#25. 能力の高い企業研修担当者がいつも気にしている10の事
研修業界に長くいると、他企業で活躍するトレーナー、ファシリテーター、コンサルタント、コーチ等と「どうしたらより良い研修に出来るか」と言う会話が増えてきます。そんな会話の中から、今日は私なりに、つい忘れがちな、企業研修運営に於る重要な事トップ10をお伝えします。
1. 明確な目的の事前共有: 研修が成功するためには、目的がはっきりしていることが不可欠です。参加者は自分の学びが直接的な成果に結びつくことに期待していなければ、能動的に参加することができないからです。
「上司に言われたから参加しました。何のために来たのか知りません」と言う受講者は意外と多いのです。必ず予め伝え、可能なら事前課題も出しましょう。
2. カリキュラムの柔軟性: 参加者のニーズやレベルに合わせたカリキュラムの調整は、研修の効果を最大化するために重要です。質問を受け入れ全力で応えてください。質問には、知識やスキル不足による疑問と個人や組織の内面の問題による疑問がありますので、可能ならコンサルタントとコーチを予めアサインしておきましょう。
3. 実践的な内容の組み込み: 理論だけでなく実践を取り入れることで、学習効果は大幅に向上します。例えば、マネジメント研修でのロールプレイやケーススタディは、実際の職場で直面する可能性のある状況を想定し、実践的なスキルを身につけるのに役立ちます。
ロープレ後には、何故そう言う対応や行動をとるのが最適なのか、理論的にも説明してください。
企業研修に於いては、感覚的にわかるタイプの方よりも、理論的に理解したい方のほうが圧倒的に多いと私は思います。「研修なんて現場では結局役に立たない」と受講者は思っています。貴方の研修では、そう言われないようにしましょう。
4. 参加者間のコミュニケーション促進: 参加者同士の交流は、新たな視点を学び、アイデアを共有する機会を提供します。研修後の学び合いにも効果が高いです。
この時間を多めに確保した研修は、比較的、受講後アンケートで受講満足度が高い傾向にあります。
5. 評価とフィードバックの実施: 研修の効果を測定し、改善点を特定するためには受講者による評価とフィードバックが必要です。研修後に参加者から収集したフィードバックは、内容の改善や次回の研修計画に活用されます。
採点方式も良いですが、できるだけ詳細なコメントを求めてください。たまにですが、適切で強力なアドバイスが得られる事があります。
6. 上司の関与と研修後のフォローアップ: 上司の関与は、研修の成果が実務に生かされるために重要です。研修後に参加者と上司が一緒に行動計画を立て、学んだ内容の実践をサポートするように仕組みます。これを建てつけるのは、なかなかハードルが高いものですが、成人発達にとって最大級に重要だが、難しい「継続や習慣化」に最もアプローチできる方法です。
7. エンゲージメントの高い研修環境の構築: 参加者が研修に積極的に関与するためには、エンゲージメントを高める工夫が必要です。インタラクティブなワークショップやグループディスカッションは、参加者を研修に引き込み、積極的な学びを促します。
私の場合は、参加者全員と話すべきポイントを予めタスクリストに記しておき、必ず全員と会話をします。初めて会う方ばかりの場合はなかなか難しいですが、それでも、朝の待ち時間、ブレイクタイム、トイレタイムは、自分が休む時間ではなく、コミュニケーションを取る時間にしています。
私見ですが、この活動が最も満足度と口コミの向上に貢献していると言う肌感があります。
この理由から、研修担当者は、実際に登壇するトレーナーは自分でやらず、信頼できる他人に任せるのがベターと考えています。
8. 組織内外の専門家の活用: 日本企業では社内の方だけで研修を行う会社が多く、外資企業では社外の専門家に依頼するケースが多いようです。一方の専門家だけでなく、両方の専門家や業界リーダーを招聘し、研修に新たな視点や専門知識をもたらすようにアレンジしましょう。
勿論予算問題がありますし、運営の難しさ、煩わしさも加わりますので簡単ではありませんが、効果が上がります。
9. 上長への感謝メール: 参加者へのフォローメールもさることながら、参加を促してくれた上長への感謝と継続的サポートの依頼は欠かせません。そこまでやる研修担当者は少ないようですので、特別感もあり、貴方の研修へのファンを増やす事に貢献します。
10. 健康とウェルビーイングの重視: 長時間の研修では、参加者の健康やウェルビーイングにも配慮しましょう。適切な休憩時間、健康的な食事の提供、ストレス管理を心掛けましょう。
自由に飲めるコーヒー、スナックや喫煙場所の確保、そして柔軟なブレイクタイムは肝です。
参加者の集中力が落ちてきたタイミングを見逃してはいけません。
これらの10の事項は、能力の高い研修担当者が高い成果を出すために、かなり意識している要点です。それぞれのポイントは、研修の目的達成、参加者の学習経験の向上、そして最終的には組織全体の成長に貢献します。効果的な研修プログラムは、これらの要素をバランスよく組み合わせ、参加者にとって意味深いものとなるよう設計しましょう。
私は「昨日よりも今日よりも明日」と言う思いが強すぎるためでしょうか、全く同じ内容の研修を二度は行いません。「更に良いものを」と考えていると、良さそうなアイデアに出会うんですよね。そうすると試してみたくなると言う循環です。任される専門家サイドにとっては大変なこと極まりないと思います。
この場を借りてお詫びしておきます。
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