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丁度いい解説が見つからない 電験2種 電力 令和5年 問4

 試験本番1か月切ったので去年の電力と理論を解いてました。
 いやー全然解けねぇ。やっぱ難しくないすか? しかし難しく見えるだけと言えなくもない。頭の柔らかさで問題の難しさが一変するように思いました。

 例えば本問。

まず思うのが、3相って明記されてないから

$${\LARGE Ws= √3Vs×Is}$$

が頭にスッと入ってこない。いや入ってこない時点で「お前ア〇ペか?」とか言われそうなんだけど、ともかくE卒の俺としては問題文に、

・3相なので$${\LARGE Ws= √3Vs×Is}$$

とか書いてほしかったわ。
逆を言えばこの式から
 ・問題文の回路が3相であることが分かります。
 ・Vsは線間電圧であることが分かります。

ということで、回路図も書こうと思えば書けたりするわけです。
図を書くと、(1)で問われていることが愚かなほど簡単であることが分かります。愚問ってやつです。正相ってのが気になるが。。。

それで(2)ですが、これについてあんま整理してる解説が無かったので一つお前らのために簡単に解説してやります。わたしは電験王さんを見てもよくわからなかったので、、、

まず、
$${\LARGE Ws= \sqrt {3}Vs×Is}$$

$${\LARGE Wb= \sqrt {3}Vs×In}$$

が普通に公式として成り立つことを分かってください。
考え方のポイントとして、パーセント法や単位法が絡む場合、基準電圧は短絡しようがしまいが常に一定です。
なぜなら、電力会社の方で必ず電圧は一定に保ってくれるからです。
この大前提を書いてない解説が結構多い。
ともかく、WbとWsで変わるのは電流のみです。

(2)の式にもう一度戻って、問題文ではWsとWbの関係を問われているので、
二つの式をお互いを表す関係式に立式しなおしてみましょう。

$${\LARGE Ws= \sqrt {3}Vs×Is}$$


$${\LARGE Wb= \sqrt {3}Vs×In}$$

ということは、
$${\LARGE Ws= Wb \frac{Is}{In}}$$

としてWsを表すことが出来ます。
残る疑問は、

$${\LARGE \frac{Is}{In}}$$

とは何か?というところです。
試験本番中では、多分ここは選択肢の中から選んで探っていくしかないと思います。選択肢にはZs[P.U]が絡んでおるので、上記の式をZs[P.U]に直せばなんとかなるな! みたいな発想になるはずです。

Isと%Zの関係は、電3でも問われる有名な公式でつながります。そして、%ZとZ[P.U]の関係もやはり公式として成り立っているので、なんとかこじつけられそうな気がしてきます。

結論から言うと、Z[P.U]は、

$${\LARGE \frac{In}{Is}=Z[P.U]}$$

という立式が出来ます。
定格電流を短絡電流で割ったものがなぜかZ[P.U]になるのです。
これは理屈が実は簡単で、
もともと

$${\LARGE \frac{Zs}{Zn}=Z[P.U]}$$

という定義があります。クソみたいな初学者は「なぜ短絡してZが変わるんだい?」と思ってしまうかもしれませんが、短絡地点の場所により、形成される回路の形や電線長さが変わるからです。よってZがいちいち変化しても何らおかしくはありません。というかZがいちいち変わることにより短絡電流の大きさが変わってくる、と理解したほうがよいです。

ともかく

$${\LARGE \frac{Zs}{Zn}=Z[P.U]}$$

はZ[P.U]の定義式ですので、これをもとに考えます。
そもそもZnとZsで何が違うのかというと、式が違います。どう違うのかというと、

$${\LARGE Zn = \frac{\sqrt {3} Vn}{In}}$$

$${\LARGE Zs = \frac{\sqrt {3} Vn}{Is}}$$

ということでこの立式においては電流が違います。
え? 電流が先に決まってZが変化するのかい? と混乱してしまうかもしれませんが、考え方として根本にあるのは常にVnですので、

$${\LARGE \sqrt {3}V= I×Z}$$

を常に根本に添えて、要はIとZの割合が変わっていくのが短絡である、ということを理解してください。電流が変われば必ずインピーダンスも変わり、逆もしかりであって、その関係は常に反比例しています。
よって、

$${\LARGE Zn = \frac{\sqrt {3} Vn}{In}}$$

$${\LARGE Zs = \frac{\sqrt {3} Vn}{Is}}$$

という式をよく見ると、右辺分母のIの大きさによってお互いの大きさの違いが出ているのが分かりますから、ここを整理してやればお互いの大きさの比率が出ます。

$${\LARGE Zs = \frac{In}{Is}Zn}$$

ZsをZnの割合、即ちZ[p.u]の意味を別式で表してやることが出来ました。
より分かりやすくするため、式を整理すると、

$${\LARGE \frac{Zs}{Zn} = \frac{In}{Is}}$$

となり、Z[p.u]の公式っぽく見えることが分かりました。
即ち、

$${\LARGE Z[p.u] = \frac{Zs}{Zn} = \frac{In}{Is}}$$

と言えますので、短絡電流とZ[p.u]の関係を立式できたわけです。
ここで、式を穴が開くほどよく見てください。
ZとIは常に反比例しているので、お互いのNとSが分母分子逆になるのは当たり前だわな、ってかその割合も一緒なわけだし、めちゃくちゃ考えなくても

$${\LARGE \frac{Zs}{Zn} = \frac{In}{Is}}$$

であることは最初から自明なわけです。
同じ大きさのコップを二つ用意して、片方に水を何割か注ぎます。
注がれたコップの
・空の容積
・水の容積
はここで決定しており、また
・2つのコップの容積
も決まっています。
ですので、水の入ったコップから空のコップに水を何割かうつしても、全体の空の容積と水の容積は絶対に変わりません。
みたいな話で、

$${\LARGE \frac{Zs}{Zn} = \frac{In}{Is}}$$

は自明なわけです。馬鹿でもわかる例えだと思います。必ずVnの範疇にZとIの値は収まってくるので。

$${\LARGE \sqrt {3}V= Is×Zs =In×Zn}$$

という式から発想したほうが早い。ともかく


$${\LARGE \frac{Zs}{Zn} = \frac{In}{Is}}$$

$${\LARGE Z[p.u] = \frac{Zs}{Zn} = \frac{In}{Is}}$$

は成り立ち、問題(2)に視点を戻すと、Wsは
$${\LARGE Ws= Wb \frac{Is}{In}}$$

という式で表せましたから、右辺にZ[p.u]の逆数が表れていることが分かりますね!
即ち、
$${\LARGE Ws= Wb \frac{1}{Z[p.u]}}$$

ということが出来、これが選択肢にあるわけです。
Z[p.u]に普段から慣れ親しんでおり、それがIs(もしくはIn/Is)で立式できることにすぐ気が付かないと、焦る問題ということになるでしょう。
ともかく最も重要なのは、
・Vs=Vnは不変である
 ゆえに
$${\LARGE \sqrt {3}V= Is×Zs =In×Zn}$$

が成り立つ、というところじゃないでしょうか。
最後に付け加えておくと、Wとは皮相電力のことです。

追い込みがきつくなるので試験日を夏に設定した奴は死ねと思う今日この頃です。


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