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【太くないお編】観戦記風に天鳳名人戦の好きな選手を紹介していきます【天鳳名人戦】

10月20日。
天鳳名人戦が今年も始まった。
全10節+最終節で行われるこの戦いも今回で11期を迎える。

毎年、歴代の天鳳位VSトッププロの意地とプライドを賭けた戦いは非常に熱く、対局者同士の顔が見えずとも画面越しから伝わってくるほどだ。

対局の内容がエンタメ無しの非常にハイレベルなものであることは、対局者の顔ぶれを見れば想像に難くない。

こんなに豪華な面々の対局も、実際の配信では1卓分しか映し出すことは出来ない。
どの卓を見ても視聴者を飽きさせない技術と技術のぶつかり合いになることはもちろんで、その中から1卓を選ざるを得ないというのは、なんと贅沢な悩みであろうか。


今回からいくつかの記事に分け、1人ずつスポットライト当てながら
天鳳名人戦に出場しているプレイヤーのすごさを紹介していこうと思う。

第1回目はこの選手を紹介していこう。

5代目、16代目 四麻天鳳位
15代目 三麻天鳳位
太くないお

無題


前人未踏のトリプル天鳳位を達成した太くないおは、天鳳界最強のプレイヤーと言って否定するものはいないだろう。

四麻の東風、東南、そして三麻とどのルールでも圧倒的な成績を残している
最強のオールラウンダーだ。
ミスが圧倒的に少なく、無駄な放銃をしない安定感が持ち味だ。
また、東風戦は持ち時間が少ないが、そこでも成績を残しているのできっと頭の回転がとてつもなく早く、そのため瞬時に最適解を見つけ出すことが出来るのだろう。

それでは、さっそく先日行われた名人戦の牌譜を見ていこう。

1半荘目

東場は軽快にアガリを重ねてリードを着実に広げた。
南2局で入ったこの手。

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47pがやや薄いがペン3sも特段いい情報が無く、悩ましい局面だが、ドラが2枚のイーシャンテンのチャンス手でミスは許されない・・・!

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しっかりと最適解を導き出し、このテンパイを組んだ。
2件リーチになるも、粘った親からあたり牌が打ち出され満貫の加点に成功した。

そして迎えた親番。

天鳳名人戦は天鳳のルールがベースになっているが、普段の天鳳とは違い完全順位制ではない。
そのため、この親番での加点はトップを揺るぎないものにするだけでなく、単純に素点としてポイントを上乗せすることが出来る。
また、ラスに大きなペナルティがある分、トップ目が2着目からある程度離れればオカありのルールと比べて2着目に逃がしてもらいやすく、ラス争いをする3,4着目もトップ目の親番にはなかなか歯向かえずに王様タイムになりやすい傾向がある。

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つまり、点棒はなんぼあっても良いのである。


話を戻して、トップ目とはいえ大事な親番の6巡目にこの手格好。

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現状5対子で七対子のイーシャンテンだが、三色での面子手も残っており、何を切るか悩ましいところ。

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太くないおは打7sを選択した。
河に目をやると3者ともマンズの下を早々に切っているため3mの場況が絶好なのである。そのため、ここは7s切りで三色には見切りをつけて七対子一本とした。太くないおは面子手と対子手の見切りが上手く、七対子が非常に得意な打ち手でもある。

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7mを重ね、狙い通り3m単騎でリーチを敢行した。
あそこで3mを切っていてもテンパイはしているものの、7sは1枚切れで、7pも即リーチに行けるほど良い待ちではない。
七対子はテンパイをしてから良い待ちを探すのが簡単なように見えて意外と難しい。リーチに行けそうな牌を持ってきた!と思ったらすでに2枚切れだったり、自分の河に切れていたりしてなかなかリーチにいけず、その間にダマのまま当たり牌が切られたり、他家に先制リーチをかけられたりという経験は誰しもあるだろう。

「即リーチに行けるかどうか」は七対子のテンパイを価値あるものにする上で非常に大切な要素なのだ。

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そして、狙った3mをしっかりとツモり上げ、なんと裏ドラも3mで僥倖の6000オール。
あそこでふわっと3mを切って両天秤にしていたら、この未来は無かった。
非常に大きなアガリを決め、天鳳名人戦の開幕戦を大きなトップで飾った。

太くないお(+84.0) タケオしゃん(+13.2) Ⓟ醍醐大(-13.1) Ⓟ松ヶ瀬隆弥(-84.1)
https://tenhou.net/0/?log=2021102020gm-0009-10011-6f51e26e


2半荘目

流局が多い中でタケオしゃんが1人抜け出す格好となった2半荘目。

太くないおは我慢に我慢を重ね、南3局を原点付近の2着目で迎えた。

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ラスまでは少し離れているものの、油断は禁物である。
2段目に差し掛かるところで、ターツは足りているものの門前では間に合わなさそうということで6sポンから南バックのテンパイを目指す。

これはそこまで特別な選択ではなく、天鳳プレイヤーなら仕掛ける人も少なくないだろう。しかし、注目するべきはポンをして切った牌。

ターツが足りており、上家も仕掛けているということで安全度が高い9mを抱えて4pを先に切るプレイヤーが多いのではないだろうか?

ただ、天鳳位が9mと4pの安全度の比較を間違うわけがなく、当然この選択にもキチンと理由がある。

6sをポンして打4p→一手進んで打9mという切り順になると、4pよりも9mを手牌に留めておいたことになるので、少しタンヤオのケースが減り、他家からの役牌バックの警戒度を上げてしまうのだ。

タンヤオだとしても4pを先切りして安全度の高い9mを持つ進行にすることもあるが、今回のドラは2p。
ドラが対子だとしたら224pから3pの受け入れをロスしてまで4pを先切りして、安全度が「マシな」9mを残したことになるので、ドラドラのケースは少ないと読まれ他家に押し返されやすくなってしまうかもしれない。
天鳳名人戦の舞台に立つプレイヤーたちがこの切り順を見逃すわけがない。

結果的にこの手は実らなかったものの、他家からの見られ方というのも考慮した上で、何が最適なのかを丁寧に選択していく。

この半荘アガリ自体は2000点の1回だったものの、ノーテン罰符を積み重ね、価値ある2着を確保した。

タケオしゃん(+69.3) 太くないお(+21.1) Ⓟ醍醐大(-9.1) Ⓟ松ヶ瀬隆弥(-81.3)
https://tenhou.net/0/?log=2021102020gm-0009-10011-4c29f066

3半荘目

開局、親が早々に1mをポンしてホンイツ模様。

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そこに自身は7巡目にこのイーシャンテン。
仕掛けを無視すればダブ東を切るのが一番手広いのは当然。
果たして太くないおの選択は?

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東ではなく、打5sとした。
対面の仕掛けはまだ字牌が1枚切られただけで数牌も余っておらず、まだテンパイはしていなさそうだが、仮に対面に東を鳴かれてしまうと親の高打点が確定してしまう。早そうな他家もいないため、鳴かれた場合は親の一人旅で満貫~跳満級の手をツモられないようにじっと祈るだけの時間になってしまうのだ。何よりも、自身の手が赤5pを使わなければ打点的魅力がないというのが大きいのだろう。アガるだけではなく、こういった繊細なバランスが3度の天鳳位に輝いた所以である。

この半荘は4回のアガリがあったものの、醍醐の厳しい親満に飛び込んでしまい、原点持ちの3着で終了した。

Ⓟ醍醐大(+59.0) Ⓟ松ヶ瀬隆弥(+27.3) 太くないお(+0.6) タケオしゃん(-86.9)
https://tenhou.net/0/?log=2021102021gm-0009-10011-e3f7ce88

4半荘目

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満貫テンパイからの2連続満貫への放銃という苦しい展開で迎えた南1局。
2巡目に親から切られた1pのポンから発進した。
門前では4対子の重たい手牌だが、鳴きやすいブロックが揃っていてターツも足りているのでポンの一手だ。

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首尾よく残りのブロックも鳴けて、電光石火の両面テンパイに成功した。

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他家でこの仕掛けにまっすぐ押してきているプレイヤーはいないが、アガリ牌の47mをなかなかツモることが出来ず、3段目終盤に差し掛かった。
ツモ切りが続く中、雀頭の9mを持ってきてふわっとツモ切ってしまいそうになるが、太くないおは丁寧に空切りとした。
自分目線ではただの西バックの両面テンパイだが、自身の仕掛けと河を見るとトイトイ、なんなら混老頭などの手役を連想させてもおかしくはない。
そこで9mを手から出すことで、端の牌を重ねようとしていた、もしくは単騎待ちをしていたところを待ち変えしたように演出したのだ。
他家は受けてはいるものの、終盤に1牌切ればテンパイを組めるイーシャンテンが入っている者がいてもおかしくはない。とはいえ、カンが2つの3副露が入ったこの状況でそう簡単に当たり牌を切るメンツではないことは太くないおも承知の上だ。しかし、誰かが、何十回に1回、両面ではなく単騎待ちと読んで単騎に刺さらなさそうな47mを打ってくれるかもしれない。
そんなミスリードを誘うため、最終盤でも、4センチでも、出来ることやるべきことをやっていく。
その後無事4mをツモり、あの手を満貫に仕上げてみせた。

しかし、反撃も届かずこの半荘は惜しくもラスとなってしまった。

タケオしゃん(+70.1) Ⓟ松ヶ瀬隆弥(+20.1) Ⓟ醍醐大(-3.6) 太くないお(-86.6)
https://tenhou.net/0/?log=2021102022gm-0009-10011-d48da720


最終結果はこちら。

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着順は1-2-3-4でサイクルヒットだったが、素点が大きくプラスで第1節を終えた。

実際のところ、書きたいシーンはめちゃくちゃあって、牌譜を見つつ
「すげー、すげー」と言いながらスクリーンショットを何枚も撮っていたのだけど、記事のボリューム的に載せることを諦める格好にした。
(それでもいつもよりだいぶ長いけど)

全体的に、魔法のような手順の仕掛けとか、鋭い読みからのリーチへのプッシュとかがあるわけではなくて、淡々と正着打を積み重ねていくのが太くないおというプレイヤーだ。
シーンとしては取り上げなかったが、リーチに対してのイーシャンテンプッシュの基準が高く、親番でドラ3あるような手でも、後手に回ればしっかりと対応していくシーンはさすがの一言だった。

太くないおは意外にもまだ天鳳名人戦位に輝いたことはないが、今回も名だたるトッププロの中でも優勝候補の一人と言って良いだろう。

2節目以降も、配信や牌譜を見た者に対して
「これがトリプル天鳳位だ」というところを見せつけて欲しい。

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