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マニアックな遺言と不動産登記の話

こんにちは、司法書士の横山です。
本日は、司法書士らしく登記の実務的なことを書きたいと思います。

【遺贈による所有権の移転の登記手続の簡略化】について

専門家以外にとっては一体なんのこっちゃ!と感じられるかと思います。

簡略化って何が簡略になったのか????

このテーマの前提知識として

遺言書で、「自宅を長男に相続させる。」と残すか
「自宅を長男に遺贈させる。」とするか
によって、遺言者が亡くなった後の不動産の名義変更で
大きな手続き的違いが生じるのです。。。

遺贈という文言があると若干、面倒になる・・

どう面倒になるかと言いますと

長男に相続させるという遺言の場合

亡き両親の自宅を長男名義にする手続きを行う際、

長男単独で手続き可能です。

兄弟の印鑑や、ご両親の印鑑も不要

長男の印鑑のみで手続きが完結できます。

一方、長男に遺贈させるという遺言の場合

(そもそも、遺贈とは、遺言によって無償で財産を譲ることなのですが
相続との決定的違うは、譲り受け人が相続人以外の場合にも適用される用語です。)

長男の印鑑だけでは完結しません。

他に相続人が存在すれば、その相続人の実印を押印した書類と印鑑証明書
が必要となります。結構ハードルが上がる。

折角、遺言書を残して頂いたのみ、他の相続人の協力が得られず、手続きがスットプ、なんてことがあったりします。

その場合、遺言執行者を遺言書で指定していれば、遺言執行者と協力して
長男は手続きが可能となるので

実務上、遺贈という文言を使用する場合は、遺言執行者の記載は必須になる
ことが多いのです。

ただ、相続と遺贈、言葉は違えども、長男に財産を譲るという意味では
目的は一緒ですし、言い方が違うだけで、取り扱いが異なるのも
変だよね

杓子定規すぎる。

そこで、相続と遺贈というどちらの言葉であっても、相続人である方が譲り受けるのであれば、取り扱いを似たようにしようということになり
簡略化の改正がされたというお話

こういった取り扱いの違いを把握してアドバイスするのが専門家の飯のタネ

ではあるのですが、徐々にではありますが、相続分野の行政手続きが

わかりやすい方向へシフトしてきているような気がしています。

手続きの差異、みたいものが段々なくなって
一般の方のイメージに近い、制度になってくるのかもしれません。

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