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【夢】鳥を呼ぶ鳥

 窓から飛び飛んで来た小鳥がどうやら弱っているので世話をしていた。飼育箱に入れてすり餌を食べさせて、暖かくする。

 形はヒヨドリのように見えるが色が違う。濃い群青色で羽が煌めいている。手のひらに収まる小ささだ。

 まもなく元気になって部屋の中を飛び始めた。この家は天井が高く、二方向に広い窓が開いている。窓には網戸がはまっているが、この子が入って来た時のように窓が開いている事も多い。

 その子は飛び上がって部屋の中の蝿を捕まえて飲み込んだ。あたしはハッとした。植物性のエサしか与えていなかったからだ。
「ごめんね.気がつかなくて。豚肉とか食べるかな?試してみるね」

 なんて呼べばいいかしら?ピヨちゃんでいいかしらと思いながら冷蔵庫の豚肉のことなど考えていると、窓の外に鮮やかな色の鳥の群れが見えた。うちに近づいて来る。

 ベランダに出ている連中が、窓を開けろと騒いでいる。そうでないと鳥の群れがガラスに激突するからと。

 それはインコの群れだった。鳴き声が塊になって耳を襲う。色はロイヤルブルーで、見た事がない色味だが、馴染みのある鳥たちだ。
 十数羽の群れがうちの窓から板の間に入ってきた。カーテンや椅子や思い思いの場所にとまる。

「すぐ窓は閉めてね。ピヨちゃんが外に出てしまうから」とあたしはいい、家の連中はその通りにしたが、なんだか次々と鳥やら犬やら入って来たがるので、窓はいつまでもあの子が出て行ってしまえるぐらいには開いているのだ。

 ここには動物性の餌が無いから、すぐにでも出て行きたいと思っているかも知れない。体力ももう大丈夫かもしれない。でもまだ心配で離れ難い。

 「待っててね。今豚肉を調理してみるから」とあたしはあの子に言う。
 調理と言っても脂身を細長くして虫みたいにうねらせてみるだけのことだ。それがダメならまた別のことを考える。

 しかし次から次へと鳥が来るのだった。犬も猫もなんだか増えている。犬猫でないものまでいるような気がする。鳥たちは大丈夫なんだろうか?

 ベランダの連中は動物に詳しく、入って来るものの健康チェックなどしているが、指示しなければならない事も多い。なかなか冷蔵庫に行けない。

 あたしは窓とあの子を気にしながら作業に追われる。いったいここは何なのだろう?第一誰の家なのだろう?野鳥たちが、なぜ勝手に入って来たりするのだろう?

 ピヨちゃんは上手にホバリングをしながらあたしを見た.まだしばらくはここにいるよと言っている気もする。どんどん他の鳥がやって来るのも、この子のせいかもしれないと思う。まだ豚肉の調理ができないまま、そう思ったのだった。

終わり

おひねりをもらって暮らす夢は遠く、自己投資という名のハイリスクローリターンの”投資”に突入。なんなんだこの浮遊感。読んでいただくことが元気の素です。よろしくお願いいたします。