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どんなにつまらない仕事も一番を目指す

どんな雑用もその中で一番を目指すこと


その中で一番になることが未来をつくる

私は寿司屋で25年間、寿司職人として働いてきました。
寿司屋ではいろんな雑用というものがあります。
あまりに意味の無さそうな雑用ばかりの毎日に、中には「こんな仕事をするために寿司屋で働いているわけではない」と口にする人もいます。

桶洗いや、掃除なら理解出来ますが、先輩方の白衣や前掛けの洗濯、買い出しに行く車の整備や店のエアコンの掃除や換気扇やドブ掃除まで、まるで仕事とは関係ないような雑用からやらされたのです。

しかし、私はその中でも一番になることを目指しました。
洗濯も一番綺麗に早くやり、車の整備もやったことがなかったですが、本屋で整備に関する本を買ってきては、知識を詰め込んで一番を目指しました。

桶洗いや厨房の掃除なんて、やらせてもらえず、ひたすらドブ掃除だけで一日が終わることもありました。
当然、一番を目指しているため、ドブに流れる水は飲めるほどになります。
しかし、誰も褒めてくれません。悔しくても、一番を目指す。
なぜ、それほど一番を目指したのかといえば、そこで一番にならなければ、次のステージなどあり得ないと思っていたからです。
どんなに頑張っても、頑張っているのはみんな同じ。それなら、そこで一番になるしかないのです。
頑張っているから、評価してくれと言っても、そんな都合のいいことは通用しません。

不思議なもので、学校に行っていたときは、テストという評価基準があって、成績に順番をつけられていたのに、社会に出ると「こんな仕事」と言って馬鹿にしてしまうことがあります。
社会に出て、一番感じたのは、毎日がテストであり、毎日が本番であるということです。そこにリハーサルなんてものは無く、失敗すれば「失敗した人」という烙印が押されてしまうという、過酷な現実です。

「失敗したくない」と思うことは当然で、失敗というものを恐れてしまうがあまり、挑戦すらしない人が出てきてしまいます。
しかし、私はいつも思っていました。
「挑戦しない人には失敗もないが、成功もない」
寿司屋という狭い社会の中で、私は「挑戦すること」を学びました。
時にはくじけてしまい、挑戦する意欲さえ失ってしまうこともあるかもしれません。しかし、それを客観的にみる目を持っていれば、長い人生の中のたった一つの失敗に過ぎないのです。
失敗した瞬間に人生が終わってしまうのであれば、それは取り返しがつかないのかもしれませんが、そんなことはありません。その後の人生で、どれだけでも取り返しがつくことであり、挽回のチャンスは必ずまた訪れると思って生きています。

挑戦するというのは、何者にも代えがたい、人生において、一番大切な要素であると思っているのです。
方法をいくら戦略的に考えても、一度の失敗で諦めては、成功することはありません。一万回失敗しても、一万一回目は成功するかもしれないと歌った歌詞があるように、何度失敗しても諦めなければ失敗にはならないのだと学んだのです。

どんな人でも、いきなり大きなことはできません。
小さな、小さな、誰も気づかないような仕事から始まる。
それがやがて、大きな仕事につながっていく。そのように考えています。
小さな仕事から失敗を重ねて、失敗しても大けがにはならないところから、信用を積み重ねて、やがて大きな仕事を任されていく。
だからこそ、目の前の小さな仕事が、今現在の自分にとっては何よりも大切な仕事となるのです。
「こんな誰でもできる仕事を」と、馬鹿にしてはいけません。
誰でもできる仕事を、誰もできないようなクオリティでやってこそ、次のステップに繋がっていくのです。

例え、ドブ掃除を任されたときも、ドブ掃除くらいしかできないからではなく、ドブ掃除という仕事を、あなたがどれだけ一生懸命やることができるのかというところを、周囲の人たちは見ています。
どんな仕事も、一生懸命取り組み、向上心をもって日々成長し、試行錯誤をくりかえしていたら、きっと、あなたの評価も上がっていくでしょう。

結果、私も寿司を握らせてもらえるようになり、一国一城の主として、自分の店を持つことができました。
それは、ただがむしゃらに、目の前の仕事を馬鹿にせず、いかに早く、いかに効率的に、いかに丁寧に、誰に任せるよりも、こいつに任せてよかったと言ってもらえるように試行錯誤を繰り返した結果だと思っています。

「こんな仕事をするために、この会社に入ったのではありません」
と言うことは簡単です。不平不満を言うだけの人もたくさんいます。
しかし考えてみてください。目の前の仕事を、おろそかにしている人が、自分の不満だけを口にしていて、誰が真剣に聞いてくれるでしょう。

「誰でもできることを、誰もできないくらいやることが、自分をとんでもないところへ連れて行ってくれる唯一の方法」と語った、イチロー選手の言葉が何よりも物語っているのではないでしょうか。

目の前の小さな仕事が、未来の自分の道を広げてくれるのです。

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