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ちょっとモテそうだからモテない

人は見た目が9割という話


ちょっとモテそうっていうのは、一番モテない

「ちょっとモテそう」
「ちょっとカッコいい」

私は高校生の頃から、女子からはウケが良かった。
確かに、身なりには気をつけているし、清潔感は一番大事だと思っている。

しかし、モテない。モテたことがない。

誰に聞いても、「カッコいい」「イケメン」だとモテハヤサレタ。
しかし、現実にはモテナイ。
冗談半分で、チヤホヤしてくる。
モテ期なんて、本当にあるのか?

振り返ってみると、私は昔から、おとなしい女子に好感を持たれやすかったように思う。
小学生の頃には、従姉妹の女の子が好きだったが、その子からも好感を持たれていたのは、薄々感じていた。
しかし、お互い引っ込み思案だったこともあり、思いを告げることなく、なんとなく時間だけがすぎていく。
こうしたパターンが、生涯を通じて多かったような気がしている。

高校二年の時、一つ年上の女性に恋をした。
しかし、彼女には大学生の彼氏がおり、絶望した。
しかししかし! 彼女はことあるごとに私をたぶらかしてきた。

「“ものもらい”ができたから、一緒にお墓参りに付き合って」
と言われたことがある。

まったく、訳がわからない。
いや、言っている言葉の意味はわかる。
しかし、まったく、訳がわからない。
“ものもらい”というのは、目にできる病気の一つだ。それに対して、“お墓参り”をするという。しかも、それについてきてほしいと。

確かに、お墓といえど、歩いてすぐ近くにあった。
彼女の家と、私の家は、五軒となりだった。
近所だからなのか? それとも、私だからなのか?
なぜ、ついてきてほしいのか、わからないまま、ヘコヘコとついていった。
ただ、嬉しくて。単純である。

その日は雨。
元々、距離感がバグっている彼女は、私とアイアイ傘でお墓に向かった。
「一緒の傘で行けば、傘一本でいいじゃん」
という彼女に甘えたが、ドキドキして心臓が口から出そうだった。
歩いている時、「彼女はいないの?」と聞いてくる彼女。
いやいや、いませんよと答えても、またまた〜と言ってくる。
ナンナンダ。これは一体、どういうつもりで聞いてきているんだ? と、訳がわからない。そっちこそ、彼氏いるじゃないか。こっちはいないと言っているのに、私が嘘をついているような対応してくるのは、一体、どういうことなんだ。

その後も、一緒にカラオケ行こうと言われ、行ってみたら二人だけだった。
カラオケ店に入ると、店員さんが彼女の友達だった。
「私の幼馴染なの〜」
と私のことを紹介する彼女。
ん? 幼馴染?? 幼馴染って言っても、彼女とは私が高校一年の時に出会った。
詳しい話は割愛するが、私は彼女と知り合って一年しか経っていない。
近所に住んでいることが、彼女にとっては、幼馴染の定義なのか?
幼馴染というのは、友達以上だよな。でも、彼氏どころか、恋愛対象かもあやしい。
友達以上、恋人未満、っていうやつか?

モヤモヤした気持ちを持ちながら、カラオケを楽しんだのだが、彼女が歌った歌は今でも鮮明に記憶している。
距離感も、会話も、行動も、すべてがズレている彼女に、私は心をもてあそばれて、おかしくなりそうだった。

他にも、「私って、お尻が柔らかいって言われるの」や、「高校でいじめられている」など、どうリアクションしたらいいのかわからないことや、自分はいつから彼女の彼氏になったのだ? と距離感を勘違いするような内容の話を聞いては、惑わされてきた。

こんな彼女を好きになった。純粋だった私の心は、彼女という得体の知れない大海原に溺れた。
しかし結局、私は告白しなかった。勇気がなかったのだ。

そのことを心から悔やんだ私は、それ以降の恋愛では、告白することを絶対の使命とした。好きになったら、好きという気持ちを伝えなくては、絶対に伝わらないんだ。ということを誓ったのであった。

それ以来、好きだと思ったら、告白する。という行動をするようになる。
しかしまた、これが極端だった。
白か黒か、右か左か、私はいつも行動や思考が極端だ。それはこの頃からだった。私も彼女以上にバグっているかも知れない。

10代から20代まで、合計40回以上は告白したように思う。
そのうち、35回以上はその場でフラれた。

おそらく、これほどフラれるのは、性格的欠陥があったことは間違いないが、一番は出会ってから日が浅いのにも関わらず、すぐに告白していたことだろう。
それでも私の告白を受け入れてくれた数人は、おとなしい子ではなく、自分に自信のありそうな快活な子だった。活発な子としか縁がなく、おとなしい女子にはことごとく敬遠された。

ある時、付き合った活発な子に言われた。
「君は、モテそうだから敬遠されてるんだよ」
なんて理不尽なんだ。そんなことがあるのか。

私は、今までの人生、本当に一度もモテ期を経験したことがない。
人に言わせると、それは、モテ期が来ていることに気づいていないだけだという。
モテ期はあったけど、気づかなかった。実際にモテたことは一度もないけど、モテそうだから敬遠されていた、というのか。

私はどうしたら良かったのか、さっぱりわからないが、今では結婚もできているから、まあ良しとするべきなのだろう。
妻は、神に選ばれた人であるのは、間違いない。特別キワモノ好きなのかもしれないが。

「なんだ、自慢話か」
と思った方もおられると思うが、これは、私の悲痛な叫びである。
学生の頃は本当に苦しんだし、真剣に悩んだ。
本当に、本当にと何度も繰り返していると、嘘っぽいから、この辺りでやめておこう。

今でも「若く見えますね」とか、「イケメンですね」「モテそう」などとよく言われる。中高年になって、こんなことを人から言われるのは、ちょっした自慢なのに、もはや私はひねくれた心しか持っていないため、もうすべてを受け流している。
表向きは明るい人を演じているが、実際はネガティブで暗い。実にややこしい性格だ。

人から、清潔感がある、モテそうと、ほめられているのに、ほめられている本人は、ひねくれてネガティブになるんだから、安易な気持ちで人をほめることはやめたほうが良さそうだ。

案外、人から、うらやましいと思われている人に限って、こんな気持ちを抱えているのかも知れない、などと考えたりする。
有名になりたい! みたいな願望は誰しも持つものだが、実際に有名になってしまったら、不便で仕方ないことは想像できる。それと、同じなのかも。

ひがんで、ねたんで生きているくらいが、気楽に生きられて、ちょうどいいのかも知れないと、思ったりしている。

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