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カネ・カネ・カネ・介護で儲けよう!?

 


 介護事業で不正請求や利用者のお金を搾取したりする事件が目立ってきたように思います。前からあったことが表面化してきたということかもしれません。

1.2万2千円盗み行政処分:川崎市「アスフェル訪問介護百合ケ丘」

 川崎市は3日、訪問介護サービスを利用する高齢者から職員(40代)が利用者(男性・80代)の自宅で2万2千円を盗んだとして、同市麻生区の「アスフェル訪問介護百合ケ丘」(株式会社ASFELL経営)を、介護保険法に基づき3カ月の新規利用者受け入れ停止処分としたといいます。

 事件は見守りカメラで映像を見た家族が気付いて発覚したとのこと。

 事業所を経営する(株)ASFELLが、川崎市に「職員が利用者のお金を盗んだ」と通報し、市は6月18日に監査を実施し、経済的虐待があったと判断したといいます。

2.元管理者が利用者のお金を着服

 弘前市の介護事業所の元管理者(男性・55歳)が利用者(女性・86歳)の口座からあわせて50万円を着服したとして業務上横領の疑いで逮捕されました。容疑者は「生活費やパチスロに使った」と供述しているとのこと。

 事件は、介護事業所の運営会社からの告発で発覚したとのこと。

3.足立区の介護事業経営会社(株)トリプルが5,700万円を不正受給

 NHK首都圏のニュースによると、東京・足立区の介訪問介護事業所「訪問介護サービスすずのき」が、本来は勤務していない訪問介護員の名前を利用して虚偽のサービス記録を作成するなどして、介護報酬5700万円あまりを不正に受給していたことが都の監査でわかったとのこと。

 足立区のホームページには「元介護事業所の不正請求等の公表について」という文章が掲載されており、以下のようになっております。

 足立区は、下記法人の運営する介護事業所(指定地域密着型通所介護事業所、指定居宅介護支援事業所)に対し、介護保険法(以下「法」という。)に基づく監査を実施したところ、介護報酬の不正請求等が行われたことを確認しましたので、以下のとおり該当の法人名等を公表します。
・・・略・・・
1 法人の名称及び所在地
(1)名称  株式会社トリプル
       代表取締役 鈴木 高明
(2)所在地 東京都足立区鹿浜5-5-22
2 不正請求等が確認された事業所名等
(1)事業所名    デイサービスすずのき
   所在地     東京都足立区鹿浜5-5-22 鈴木ビル1階
   サービス種別  指定地域密着型通所介護
(2)事業所名    ケアマネジメントすずのき
   所在地     東京都足立区鹿浜5-5-22 鈴木ビル1階
   サービス種別  指定居宅介護支援
3 監査で確認された不正内容
・・・略・・・
4 不正受領額
約96万円
内訳 1. 指定地域密着型通所介護事業  約31万円
   2. 指定居宅介護支援事業  約65万円
※介護給付費以外の扶助費などは含みません。
5 その他
(1)不正、違反行為により、不正に請求された介護給付費について、法人に対し法第22条第3項に基づき返還通知を交付しました。
(2)同法人は、監査の聴聞前に廃止届を提出したため、同法人の役員は、事業廃止後5年間、介護事業所の指定を受けられない者に該当します。
 なお、同法人が運営していた指定訪問介護事業所においても不正請求が確認されています。指定訪問介護事業所の不正請求等については、別途、指定権者である東京都から公表されます。

令和6年10月1日
足立区介護保険課「元介護事業所の不正請求等の公表について」

 ようするに、この株式会社トリプルは通所介護事業、居宅介護支援事業、訪問介護事業で不正受給していたわけで、不正受給額は合計5800万円にもなります。悪徳会社です。
 不正がバレそうになって、慌てて事業所を廃止したのかもしれません。

4.訪問看護師たちのMetoo運動

 以前に紹介しましたが、(株)サンウェルズ(本社・金沢市)が経営するパーキンソン病専門の有料老人ホーム「PDハウス」が不正請求の疑いがあるとして報道されています。

 このような過剰な訪問看護で荒儲けしている事業者が多いのですが、看護職員たちが声を上げ始めているという次の記事は明るい情報だと思います。

パーキンソン病などの難病や末期がんの人を対象にした有料老人ホームで、過剰な訪問看護や不正な診療報酬の請求が相次いで指摘されている。記者が今年1月、精神科の訪問看護について同様の問題を報じて以降、「私の勤務先でも同じことをやっています」「うちの会社とそっくりです」といった声が看護師から続々と届いている。さながら「MeToo運動」のようだ。

共同通信 市川亨 2024.10.01 山陰中央新報デジタル

 現場の生々しい声を記事から抜粋します。

 「入居者の睡眠状況を検知するセンサーが各居室に設置されているんですが、夜間にモニターの画面を見て、眠っているのを確認しただけで『2人で訪問看護を約30分した』ことにして、診療報酬を請求しているんです」

 夜間に看護師が居室のドアを開け、数十秒~数分で安否確認した場合でも、やはり2人で約30分訪問したように記録しているのだという。
「私が勤務するホームでは、ほとんどの看護師がそうしたことをしている」

共同通信 市川亨 2024.10.01 山陰中央新報デジタル

 介護業界はカネ・カネ・カネの亡者に荒らされている!

 介護事業においても資本の論理、つまり、金儲け至上主義が貫徹しています。そのため、社会保障としての介護事業が歪んできていると思います。
 介護を守るためには、介護職員、看護職員らの職業倫理に期待するしかないのかもしれませんが、戦う現場の職員らを孤立化させず、連帯と支援が必要なのだと思います。 

 政府・厚生労働省に言いたいことは「介護事業者の大規模化だぁ!」「介護事業の生産性向上だぁ!」とはしゃがずに、地域社会の共有財産・コモンとしての介護事業を整備すべきだということです。
 介護を一般の市場原理に任せるのではなく、社会福祉法人やNPO、一般社団等の非営利団体の介護事業経営を支えていくことが大切です。


 以下のnoteもご参照願います。


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