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蜘蛛さんたちの住宅事情

まるで人が住んでいないかのように

 あたしの住んでいる集合住宅の入り口付近には、電気のメーターとか、端っこだから雨樋とか、まあそのたぐいの平凡な凸凹があるのですが、そこに、ひいふうみいよお・・・・数えてみると、だいたいいつも7匹、小さな蜘蛛さんがいらっしゃいます。

 たまに訪ねてくる人が、「なんなのあの玄関先の蜘蛛の巣は?人が住んでいない家みたいじゃないの」というぐらいに、小さいけどそれなりに立派な巣を張ってます。電気メーター(だと思うが)の右と左と下と真ん中、風が当たりにくい右側は2段掛け、みたいな感じ。あとの2匹は雨樋のところと、天井近くにおられます。もう当然のように堂々といつもそこにおられるので、「あたしたちの家の玄関なんだけど、君たちの家でもあるわけなんだね?」と、思わず話しかけてしまいます。

 散歩に出て帰ってきたときなど、それらの蜘蛛さんたちをじいーっと観察します。これがね、毎日大きくなるんですよ。そんなに餌が豊富なんでしょうか?9月、もう10月に入りましたから、一番虫が多い時はもう過ぎているかと思うのですが。

定期清掃という敵はいる

 家人も蜘蛛のことには気がついていて、ある時、「蜘蛛がいない!」と報告してくれました。

 マンションには定期清掃という「蜘蛛の巣の敵」がありますから、そういうときもあるんじゃないかと思います。玄関の外は共有部分ですから、それについて我が家がなにか言うことはできません。真面目な管理人さんの手によって、蜘蛛の巣ははらわれます。

 ところがですね、次の日にはまたいたんですよ。でもなんだか小さい気もする。もしかしたら新しい蜘蛛さんたち?いや、それとも、巣はあきらめたけど、蜘蛛さんたちは逃げおおせて、また戻って来ただけなのかもしれません。

 それにしても7匹ですよ。いやあ、そんなにいい場所なのかしら?

 そしてそれから数日間、日に日に体が肥えて行くんです。獲物を食している場面には出会ったことはないんですが、暮らしは成り立っているんだなということが、その成長ぶりからわかります。

台風が来ている時は?

 10月1日、台風が来ました。
  あたしは、お出かけしたくはなかったのですが、歯医者の予約があるので玄関の外に出ました。
 「蜘蛛さんはどうしているかな?」と思ってみてみたら、見当たりません。わずかに一匹、雨樋の陰に残っているだけ。

 そこは雨も風も当たりにくい、特等席であるようでした。他の6匹は見えるところにはおりませんでした。

 つまり、雨風の厳しい時には、蜘蛛さんたちはどこかに避難なさっているんですね。そして元の場所を覚えていて、また戻ってくる、ということをしているんでしょう。

 そういえば9月中のものすごく暑い日、姿が見えなかったときがあります。暑すぎるのもダメなのかもしれません。金属にペンキが塗られたメーターの箱付近は、プラスチックの雨樋やモルタルの壁より熱くなるのかもしれません。

いつお戻りになるんだろうか?

 さて10月2日になりました。早朝の5時半です。雨はやんで、風もありません。でも少し肌寒い朝です。

 今見てきましたが、雨樋の陰の特等席も含めて、一匹もみえませんでした。蜘蛛の巣はクシュクシュに縮んでしまって、あらかた無くなっておりました。

 これからもっと明るくなって、暖かくなったら、また戻っていらっしゃるのかしら?7匹とも?その時はまたちょっと体が縮んで(痩せて?)いるのかしら?

おかえりなさいませ

 で。2日の昼間にはまだいませんでした。雨もまた降ったので、今度は雨樋の陰の蜘蛛さんも消えました。

 そして夜。見に行くとやっぱり戻っていらっしゃいました。夜が狩の本番なのでしょう。玄関の電灯が点いていますから。それが獲物を誘うのでしょう。

 でも、今は比較的大きな身体の個体が4匹だけ。後の3匹は後から合流するのかしら?それとも台風を耐えることができなかったのかしら?

 しばらくは蜘蛛さんのおかげで玄関の外に出るのが楽しみになりそうです。それだけの話なんですけどね。

おひねりをもらって暮らす夢は遠く、自己投資という名のハイリスクローリターンの”投資”に突入。なんなんだこの浮遊感。読んでいただくことが元気の素です。よろしくお願いいたします。