見出し画像

ペン字の要点④【トメ・ハネ・ハライはわざと遅く書く】

ペン字の要点ということで、デジタル化が進めば進むほどかえって希少になっていくアナログな手書き。

デジタルな現代の文字はもはや(スマホなどで)触れるという時代にまで来ているのでしょうが、文字を書くという行為は失ってはいけないものだと思います。

そんな手書き文字の一番身近なものはペン字(ボールペンや万年筆など)ですが、そのペン字を美しく書く7つの方法・考え方を述べていきたいと思います。

第4回は【トメ・ハネ・ハライはわざと遅く書く】
書いている時のスピード感についても、あまり言及されていないポイントかもしれません。今回はその辺りについて解説していきます。

よく言われる「トメハネ」は大事!の本質について

よく書道では、

「トメハネをしっかりと書くことが大事」

という事が言われます。

これは全くその通りのことなのですが、では「しっかりと書く」というのは具体的にはどういう事なのか?という事の本質的な部分、そして心がけると良いことを解説していきます。

「トメ」「ハネ」「ハライ」はわざとゆっくりと書く

結論から言いますと、

「トメ」「ハネ」「ハライ」は一画を書く中で、

一番ゆっくりと書くようにする

という事です。

これは「トンスートン」の「終わりのトン・収筆」と繋がってくることなのですが、トメだったり、ハネだったり、ハライだったりをきちんと書く=ゆっくり書くようにすると良いです。

きちんと丁寧に書こうとすると、自然とゆっくりになってきます。逆にゆっくり書かないと丁寧には書けないものです。

普段のメモ書きなどササっと書く時までそんな事をする必要はありませんが、自分自身を示すための署名の時など、ゆっくり書いても構わない時はぜひ心がけて書くと良いです。

そもそも文字というものは、始めに全体を見渡してイメージして、ゆっくりと書き進め、書いている最中にも常に修正を行いながら書くのが秘訣です。

これはメモ紙程度の小さな紙であろうと、畳ほどの大きな紙であろうと同じことです。

慣れてくるとスピードを上げて書くこともできますが、始めの内はゆっくと書くことが大事。車の運転と同じです。

そういうわけで「ゆっくりと書く」ことがキーワードですが、ペン字でサラサラと書いているとなかなかそういった事も難しいことになります。

なので、トメる所・ハネる所・ハラう所を意識してわざとゆっくりと書くことから始めてみると良いです。

タテハネハライはゆっくり

毛筆ではとくにここがポイントで、筆という最高に不安定な筆記用具を扱う場合、この節(ふし)とも言える収筆部分をゆっくり書く時がとても大事で、この部分をどう上手く書くか?が腕の見せ所だったりします。

もっと言うと紙からペン・筆が離れる瞬間がとても大事で、触れる瞬間も大事ですが離れる瞬間はもっと大事です。よく飛行機では離陸よりも着陸が難しいと言われますが、それと同じことかもしれません。

ところで「ハネ・ハライ」は「跳ね・払い」と書きます。その文字の見た目からつい、ピョンっと跳ねるように、シャッと払うようにしてしまい、ゆっくりと書くというよりはもっと速い動きで書いてしまいがちです。

「ハネ・ハライ」をカタカナで書いているのはそういった事のイメージをしてほしくないという意味も込めてそうしてあるのですが、ハネは跳ねない、ハライは払わないという事を知ってほしいと思います。

また「ハネ・ハライ」の形・形状も尖っているのも素早い動きを連想してしまいますが、ゆっくと徐々に、ペン・筆を紙から離していくようにすると良いです。

ひとつの文字を書く中でのスピード感を考えてみる

そういった事をふまえて「トメ・ハネ・ハライ」をゆっくり書く事を心がけながら、もうひとつ、

ひとつの文字を書く中、次は一行を書く中でのスピード感を考えてみる

というのも美しい文字を書くためのポイントです。

遅速緩急(ちそくかんきゅう)という言葉がありますが

おそく・はやく・ゆるく・きゅうに、という対比させるような動きを一文字の中に、一行の中に計算して書くようにするともっと良くなります。

一般的な美文字というのは形を優先させる事が多いですが、裏打ちとして、その美しい形を形作るための動きに緩急を付けて書くことを心がけると良いです。

日本が世界に誇る「仮名」にしても、一行を一文字で書くような、流れのある美しい書きぶりですが、その一文字一行の中に、確かに一瞬留まっている箇所が確実にあります。

仮名(寸松庵色紙)

その「仮名」から産まれた日本語表記の7割8割を占めるという「ひらがな」にしても、一文字の中のどこに止まる(留める)場所を見つけるか?がポイントなのも同じことです。

ですがこういった事はいきなりは難しい事なので、普段のメモ書きやノートに練習する時などに、ふと「どこで留まる所を作ろう?」と書き終わった後にでも見返して考えるようにするだけでも美しい文字に一歩近づくと思います。

まとめ

【トメ・ハネ・ハライはわざとゆっくりと書く】について解説してみました。

書いている時のスピード感というのも、非常に重要なポイントです。普段のメモ書きなどでもふと思いだして考えて書くことも美しいペン字へと繋がっていきます。

あなただけが書ける美しいペン字の一助になればと思います。

【動画も制作してみました】

テキストも良いですが、動画で実際に書いている所も解説してみました。ぜひ一度ご覧ください。



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?