見出し画像

ミニマムタックスとは?超富裕層の課税強化の背景、仕組みについて解説

はじめに

 こんにちは。SYNCA合同会計事務所 税理士の細見です。
 2025年から新たに導入される「ミニマムタックス」は、特に高所得者層を対象にした追加課税制度です。
 具体的には、年間の合計所得が30億円以上、または金融資産による所得が10億円以上の人々に適用されると見込まれています。
 この制度は、特定の超富裕層に対して、税負担の公平性を高めるために設けられたものです。
 本記事では、このミニマムタックスの基本的な仕組みや対象者、除外される所得などについて、わかりやすく解説していきます。


なぜミニマムタックスが導入されるのか?

 日本の所得税は累進課税制を採用しており、最高税率は45%です。しかし、富裕層は金融所得に対して20.315%の低い税率が適用され、所得が多いほど実質的な税負担が軽減されるため、不公平感が指摘されています。この問題を解消するために、ミニマムタックスが導入されました。

ミニマムタックスの仕組み

 年間合計所得が30億円を超える場合、通常の所得税に加え、追加課税が行われます。特別控除額3.3億円を差し引いた額に22.5%の税率が適用され、通常の所得税を超える部分が追加納税額となります。

例:年間所得60億円の場合

※年間合計所得がすべて金融資産である場合、所得税率15%で試算します。

  • 通常の所得税額(60億円×金融所得税率15%):9億円

  • ミニマムタックス適用後の税額(60億円-3.3億円)×22.5%:12億7,575万円

  • 追加納税額:3億7,575万円

2025年からの実施予定

 2023年に成立した税制改正法案により、ミニマムタックスは2025年から適用され、超富裕層に対する低い税負担の是正が期待されています。

背景

「1億円の壁」の解消

 日本では「1億円の壁」として、所得が1億円を超えると税負担率が逆に低下する現象があります。ミニマムタックスは、この不公平を是正するために導入されました。

国際的な対応

 アメリカやヨーロッパ諸国で既に導入されている超富裕層への追加課税に倣い、日本も国際的な税制の公平性を高めることを目指しています。

対象者と除外所得

対象者

 純金融資産5億円以上、年間合計所得30億円以上の超富裕層が対象です。すべての所得が金融所得の場合、10億円以上から適用されます。

除外される所得

 NISAやエンジェル税制による非課税所得、スタートアップへの再投資による所得はミニマムタックスの対象外です。

終わりに

 このように、ミニマムタックスは超富裕層への追加課税を通じて公平な税負担を目指す制度です。興味のある方は、2025年の施行に向けて詳細をチェックしてみてください。
 SYNCA合同会計事務所では、上記のような税に関するお悩みや相談、個人の確定申告などの支援も行っておりますので、ぜひお気軽にお問い合わせください。

SYNCA合同会計事務所 お問合せフォーム