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#17. アンガーマネジメント「6秒」が待てない方へ

「#5. アンガーマネジメント、本当に使えてますか?」では、昇華(物事が一段上の状態に高められること)のプロセスは深い共感によってもたらされるという事の一例を書かせて頂きました。
それは支援者がいる場合の事例でしたので、今日は支援者がいない場合の自身の葛藤や内在する怒りにどう向き合うかについてお伝えしたいと思います。

自分に対して腹立たしい、他人に対して腹立たしい、それはいずれも自分の価値判断である「正義と悪」が揺さぶられた時に発生します。

自分の価値基準に照らし合わせた時に、そぐわない場合、私のこの行為はだらしない、みっともない、ださい、恥ずかしい、惨め等と自らの中に腹立たしさが発生する。
一方、他人の行為に対して腹立たしさが発生するのも自分の価値基準に照らし合わせた時です。
「こいつ、何言ってんだ」「バカじゃねえのか」

全て貴方の価値基準による判断です。

「人は色眼鏡をかけて世界を見ている」「人は自分のフィルターを通して世界を見ている」という表現はよく聞いたことがあると思いますが、まさにこれが自分自身が幼少期からの経験を通して培ってきた価値観という色眼鏡が全ての人にはあり、多種多様な正義感として気付かぬ内に根付き、その基準で自分自身も他人も判断しており、その基準に執着を生むという構造になっています。

「正義感の何が悪いんだ」と思った方、「テロリストも彼らなりの正義感で活動している」ということを一度考えてみてもらいたいと思います。
ここでは、その正義感の善し悪しを問うているのではなく、また、貴方が悪いとも貴方が良いとも言っておらず、「その正義感を今、目の前にいる人に発生させることは必要なのか?」と自身に問うてみて欲しいという事を述べています。
そして、「むやみに振りかざすのを止める方法を知りたい」という方に向けて書き進めていきます。

以降、自分自身に対する怒りも他人に対する怒りも発生原理は同じという前提で、今回は主に、会議などのシチュエーションで、他人に対する怒りが発生したときの自分の中のプロセスについて話を進めます。

アンガーマネジメントに興味がある方は多いと思いますが、「6秒待て」と言われても、なかなか出来ない人の方が多いと思います。
それは、怒りが沸いた時の感情や体感覚は、自分自身だと考えてしまう事も大きな要因です。
変なことを言っているように聞こえると思いますが、これを「私の部下が騒いでいる」とまずは考えてみてください。ここで言う部下とは、あなたの思考・感情・身体感覚のことを指しています。(「#8. 無意識の自動運転に流されてる事に気付けない貴方は仕事に就けなくなる」の「御者の理論」をご参照下さい) 

その前提で、次のステップを踏んでみてください。
1.私の中の部下(思考や感情や身体感覚)が騒ぐかもしれない事を予め理解する
2.(発生)
3.怒りが沸いた事を認識する
4.胸のあたりで何かが騒いだ、身震いしたなどを感じ、感じたことを認識する
5.思考を流す(思考は御者であって王様ではない)
6.すぐに反応しない(保留する)
7.「彼の彼にとっての肯定的意図はなんだろう」と彼の身になって考えてみる

それが出来るようになったら(そんなに簡単にはなりませんが)、
1. 私の部下が騒ぐかもしれない事を予め理解している
2.怒りが沸いた事を認識する
3.怒りと相手の肯定的意図をすぐに融合させる

更には、
1. 私の部下が騒ぐかもしれない事を理解している
2.相手への敬意の前提を持ってのぞむ

と、ショートカットして行けるようになりましょう。

さあ、ここまで来て、残念なお知らせですが、正直、読んだだけではマスターするのは難しいです。
1. 落ち着いた時間をゆっくりとる(安心安定のベース作り)
2. NLPやマインドフルネスなどのワークで進め方の感覚を身に付ける(愛と貢献のマインド)
3. 坐禅や瞑想を日課にして馴染ませていく(習慣化)
ここまでやらないと、なかなか身体が自動的にはマネジメントしてくれません。
NLPの仲間との会話でも、少しずつ改善はするものの、やはりマインドフルネスや坐禅の継続によって、少しずつ身体に馴染んできて、いつの間にか穏やかな自分に気付くという感じなのが実際の所です。

しかも、以前にも申し上げた通り、「6秒」テクニックは、短期的処理をしているだけで、根因である、その「正義と悪」を決めるに至った背景に向き合っていないため、永遠に同じようなシチュエーションで発生してしまいます。
その怒りの一次感情にアプローチする方法が世の中にはありますので、やはり、学んで頂くのが結局は近道なんだと私は思います。
私達の人生は八百万の葛藤を一つずつ統合して行く修行の旅なんだと私は考えています。

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