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就活をして学んだこと

全国の大学4回生は、就職活動や院試などを終え、残り少ない学生生活を謳歌しているところだろう。私もその一員となる予定だった。いや、正確には謳歌している途中だが、来年社会人になるつもりで謳歌する予定だった。私は他の人があまり経験しないような特殊な進路決定を終えた。今回はその記録と経験から学んだことをここに書き記したい。

大学3回生夏

大学3回生の夏。私は就活を始めた。理由は簡単である。みんなが始めたから。前提としてお話しておきたいのが、大学入学当初、私は教員を目指していたことだ。そのためにわざわざ高校地歴公民科教員免許が取れるかつ海外の文化が学べる今の大学の学部を選んだ。3回生夏までは教員になるつもりで準備していたが、この流されやすい性格のおかげで、周りと足並みを揃えてインターンに参加し始めた。とはいうものの、まだ少し迷いがあり、就活も教採もほどほどにやっていた。

大学3回生秋

10月になり、早期選考が徐々に始まり出した。私がインターンに参加していた企業も早期選考が始まり、参加することにした。この頃になると民間就職にしようと自分の中で進路が決まり、本腰を入れて就活に力を入れ始めた。とはいうものの、やりたいこともいまいち決まっていない状態での就活は精神的にくるものがあった。

大学3回生冬

人生で初めての面接を受けた。面接は得意ではないと思っていたが、案外話すことができ、上々の滑り出しを切った。1月、初めて受けたベンチャー企業から見事内定を頂いた。それからも不動産会社、教育業界の会社と3月の就活解禁日までに3社から内定を頂いた。

いざ、就活解禁

3月1日。全国の就活生が一斉に本格的に就活を始める。そんな中の一人である私も、説明会の参加やESの提出、Webテストの実施など、毎日忙しない一日を過ごしていた。そんな中で私の頭の中にあった気がかりのひとつ、教育実習。5月のGW明けから2週間、母校での実習が予定されていた。必然的にその期間は就活を行えなくなる。そのため、できるなら4月いっぱいで就活を終えたいと思っていた。しかし、やりたいことも決まっていない、業界もバラバラの私にとって、就活は暗闇の中で出口を探すようなものであった。

実習直前の病み期

4月最終週の時点で、何社もの面接をこなし、落ちては新しい企業にエントリーし、の繰り返し。4月前半でこの企業なら働きたい!と思える企業を1社見つけていたが、2次選考であるGDでお祈りメール。就活が振り出しに戻ってしまった時であった。そしていよいよ2週間後には教育実習。この時、1度自己分析をやり直してみた。わたしが本当にやりたいこととは?これについて自己問答を繰り返したり、友人に話を聞いてもらったりした。時には涙を流しながら、人生21年間の中でいちばん辛い出来事といっても過言ではなかった。そんな中で、教育実習が始まった。

いざ、教育実習へ

5月10日。教育実習が始まった。運良く高校時代の恩師に実習教官を担当していただいたことや、同じ実習生の存在があり、毎日寝る時間が3時間ほどしか無いながらも、楽しい時間を過ごしていた。実習3日目頃には、「私は教師になりたい!教師しかない!」と思うようになっていた。そんな中で私の中に更に迷いが生まれる。①内定を貰っている教育関係の企業に就職する
②教職大学院に進学し、更に技術を磨いてから教員になる
③この時点では残っていると思っていなかった某大手レコード会社の採用面接に全力を尽くす
この三択である。この三択で悩んだ結果、②と③を並行しつつ、7月の教採も記念受験することに決めた。

就活と院試、教採の両立

某大手レコード会社の三次面接の準備をしながら教採の勉強をする日々。周りが続々と就活を終えていく中で、焦りしか感じなかった。正直、早く楽になりたかった。このような生半可な気持ちで面接を受けたからだろうか。エンタメ業界最王手の某レコード会社の面接は最終面接直前で終わった。今思ってみれば惜しいことをしたなと思いつつ、共に面接に臨んだ方の笑いのセンスには勝てないと潔く諦めもつき、私の就職活動は終わりを迎えた。

その後の結果

7月の教員採用試験は見事に一次で散った。多くの人が1年、いやそれ以上かけて準備する試験に、2ヶ月弱しか準備していない私が受かってしまっても申し訳ない。教採の失敗は諦めがつきつつも、人生初の試験落ちを経験し、来年に向けて早めに取り掛かろうと誓った。そして、本命の教職大学院入試も無事終わり、最終的な進路としては、大学卒業後、教職大学院へ進学することが決まった。

就活を経験して学んだこと

就職活動。これは多くの人が経験することだ。多くの人が人生の中で一番と言っていいほど大きな決断を迫られるイベント。この経験から私が学んだことは主に二つある。

①学歴社会というが、それはある意味間違っていないということ
もちろん学歴フィルターをかけられて落とされるということも無くはないだろう。しかし、高学歴な人ほど、一つ一つの行動に考えを持っているなど計画性が高く、時間の使い方も上手い。旧帝大に進学した友人の話を聞くと、周りも同じような友人が多く、互いに触発されながら有意義な学生生活を過ごしていたようだ。それに比べ、関関同立に通う私の周りは、The私大生的生活をしている人が多く、もちろん大手企業に就職する友人もいるが、多くが名の知れない企業に就職していく。高学歴だからいい企業に行けるという言い方は少し誤解を生むが、社会で活躍する特徴を持つ人材の候補生が集まる環境にいることのアドバンテージが「高学歴=いい企業に就職」という事実を生んでいるのだろう。自分の意思を持って環境を選ぶことが大切なのだと痛感させられた。甘い環境に入るも厳しい環境に入るも自分次第。

②他者への自己開示と協力
当初教採か就活で迷っていた私は、就活一本で動いている友人に迷惑をかけまいと一人で就活をしていた。また、周りに公務員志望が多かったことも影響したのだろう。ほぼほぼ一人で就活をしていた。(もちろん友人と愚痴を言い合う時間は取っていたが)自己分析も一人、面接対策もYouTubeを見てやる、など。しかし、2月手前でそれには限界があると感じ、初めて人に頼った。今まで誰かに自分のことを打ち明けることに恥ずかしさがあり、頼ることができなかったが、友人から紹介された就活エージェントの方に話したことをきっかけに、自分のことを打ち明けられるようになった。それ以降友人と銭湯に入りながら自己分析をしたり、エージェントの方に面接練習をして頂いたりと、誰かと協力してやるようになった。また、自らの足でOB訪問を行くなど、就活にも積極性を見いだせるようになった。最終的には教員という道を選んだが、その道を選ぶ過程でもいろんなバックグラウンド(教師一本で来た人、就活と並行しながら教員になった人、大学院を経由した人など)を持つ人に相談をしながら、自分が選ぶべき選択を自分で決することができた。自分自身のことを他者に打ち明けることは、誰しもが恥ずかしいと感じることだろう。しかし、その恥ずかしさの殻を破り、他者に自己開示できるようになってこそ、様々な選択肢の中から最善の選択を選びとることができるのではないかと、就活を通して私は学んだのである。

さいごに

今後教員になるにあたり、生徒に対するキャリア指導は必要不可欠であると考えている。多くの教員が教師一本で大学生活を送ってきたことと比較して、私は就活、教採、院試と多様な進路選択の機会を経験してきた。これは他者にはない強みだと感じており、この経験を生かして、私の経験をありのままに伝え、生徒のキャリアの幅を広げる一翼を担いたい。

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