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「自己啓発本はゴミ」という発言

声の大きな人の発言は影響力が大きいのだろうか

先日、ポッドキャストを聞いていたら、作家の石田衣良さんの番組内で、石田衣良さん本人が発言していた。
「自己啓発本なんてゴミだからね」
この発言について深く考えた、とある朝である。

私は普段から、「影響力の強い人になりたい」と思っている。
その理由としては、チヤホヤされたい、というものがある。
自分でいうのも何であるが、私は常にチヤホヤされることを望んでいる。
「尾崎さんってすごいですね〜」
なんて言われることがとても好きなのだ。
つまり、“持ち上げられたい願望”があると言って差し支えない。
そんな存在になっているのが、ポッドキャストで発言していた石田衣良さんである。
普段の生活までは知る由もないが、少なくともこの番組内において、石田衣良さんの立ち位置は間違いなく“チヤホヤされている”位置にいる。
アシスタントが、男女一人ずついるのだが、石田さんが何か間違ったことを言ったとしても、訂正することもないし、異論を唱えることもない。
まさに、“チヤホヤしている”ように見えるのである。

しかし、この番組のすごいところは、そうした番組であるのにも関わらず、ファンが多く存在するということである。
これが、「影響力を持ちたい」と考える要因の一つになっている。
どんなに、棘のある発言を繰り返しても、聞いてくれる人がいるのは大きい。
必ず、自分のファンというのは、自分の話を聞いてくれる。

だから、多くのインフルエンサーは、影響力を持ちたいと願っているし、そのために日々を努力しているのである。
みんな、自分の話を聞いてほしいのだ。
私もそうである。
このように、ブログに考え方や意見を綴る目的は、「私の言葉を聞いてほしい」その一心である。そのために、影響力を持ちたいと考えているのだ。
そんなまどろっこしい考え方をしなくても良いではないか。影響力など持たなくても、自分の意見を聞いてくれる人さえ居たら良いのではないかと考えてしまうが、そんな場所はない。
いや、厳密にはSNSという媒体が各種存在しているのだが、それこそ誰でも発信できる場所となっていて、こんな小さな声では届かないと考えてしまう。
そこで「影響力を持ちたい」という結論に至っていくのである。

そんな影響力の強い人が、「自己啓発本なんてゴミ」という発言をしていた。
この発言だけを切り取ってはいけない。前後の話との関連性も無視できない。
ずっとこの放送を聞いていた私は、この発言が最初は気にならなかった。しかし、石田衣良さんが、この言葉を何度も繰り返していたため、気になり出したのだ。
つまり、前後の言葉によって、自然と出てきた言葉ではあるものの、言葉に棘があることは隠しきれなかったのである。

多くのビジネスマンにとって、時間がないのは言うまでもない事実である。
そんなビジネスマンには、小説などを読んでいる暇などない。
動画は見ても、小説は読まない。
それは、コンテンツとして、費用対効果が薄いからである。
私の知り合いの経営者の中にも、「小説は費用対効果が薄いから読まない」と公言している人がいる。彼の中では、小説などがゴミなのである。
ゴミというのは、その人にとっては“あっても無くていいもの”としての比喩である。
しかし、一人の小説家にとっては自己啓発本がゴミであり、一人の経営者にとっては小説がゴミ。

このように考えてみると、結局は“万人にとってゴミではないもの”を探すことは不可能のように感じられる。
私にとってのゴミは、……。ここで言うのはリスクが高いため、名言は避けることにする。

ある人にとっては、ゴミであっても、ある人にとっては、貴重な財産だったりする。
しかしこれが、個人個人の価値観と同等であるように思うのである。
この“価値観”という言葉は、ビジネス書から引用して、普段から使っている言葉である。このように、私は普段からビジネス書を死ぬほど読んでいることもないが、ビジネス書から影響を受けて、自分の中に入ってしまっている。
小説が好きな私は、小説からしか影響を受けたくないと、普段から考えていても、結局はこのように想像もしていないところからも影響を受けている。
生きている以上、触れているつもりなくても、目にすることや耳にする言葉、感じる空気によって少なからず影響を与えられているのではないだろうか。
それが、大きな意味で“学ぶ”ということなのではないだろうかと思うのだ。

影響力が強い人が「ゴミ」と発言したものを、「ゴミ」と認識することは簡単である。
何も考えず、「ゴミ」のカテゴリーに移動するだけである。
しかし、そこで、自分が心から自己啓発本を愛していたら、簡単に移動させる訳にはいかないだろう。抗うはずである。
つまり、簡単に移動できるほどのモノについて、自分は真剣に考えたことがなかったということに気づくべきなのである。
そこで、その「ゴミ」と言われたモノについて考える必要があるのだ。
このように、人が何かを発言したからといって、“鵜呑み”にするのではなく、“ゴミについて考えてみる”ということの方が自分にとっては重要であり、必要不可欠なのである。
それが、たとえ、影響力の高い人であっても、である。

自分は「影響力の強い人になりたい」と考えていた。
しかし、その立場になることよりも、もっと重要なことがあるのではないかと、考えるきっかけになったのである。

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