかもしれません。そこで、もう少し細かくお聞き致します。

(問1)2023年9月26日公明新聞記載の「国に納めるべき消費税が事業者の手元に残る「益税」」とは、どのような意味でしょうか。また、「益税」の基になる金銭は、誰が支払った、どのような名目の金銭なのでしょうか。

免税事業者は国へ消費税を納める義務はありませんので、『免税事業者が「国に納めるべき消費税」』はそもそも存在しません。また、上記①②③の消費税法や財務省の主張によれば、消費者は事業者に対しては対価の支払いをしているのみであり、消費者が事業者に対して消費税を支払っているわけでもなければ、預けているわけでもありません。
しかし、公明新聞の表現では『消費者が、事業者に「国に納めるべき消費税」を支払ったにもかかわらず、その「国に納めるべき消費税」が納税されずに事業者の手元に残る「益税」が生じている』という趣旨としか解釈できないと思います。
これらを踏まえて、公明新聞記載の『国に納めるべき消費税が事業者の手元に残る「益税」」とは、どのような意味なのか、お答えください。

(問2)「この点については(中略)整合する」とは、何と何がどのように整合しているのでしょうか。

回答文を素直に読めば、「事業者を納税義務者としつつ、その負担は消費者に求める間接税です」という点が、「ご指摘の判決や財務省の答弁」と整合すると読むと思います。しかし、このように読みますと、公明新聞に掲載された「「国に納めるべき消費税が事業者の手元に残る「益税」」との統合性はどこにも説明されていないことになります。これでは、御党は、先に挙げた①②③全く質問への回答をしていないと解釈せざるを得ないことになります。
おそらく、御党は適切な回答だとお考えなのでしょうが、残念ながら我々には御党の考えを読み取ることが出来ません。つきましては、何と何がどのように整合しているのについて詳細な説明をお願い致します。

(問3)「消費税は(中略)事業者を納税義務者としつつ、その負担は消費者に求める」における「負担は消費者に求める」とはどのような趣旨でしょうか。

この点につきまして、我々は、「負担は消費者に求める」と記載できないと考えています。以下に、我々の考えを述べていきます。
先に述べたように、消費者が事業者に支払うのは、売買代金のみであり、消費税相当額を預かることはありません。
また、理論上は消費者が消費税相当額を負担するという考えも、今回のインボイス導入により間違っていることが明らかになりました。具体例を挙げて説明していきます。
インボイス登録は任意であり、課税事業者の義務ではありません。そのため、インボイス登録をしていない課税事業者が存在しています。そのため、インボイス登録をしていない課税事業者A社からB社が仕入した場合、インボイス導入前と同じ仕入れ額であっても、B社は仕入税額控除ができず、その分の消費税を納税しなければなりません。一方で、A社は課税事業者ですから、今までと同じように売上に応じた消費税を支払います。この一つの取引で、納税される消費税額が、インボイス導入前と比較して増加しています。そして、ここで増加した消費税を負担するのは、明らかにB社です。負担する消費者は、どこにも出てきません。このように、消費税と消費者は、切り離された存在なのです。
また、消費者相手であっても、消費税の実質的な負担者が消費者だということはできません。いまは多くの分野で価格高騰が起きています。価格高騰により仕入れ値が上がっても、それを全額転嫁してしまうと消費者が離れてしまう可能性があります。そのため、全てを価格転嫁できず、利益を削って、消費税を納入することになるのです。この場合に、仕入増額分の消費税を負担するのは、明らかに事業者です。実社会においては、個々の取引を見た場合には、消費者が消費税相当額を負担しているといえないことも少なくないのです。
結局、「その負担は消費者に求める」という言葉には、理論的にも、また実社会においても何ら裏付けがあるわけでもありません。消費税と消費者は切り離された関係にあり、事業者がその売上から消費税を納めることが消費税の本質なのです。
そこで改めてお伺いしますが、「負担は消費者に求める」とはどのような趣旨でしょうか。詳しくご説明ください。

(問4)『国に納めるべき消費税が事業者の手元に残る「益税」』が存在すると信じた方から、免税事業者が、「本来は納めるべき消費税を着服している」「本来納めるべき税金をポッケナイナイしてズルイ!」などと、誹謗中傷を受けていることをご存じでしょうか。

(問5)公明新聞の記載は、意図してないにせよ、結果的に免税事業者の誹謗中傷を助長したことになると考えますが、その点について御党はどう認識しているのでしょうか。また、「インボイス制度によって中小・小規模事業者が不当な取り扱いを受けることがないよう、政府とともにしっかりと取り組んでまいります」とご回答頂きましたが、消費税に対する誤解から誹謗中傷を受けている免税事業者にはどのような対応をお考えでしょうか。

以上5点につき、2023年11月17日(金)17時までに info@tnk-tax.or.jpまでお答え頂ければ幸いです。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?