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十二単の紙人形(無料)を作ってみた

三重県の「いつきのみや歴史体験館」のHPに、無料でダウンロードできる十二単(女房装束)の着せ替え紙人形があるとの情報を発見し、早速作ってみました。
▼いつきのみや歴史体験館のHP
https://www.itukinomiya.jp/

ワックワックしながら印刷。こんな感じで単から唐衣までが印刷できます。
なんと3種類の十二単と、自分で色を塗って楽しめる塗り絵版の十二単が用意されています!
わぁわぁ!
色合いが可愛くてテンション上がる。

紙の大きさはA4で十分。

とりあえず一つ作ってみよう!ということで…

じゃん!
まず長袴をはいた姫様。
平安時代のお姫様は、基本足を出しません。
壺装束で外を歩く時などは仕方がないのだけど、そもそもお外で歩くのがレアケース。
大河ドラマのまひろは、一応は六位の中流貴族の姫であることを考えると外出歩きすぎだと思うのだけど…まぁそれは物語なのでね…。

上の白い小袖は平安後期から着られるようになったようです。
清少納言や紫式部の頃は、この白い小袖を着ずに、いきなり素肌に長袴だったんだとか(諸説あり)。

単(ひとえ)を来てみました。
単は上に着る衣で一番大きいものです。
この単が肌に触れる衣+床を引きずる衣になり、基本的にはこれだけが汚れるというように考えられます。
こちらの柄は不確かですが、幸菱っぽい感じでしょうか。

五衣(いつつぎぬ)を羽織りました。
平安中期(清少納言や紫式部の時代)には、特に五枚とは決まっておらず、袿(うちぎ)と読んで好きなだけ着ていました。
『栄花物語』には、二十枚枚も着こんで動けなくなった女房がいたと記されています。その場面を想像するだけで面白すぎる。

打衣を着ました。
急に渋い…。

表着(うわぎ)を来ました。
急に爽やか〜。さっきの打衣の濃い色がいい味出してます。

そしてこの表着、良いものを使っていたようで、こちらの表着も二陪織物になっています。紋様の上に別の紋様を織り込んであるのです。
(現代でも着物の帯によく使われています)
こちらは下が雲立湧の紋様で、その上に浮線綾の丸い模様が織られているのようです。
どうやって2種の模様を織り込んでいくのか、仕組みはよくわからないのだけど、本当に素敵よね…。
そしてめっちゃ重たいのよ(装束着てみたのでわかる…。装束体験についてはまた今度)。

裳をつけました。
私に絵心があれば、裳に何か素敵な模様でも描いたのだけど…。
そんなものはないので白いままつけています。
ちなみに、全ての衣はこの裳の紐一本でまとめられています。
衣を一つ上から着付けたら、下の衣をまとめてた紐は取るという形式なのです。

この裳なのですが、どうやら、このようにきちんと紐を前で結ばずとも、装束の後ろにフサっとかけておいたり、座った隣に置いておいたりしておくだけってこともあったそうですよ。

唐衣を羽織りました。
このちょっと肩からズリ下がりそうな感じ、いいよね。
枕草子で描写されてる唐衣の感じは全部こんなだもんな。
紫式部日記で書かれているけれど、赤や青の唐衣は特別に許された女房じゃないと着れなかったようだから、この青もちょっとキュンときちゃう。
模様は松丸…?これもよく分かりません。

仕上げにウィッグです。
これは完全に紙人形ゆえのご都合でしょうね。最初からロン毛だと着付けにくいだろうし。

はぁーー楽しかった。

実は、平安時代が好きと言えども、装束類への興味はちょっと下の方なのです。そりゃ、最低限は知りたいのですが、重ねの色目や◯◯の匂いは覚えられなくて、その都度調べています。もう桜襲と紅梅と雪の下ぐらいしかわからんです。
多分、現代の色彩感覚とだいぶ違うので、自分の中でしっくりこないのでしょうね。
美しいなぁと思うものも多いのですが。

で、だからこそ大河では、季節ごとにぴったりあった装束を着てもらって、平安の色彩感覚に慣れようとも思っていたのですが、どうやら大河では平安時代の季節の色の決まりを無視することにしたようです。
現代の感覚で可愛いと思える色で衣装を作ったとのこと。
(NHKの大河ドラマの公式HPにある、衣装をご担当された方のインタビューより)

うん、おかげで、なんかみんなの衣装、めっちゃ素敵に見えるよ。
現代の感覚で。
うん、それはそれで良い。良いけど…。

みんな毎日同じ服着てない!?
流石に同じすぎない!?
わかる、予算よねぇ。予算が厳しいのよねぇ。
でもクラウドファウンディングしてくれたら、平安オタクは課金したと思うんだけどねぇ。。。

まぁとにかく、この紙人形着せ替え、簡単だしすごく楽しいかったです。
もう一つ作ってみました。

左の子の表着は、藤立湧に木瓜っぽい紋様の二陪織物、唐衣は向蝶です。
かわいいー!
3つ目も作って三人官女にしよ。

改めて、こちらの無料着せ替え人形、「いつきのみや歴史体験館」のHPからダウンロードできます。
ぜひ楽しんでみてくださいね。
▼いつきのみや歴史体験館のHP

《参考文献》
承香院『あたらしい平安文化の教科書』
八条忠基『日本の装束 解剖図鑑』
丸紅ギャラリー 「源氏物語 よみがえった女房装束の美」カタログ

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