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社会保険労務士の独学一発合格勉強法

こんにちは。
社会保険労務士のしふらです。
私は人生の崖っぷちとも言える状況から、一年間の独学期間を経て2017年に社労士試験に一発合格することができました。初noteということで、今回は自己紹介も兼ねて私が社労士試験に合格するまでの勉強法をnoteにまとめてみました。働き方改革や、雇用保険・年金法改正、コロナ禍の対応等で社労士の活躍の場が増え、受験を検討している方も増えたように感じています。これから受験を考えてる方は、一つの方法として参考にしてみてください。質問がある場合はnoteのコメント欄かツイッター(@syokofura)に質問を送っていただければお答えさせていただきます。

クビ。期間工。崖っぷちに立たされた末に。

このnoteを読んでくださっている方は、会社で総務や人事をやっている等、すでに何らかの理由があって社労士を目指している方が多いと思います。私の場合は、元々目指していた職業がありました。それは、社労士とは全く関係のない美容関係の仕事です。しかし新卒で入社した職場は、憧れの美容関係の仕事ではあったものの、不正が横行しているような職場で、私も会社の中のいざこざに巻き込まれ、入社一年も経たないうちにそのまま会社をクビになりました。しかも本当は解雇だったのですが、うまいこと言われて自己都合に…。
お金のない新卒一年目の私は、キツいと噂の期間工に応募し、クビになった次の日から働き始めました。工場はまるで刑務所でした。全員同じ作業着に帽子にマスク。一日8時間プラス残業3時間と休日出勤。誰とも話すことなく毎日同じ単純作業。数日して作業に慣れてくると、暇になり色々考えるようになります。
「(なんで私はこんな所で働いてるんだろう)」
「(憧れの仕事はもう諦めないといけないのかな)」
前の会社への恨みだけを原動力に毎日頑張っていました。よくよく振り返ると、私は仕事運があまりなかったのかもしれません。学生の頃のバイト先は、私の初出勤日に店長が逮捕されて無くなってしまったし、その次のバイト先は店長が面倒くさがりな人で「今日は疲れたから店休みにします!」という日が増えて、結局家賃が払えなくなって倒産しました(バイト代は貰えませんでした)。
そんなことを毎日考えて、気がついたら3年くらい経っていました。このまま期間工で一生終えるのは、大学に出してくれた親に申し訳ないという気持ちが強くありましたが、転職サイトを見てもこの職歴では厳しいだろうという諦めもありました。そこで、少しでも転職を有利にするために何か資格を取ろうと思い至りました。調べてみると、ダントツ人気が社労士だったのでこれでいいかと思い、仕事内容もろくに調べず、一年分の生活費を貯金してから仕事を辞めました。これで後には引けなくなりました。

社労士試験の勉強を始める前にやったこと

①時間の確保
私の場合は働きながら勉強をすると、仕事がある安心感から勉強が中途半端になってしまいそうだったので「1年間で合格しなかったら諦める」と決めて仕事を辞めました。

②勉強法(独学か通信かスクールか)
次に、勉強方法を調べましたが、このときに初めてスクールや通信があることを知りました。しかし、一年分の生活費しか貯金していなかったので独学で勉強することにしました。元々、講義で先生に教わるよりも自分で本を読んで黙々と勉強する方が好きだったので向いていたかもしれません。人によって向き不向きがありますので、自分の性格を考えて決めましょう。ただ、実務を経験した上で振り返ると、お金と時間に余裕があるならスクールに通っておきたかったとも思います。スクールがどんな感じかは分かりませんが、実務の具体的なイメージがわかないまま合格したので、勉強したことがあまり活かせてないように感じるためです。

③教材選び
続いて教材選びをしました。ネットでレビューを読んだり、書店を回って見やすそうなテキストや模試の日程を調べました。

④スケジュール
最後にスケジュールの確認です。まず試験日を確認し、③で選んだ教材や模試をどのように進めていくかというイメージを計画表に書き出しました。進めていくうちに、他にやりたい問題集が増えたりしてずれてくるので、その都度計画表を作っていました。

⑤お金
私は仕事を辞めての受験だったので、ニートで独学勉強をするためにいくら必要なのか計算して貯金をしてから退職をしました。受験まで約10か月のニート期間に使った生活費は約200万(国民年金等含む)です。旅行しまくっての金額なので、実家暮らしでかなり節約すれば80万くらいでいけるでしょう。その内、独学の費用をまとめると、教材費2万円、受験料9千円、模試5,600円で、トータル約3万5千円掛かりました。その他に、人によっては模試や当日の交通費と宿泊費も掛かります。

私が選んだ教材

教材に関しては、基本テキストにしろ問題集にしろ、TACやU-CAN等々あって悩んでしまいますよね。私も悩みました。しかし今思えば、恐らくどのテキストであっても全ての内容を覚えてしまえば合格できます。なので、自分が一番使いやすいと思ったものを選べば問題ないです。実際に書店を回って自分が一番使いやすそうだと感じたテキストを選ぶのが一番いいです。しかしそれでも勉強を始める前は色々と不安があると思うので、私が選んだ教材と選んだポイントを紹介します。

①基本テキスト
『U-CANの社労士速習レッスン』
本屋で実際中を見て、色使いや注釈が見やすく使いやすそうだったのでこれを選びました。合格までの約10か月の間に約6周しましたが、各科目ごと項目の順番が揃っているので直観的に扱えて非常に使いやすかったです。ボリュームも十分で私の感覚では試験内容の99%は網羅されていると思います。社労士試験は法改正が多いですが、U-CANの法改正のページでテキストの該当箇所の確認ができます。ここは要チェックです。

②問題集
『U-CANの社労士過去問&予想問題集』
社労士試験は、問題を多く解けば解くほど合格に近づきます。また、何冊もの問題集をやるよりも、同じ問題集を極めたほうが良いと言われています。私がこの問題集を選んだ理由は、基本テキストをU-CANにしたからという単純な理由です。大体の問題集は、基本テキストとセットになっていてページ等が対応しています。U-CANの問題集には2回分の模試がついていますが、難易度的は実際の社労士試験に近い気がしました。

③横断・縦断
『社労士V横断・縦断超整理本』
社労士試験の勉強では横断・縦断整理が非常に大切です。なぜなら、社労士試験の科目には共通する部分がかなり多いからです。より効率的に勉強するためにも基本テキストを一通り読み終えたら確認してみましょう。横断・縦断の問題付きなので記憶の定着具合も測れてとても重宝しました。

『TACの社労士全科目横断総まとめ』
試験ギリギリになって、コンパクトサイズの横断本が欲しくなったので購入しましたが、上記の社労士Vの方に慣れてしまっていたため結局殆ど使わずに終わりました。こちらはフルカラーで赤シート付きなので、移動学習には使いやすいと思います。

④予想問・模試
ある程度勉強が進んだら、本番と同じ形式で模試を解くことが大事です。模試は各社によって難易度が違います。複数社の模試をやると自分に足りないところが見え易いので必ず2社以上はチャレンジしてほしいです。

『U-CAN社労士総仕上げ模試』
難易度は社労士の本試験に近いと感じました。冊子の取り外しが可能で、2回分の模試が収載されています。上記のU-CANの問題集にも2回分の模試が収載されているので数的には十分ですね。

『本試験をあてるTAC直前予想社労士』
正直、難易度は高いと感じました。試験直前に初めてやったTAC模試は、択一式38点と悲惨でした。当時はU-CANの模試で合格点を取って安心しきっていたので、これで自信を失い、試験直前だというのに挫折しそうになりました。TACの模試は、独特な出題形式や意地の悪い引っかけ問題がとても多いです。しかしこの模試がきっかけで、今まで理解していた所をより細かく理解し直すことができ、引っかけ問題にも強くなり、点数につながりました。

『TAC勝利の模試(2回)』
社労士試験を受ける上で、必ずやっておきたいのは実際の試験とまったく同じ流れと環境を試せる模試です。本試験で最大限の力を発揮できるように、一度は受験しましょう。模試は、それぞれの会社で違うので日程を確認し、申し込みを忘れないようにしましょう。TAC模試の結果は酷いものでしたが、特典でついてくるポイントチェックメッセージは非常に役に立ちました。これのおかげで8月に入ってから点数が約20点伸び、これで合格できたも同然だと思っています。この特典の為だけでも、TACの模試を受ける価値は十分あります。問題は相変わらず難しかったです。

⑤法改正テキスト
『 TAC社労士法改正・白書・統計完全無欠の直前対策』
そして、最後に大事なのは法改正の確認です。社労士の試験は法改正がとても多く、また法改正の部分から出題されることも非常に多いです。そこで、必ず買っておきたいのが法改正テキストです。社労士の試験で問われることの多い、最新の法改正と、前年の法改正が載っています。また、ありがたいことに、白書と統計のまとめも載っています。社労士の勉強をする上で、白書と統計は範囲が広く勉強しづらいところですが、このテキストでは予想範囲を絞ってまとめてあるので非常におすすめです。このテキストは、一番最後にやりましたが本当に役に立ちました。このテキストだけでかなり点数が伸びたんじゃないかと思います。もちろん前提の勉強は必須です。
※問い合わせてみたら、私の購入した2017年版を最後にこのテキストは出ていないようです。これに変わるテキストが『TAC無敵の社労士』とのことです。

⑥その他
『無敵の社労士シリーズ』

買ったけどほとんど読まずに終わってしまった無敵の社労士シリーズです。こちらのシリーズでは、問題の解き方や考え方、判例特集等、本試験を受ける上で参考になる内容が分かりやすくまとまっています。気になる特集があれば買って読んでみても良いでしょう。法改正は無敵の社労士シリーズで特集されるようです。

『社労士問題集アプリ』
外出時に勉強できるようにと、有料アプリを購入しましたがずっと引きこもって勉強するか、友人と旅行するかのどっちかだったので結局殆ど使いませんでした。問題数が豊富で、間違えた問題をチェック出来て本格的でした。移動時間に勉強したい人にはおすすめです。

『ひよっこ社労士のヒナコシリーズ 』
これは最近読んだミステリー小説です。社労士の実務がとても詳しく書かれていて、勉強の息抜きにぴったりな小説です。息抜きなのにとても勉強になるので一石二鳥です。主人公の新米社労士を見ていると、モチベーションも上がりますよ。

勉強を始めてから試験日までの全スケジュール

スタート

11月 基本テキスト(U-CAN速習レッスン)を読み始める
2月  基本テキスト一周目がようやく終わる
   過去問&予想問題集(U-CAN)一周目開始
   ※疑問点は基本テキストでその都度確認
4月  過去問&予想問題集一周目と基本テキスト二周目が終わる
6月  TAC模試1回目(復習は三周)
7月  過去問&予想問題集二周目と基本テキスト三周目が終わる
    TAC模試2回目(復習は二周)
    社労士V流し読み
    社労士V横断・縦断超整理本使い始める
    過去問&予想問題集の模試2回分
8月  過去問&予想問題集五周目と基本テキスト六周目が終わる
    TACポイントチェックメッセージ
    TACの社労士法改正・白書・統計完全無欠の直前対策二周
    ノートにまとめる
    細かい数字を覚える
    U-CAN模試・TAC模試(教材)を各2周

試験日

私はじっくり読み込むタイプだったので、基本テキストの一周目はとても時間がかかりました。初めの頃は、朝7時に起床し、15時くらいまで勉強してぼーっとして、夜にまた少し勉強するといった感じでした。7、8月頃になると模試の結果も悪かったのもあり、朝7時から夜10時過ぎまでぶっ通しで勉強する日々でした。元々生活リズムが不規則なタイプでしたが、この1年間だけはきっちりした生活リズムを心がけていました。

点数の推移

会場で受験した模試と本試験の点数を見ると、模試の結果が悲惨です。

『6月のTAC模試』
選択式22点/択一式17点

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『7月のTAC模試』
選択式26点/択一式30点

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悲惨な結果です。
社労士試験の合格基準は、
選択式 各科目3点以上合計28点以上
択一式 各科目4点以上合計49点以上
となっていますので、悲惨っぷりが分かりますね。

『本試験結果』
選択式28点/択一式49点

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合格基準ぴったりです!笑
試験が終わった後の自己採点で、これは合格だろうと思って応援してくれていた人たち全員に「合格したかも!」と報告をしました。気が早いですね!
D判定の模試からここまで点数を伸ばせたのは、自分なりに勉強したことをノートにまとめたことで、今までバラバラだった知識が一つにまとまったからだと思います。全体像が見えると一気に点数が伸びました。

勉強する順番

労基、安衛、労災、雇用、徴収、労一、健保、国年、厚年、社一

社会保険労務士試験のテキストは10科目に分かれています。
これだけ科目が多いと、どの順番で勉強するのが効率的かと悩む人もいると思います。私は最初の2周はテキストの順番通りにやりました。その後は問題集や模試を解くなかで苦手な科目を中心に進めていました。基本は順番通りで問題ないと思います。人によって得意不得意があると思いますので、まずは一通りやるのが良いでしょう。
その他勉強のポイントをいくつかまとめると、

・細かい数字の暗記は最後の一週間
・数字の暗記は語呂合わせ
・白書と統計は選択式の予想問をこなすことによりカバー
・似通った項目はその都度横断整理
・雇用保険の失業等給付等のごちゃごちゃしやすい所は表にまとめる
・法改正過去2年分は絶対チェック
・問題を解くこと(アウトプット)は重要

選択式について

社労士試験の選択式問題は、全8科目(労基安衛、労災、雇用、労一、社一、健保、国年、厚年法)各5点の選択穴埋め式で出題されます。

合格基準は各5点中3点以上合計28点以上です。
試験時間は80分間となっています。

実際に解いたことがある人は分かると思いますが、選択式は出題範囲がとても広く、またピンポイントで知らない部分が出題されることもあるので対策が非常に難しいです。
私の場合、初めは選択式問題の方が文脈から推測しやすく解きやすいイメージを持っていましたが、ある程度勉強が進んで択一式で合格基準を突破できるようになってくると、選択式の難しさ気付きました。範囲がとても広いため、初めて見る問題が出題されることも普通にあります。特に白書や統計から出されるとまったく分からずということが多々ありました。また目的条文をそのまま出す問題もありますが、暗記が曖昧で他の条文とごっちゃになってしまうこともありました。選択式では全科目において3点以上をとる必要があるため、一つでも分からない科目が出てしまうとアウトというわけです。ということで、私の選択式の課題は広範囲の学習と目的条文、白書と統計の対策でした。

選択式対策
当たり前ですが、選択式をクリアするためには沢山問題を解くことが大切です。選択式の問題は、考えて導き出せるものが結構あります。文脈を追っていくと「これしか当てはまらない」と気付くパターンも多いです。幸い、選択式は時間に余裕があります。恐らく大体の人は時間が余ると思います。模試や本試験では、分からない問題は飛ばしつつ、一通り全科目解き終わった後で分からないところをじっくり考えるのがおススメです。また、択一式の問題を解くときに問題文をよく意識して解いてみましょう。「葬祭料」と「総裁給付」等の似通ったワードを確実に覚えることで、選択式問題の点数に必ず繋がります。そして、出題頻度が多く絶対に外せないのが目的条文です。私はとても苦手で、ギリギリになって大事そうなワードだけ暗記して本試験に臨みました。また、白書・統計については数字を覚えることも大切ですが、全て覚えることは不可能に近いので、それよりも自分の中でイメージを持つことが大事です。「この項目は女性の方が多いな」「ここ数年は○○が上がってきているな」等。もちろん有給取得率等の確実に数字を覚えておきたいものもあるので、そこは区別してください。白書・統計は範囲が広いので、白書・統計のテキストを読んだり、択一式選択式の問題を解いて慣れていきましょう。
また、選択式では数字等の暗記系も出ることがあります。私が受験した2017年も、国年法の「保険料免除・納付猶予の所得の基準」の数字が選択問題で出題されました。幸い最後1週間の数字暗記期間に暗記していたので答えられましたがヒヤッとしました。

択一式について

択一式問題は、全70問、7科目(労基&安衛、労災&徴収、雇用&徴収、労一&社一、健保、厚年、国年)各10点の択一式で出題されます。

合格基準は各科目10点中4点以上、計49以上です。合格基準は毎年変わるので、目安となります。ちなみに2017年の合格基準は、各科目4点以上(厚年は3点)計45点以上でした。

試験時間は210分間なので、1問3分で解く計算になります。

択一式試験は、問題に慣れていない人は初め抵抗があるでしょう。私はかなりありました。長文がずら~っと並んでいて、いつになったら終わるんだろうと思いながら勉強していました。最後の方は集中力が切れてきて、ケアレスミスも多くなったり、時間配分がうまくできなくて間に合わなかったり。合格点をとれるようになるまでかなりの時間が掛かりました。ということで、いかに集中して解くかということと、どれだけ早く解けるかが私の課題でした。

択一式対策
択一式は問題を解くことに慣れるのが一番大切です。基本テキストでインプットしたことを、問題集でアウトプットすることで知識を定着させます。そして、間違えた問題は必ず見直し反復して解きます。選択肢を見比べ、正しい回答を探すプロセスを繰り返すことで問題を解くスピードも速くなってきます。また、択一式の問題の中には計算等の時間の掛かる問題や個数問題(正しいものはいくつあるか)があります。これらは時間が掛かると思ったら後回しにしましょう。私は模試の時に、計算問題に時間をかけ過ぎて3問ほど間に合わなかったことがあります。問題集に関しては、必ず3周以上しましょう。択一式の問題は過去の出題範囲と被ってくるので一冊の問題集を完璧にすることで出題範囲の大体をカバーできます。また、ペース配分の感覚を掴むために、時間を測ることも大切です。私の場合、勉強に慣れておらず、最初は70問通しでやるのがきつかったので1科目10問ずつでタイムを測っていました。試験直前期には30分くらい余裕を持って終わらせられるくらいになりました。

終わりに

このnoteでは勉強方法ということで、スケジュールや教材選び、試験対策についてまとめてみましたが、社労士試験を受ける上での疑問や不安は他にも色々とあると思います。コメント欄かツイッター(@syokofura)にメッセージを残して貰えれば、noteでまとめてお答えしようと思いますのでお気軽にどうぞ。書きたいことが多すぎてうまくまとめられませんでしたが、少しでも参考になれば幸いです。今後は、年金の話や法改正についてもまとめていきたいと考えていますのでよろしくおねがいします。

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