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【植物と短歌】ぬばたま

「ぬばたま(うばたま)」をご存じだろうか。

聞き覚えのある人も多いと思う。
おそらく「ぬばたまの」という枕詞を耳にしたことがあるのではないだろうか。ぬばたまは髪、黒、夜などを導く枕詞である。
中学、高校の国語の授業で一つは「ぬばたま」が登場する歌を聞いていると思う。

例としてはこんな歌がある。

ぬばたまの夜ふけゆけば久木生ふる清き川原に千鳥しば鳴く

「万葉集」山部赤人

居明かして君を待たむぬばたまの我が黒髪に霜は降るとも

「万葉集」磐姫皇后

むばたまの夜は恋しき人に逢ひて糸をもよれば逢ふとやは見ぬ

「拾遺集」凡河内躬恒

ではぬばたまとは何か?
なんだか不思議な響きの言葉である。

正解を言おう。
ぬばたまとはヒオウギというアヤメ科の植物の実のことだ。

ヒオウギの実

先日、ぬばたまを入手した。
このとき初めてヒオウギという植物を知り、その実がぬばたまのことだと知った。
ヒオウギとは一体どんな植物なのだろうか。

宿根性の多年草. 日本, 中国大陸の原産で, 本州, 九州の山地に野生する. 園芸的にも栽培され、矮性でつまって生育するダルマヒオウギが多く栽培される.
(中略)
秋に蒴果が裂開し, 大きい黒色種子を出す. この種子を<うばたま>または<ぬばたま>という.

堀田満ほか. 世界有用植物辞典. 平凡社, 1989, p143-144

しかしどうしてヒオウギは枕詞に選ばれたのだろう。
現代では普段の生活で多く目にする植物ではない気がする。
また「ぬばたま」という言葉の語源も不思議だ。

色々調べてみたが、あまり情報を得ることができなかった。
また何か分かればこちらで紹介したい。

そして先日入手したヒオウギだが、植えてみたところ無事発芽した。

4植えて3発芽した。一番右の個体は病気なのかあまり元気がない…


花が咲くまでは2,3年かかるようだ。成長を見守っていこうと思う。

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