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#テレ東ドラマシナリオ『【#100文字ドラマ】そのさよなら、代行します』シナリオ案-2-


「#テレ東ドラマシナリオ」のコンテスト向けに、シナリオを書いている。


選んだのは、みねたろうさんの「そのさよなら、代行します」



締め切りまで、連載形式でシナリオを公開することにした。今回は、2回目だ。

シナリオ1はこちらから

#テレ東ドラマシナリオ『【#100文字ドラマ】そのさよなら、代行します』シナリオ案-1-


ーあらすじー

人に代わってさよならを代行する「さよならメッセンジャー」、森久保広明。数々のさよならに立ち会った末、森久保は店じまいを決めた。

そんな森久保の元に、さよならメッセンジャーを始めるきっかけを作った女優・夏木秋が訪ねてくる。驚きを隠せない森久保に対し、夏木は意外な言葉を口にする。

「あなたへのさよならを代行してほしいの」

夏木は、ある劇場の舞台上で、森久保に別れをつげたいのだという。

「俺がアンタに代わって?ってことは、自分で自分にさよなら言えってか?」

「ふふふ、違うわ。私があなたの役をやるのよ」

森久保は戸惑いながらも、夏木に言われるがままに、"彼女が演じる自分にさよならを告げる"、という奇妙なシナリオへの準備を進めていく。

さよならメッセンジャー、最後の不思議な依頼が幕を開ける。


ー以下、シナリオ2ー

(駅前)

森久保、スマホを取り出し、マップで劇場の位置を確認。歩き始める


〇劇場の前

森久保、劇場の敷地前まできて立ち止まる。森久保、ポケットからメモを取り出して見る。


〇事務所の中(回想)

森「はぁ?つまり俺が、アンタに代わって、俺にさよならを言えと?」

夏「そうよ」

森「いやいやちょっと待てよ。てことはなんだ、自分で自分に向かってさよならしろってか?」

夏「あはは、違うわよ。馬鹿ね」

森「じゃあなんだよ!」

夏「私が、あなたの役をやるのよ」

森「はいい?」

夏「あなたは、あなたの役をやる私に向かってさよならを言ってくれればいいの」

森「いやいやいや、もう全然わかんないって。混乱。」

夏「まぁまぁ。とりあえず、ここにきて頂戴。詳しくはそこで話すから」

夏木、ポケットからメモを取り出し、森久保にわたす。


森久保、メモもみずに

森「でも……」

夏「じゃ私、もう行くわね。このあと打合せあるから」

夏木、荷物を持ってドアにカツカツあるいていく

森「えっ、あ、ちょっと」

森、夏木を追いかけようとする。夏木、ドアの前まで来て急に振り返りる。

夏「そうだ」

森「うぉっ、なんだよ」

夏「傘、忘れずに持ってきてね」

森「傘?」

夏「えぇ。じゃね」

夏木、颯爽とドアを出ていく

ドア締まり、残された森久保。渡されたメモに目を落とす。劇場の名前が書いてある

森「ここかよ……」


(劇場の外)

メモの画面。森久保、メモから目を離す。劇場の看板。


森「……すげー久しぶりだな」


(劇場の中)


森久保、劇場の扉を開けて、中をのぞきこむ。

夏木、舞台中央に椅子を置いて脚本を読んでいる。森久保に気づいて顔を上げる。

夏「おっ、ちゃんと来たわね」

森「お前が呼んだんだろ」

夏「(笑いながら)そうね。ありがとう、こっちきて」

森久保、舞台の前まで行って夏木を見つめる

夏「どうしたの?」

森「この角度、懐かしいな」

夏「ふふふっ、そうでしょ。ここからあなたを見るのも久しぶり」

森久保、少し顔をそらす

夏「今日は、あなたもこっち側に来るのよ(足元を指さしながら)。さ、上がって」

森「……おう」

森久保、席に荷物置いて、舞台に上がる

夏「傘は持ってきた?」

森「あぁ」

夏「えっ、それもしかしてそれ」

森久保、傘をひらいて夏木に見せる。

夏「……まだ持ってたんだ、それ」

森「まぁな。」

森久保、傘をたたむ

森「で?」

夏「えっ?」

森「俺は、何をやればいいんだ?」

夏「あっ、あぁ!そうよね。はい!(夏木、持ってた脚本を森久保に渡す)」


森「はいって・・・・・・なんだよこれ」

夏「台本よ」

森「台本?」

夏「そ、あなたが今からやるセリフが書かれてるのよ」

森「いやいや、俺は演技なんてできないぞ」

夏「ふふっ、知ってるわよ。大丈夫、あなたは、ただその台本どーりにセリフを言ってくれればいいの」

森「はぁ。でもそれで?別れの代行はどうするんだ」

夏「いいの。やればわかるわよ」

森「いや全然分からんって。お前は何をやるんだよ」

夏「私はあなたのセリフに合わせて、あなたの役をやるのよ」

森「あぁ、そういう。てか、(脚本かざしながら)これ、なくていいのか」

夏「私を誰だと思ってるの。セリフなんて全部入ってるわよ」

森「ふん、すっかりベテラン女優だな」

夏「まぁねー」

森「はぁ。よくわからんけどまぁ……」

森久保、台本をめくろうとする

夏「だめっ」

森久保、めくろうとする手をとめる

森「うぉっ、なんだよびっくりした」

夏「やる前に読んじゃダメ」

森「なんで」

夏「ネタばれになるでしょ」

森「そりゃそうだけど、その……なんだ」

夏「どうしたの?」

森「あのさ、やっぱおかしいって」

夏「えっ?」

森「なんでさ、今更?」

夏「あぁ。まぁ、そうよね」

森「そうだよ。おかしいだろ、こっちはもう二度と会うことなんてないと思ってたんだ」

夏「私だってそうよ。あんなひどい別れ方されて」

森「うっ……。ならなんで」

夏「答えが出たの」

森「えっ」

夏「あれからずっと考えてた。あの時私、どうすればよかったのか。それがね、分かったの」

森「……」

夏「だから、最後付き合ってよ。やっと答え、見つけたんだから」

森「……わかったよ」

夏「ふふん(いたずらな笑み)。じゃ、やりましょっか」

森「でもどうやって始めればいいんだ」

夏「私が合図したら、ライトが消える。で、またすぐつけるから。そしたらはじめ。あなたのセリフからね」

森「了解。あぁ、なんか緊張してきたな」

夏「あはは、大丈夫よ。誰も見てないんだし」

森「そういう問題か?」

夏「私ものびのびやれるわ。はい、じゃあ始めるわね」

森「えっ、もう?ちょっと待って」

夏木、舞台袖に入る。

夏「はい、ライト消すわよ。Take it easy~!」

森「あぁもう・・・・・・」

ライト、暗転。


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