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#27. 愛と力のバランス、どうとったら良いの?

マーティン・ルーサー・キングJr 牧師が
「愛のない権力は無謀で虐待的であり、力のない愛は感傷的で貧弱です。最良の状態での権力は、正義の要求を実行する愛であり、最良の状態での正義は、愛に対立するすべてを正す権力です。」

“Power without love is reckless and abusive, and love without power is sentimental and anemic. Power at its best is love implementing the demands of justice, and justice at its best is power correcting everything that stands against love.”

と述べたのは、彼の1967年の講演 "Where Do We Go From Here?" の中でした。
この講演は、南部キリスト教指導会議(SCLC)の年次会合で行われ、キング牧師はアフリカ系アメリカ人の権利向上のための非暴力と経済的平等の重要性について語りました。

牧師の言葉は、愛と力のバランスが当たり前のようでいて、実際にはその実践が難しいことも示しています。多くの人がこのバランスを見失う具体的な事例と、そうした状況でどう対処すべきかを今日は考えてみましょう。

事例1: 過保護な親子関係
親は子供を深く愛し、全てを与えようとしますが、それが過保護となることがあります。子供は自立する機会を失い、困難に直面した際に自ら解決する能力が育ちません。この状況では、親は愛情を示しながらも、子供に自己責任を持たせ、失敗から学ぶ機会を提供することが重要です。子供に小さな責任を徐々に与えることで、自立心を育てることができます。
昔からお父さん、お母さんがその役割分担をすると言う手法が有名ですが、近頃はどちらも愛だけに傾いてしまっているように思えます。

事例2: 権力主導の職場環境
あるリーダーは、目標達成のためにチームを厳しく管理しますが、従業員の意見や福祉を軽視してしまうことがあります。結果として、チームの士気は低下し、創造性が損なわれることがあります。こうした状況では、リーダーは目標に対する熱意を保ちつつ、チームメンバーの意見や感情を尊重し、参加と協力を促す必要があります。定期的なフィードバックセッションやチームビルディング活動が有効です。

事例3: 感情主導の意思決定
個人が愛や情熱に基づいて意思決定をすると、時に現実的でない選択をしてしまうことがあります。例えば、個人的な好意に基づいて不適切な人を昇進させるなどです。このような状況では、感情を認識しつつも、客観的な基準やデータに基づいて意思決定を行うことが重要です。意思決定プロセスに複数の視点を取り入れることで、バランスの取れた決定を行うことができます。

事例4: 社会活動の極端なアプローチ
社会活動家がある問題に対して深い情熱を持ちすぎると、時に極端で現実離れしたアプローチをとることがあります。このような状況では、活動家は自分の目標と手段を再評価し、より実現可能で効果的な戦略を立てる必要があります。対話と妥協を重視し、異なる立場の人々との協力を促進することで、より広範な影響を生み出すことができます。

これらの事例から分かるように、愛と力のバランスは、日々の生活や仕事において実践するのが難しい場合があります。しかし、適切なバランスを見つけることは、より健全で効果的な関係を築き、持続可能な成果を生むために不可欠です。以下に、バランスを取り戻すための具体的なアプローチを示します。

1. 自己反省と認識の向上:自分自身の行動や決断が愛か力に偏っていないか定期的に反省し、その影響を理解することが重要です。自己認識を高めることで、必要に応じて行動を調整することができます。これまでも何度かお伝えして来ましたが、思考に任せて、感情に任せて、そのままの言葉を発しないためには、「保留する」「魂に一度相談する」と言うプロセスが必要です。簡単ではありません。

2. コミュニケーションの強化:他者とのオープンなコミュニケーションを通じて、さまざまな視点や意見を理解することが重要です。これにより、愛と力のバランスを取りながら、より包括的なアプローチを取ることができます。これは、大前提として相手との深い信頼関係が必要です。オープンな関係は、前述の、自分も相手も深い自己認知が出来ている事からスタートします。自分だけではダメなので、更に難易度が高くなります。

3. フィードバックの受け入れ:他者からのフィードバックや批判を受け入れることで、自分の行動やアプローチに対する盲点を理解することができます。フィードバックは、愛と力のバランスを取る上で貴重な情報源となります。前述の二つの先にあります。

4. 柔軟性を持ったアプローチ:状況に応じて柔軟にアプローチを変えることが必要です。すべての状況に同じ方法が適用できるわけではないため、状況を正確に把握し、必要に応じて愛と力のどちらかを強調することが重要です。具体的な行動には幅広い知見が必要です。広い視野から判断するためには勉強はやはり必要です。

5. 目的と価値観の確認:自分の目的と価値観を定期的に確認し、それらが現在の行動や決断に反映されているかを評価します。これにより、愛と力が共に目的に沿った形で表現されるようになります。貴方がどのような世界を望んでいるのかにかかっています。イシキが向かう先に常に向き合う姿勢が必要です。

私のようにビジネスの世界に何十年も浸かっていた人は力の比重が高過ぎてバランスが悪いし、NLPやコーチングにハマり過ぎると愛の比重が高過ぎてバランスが悪いと言う事がよく起きます。
両方の世界を見てみると、どちらかの世界にしかいない方は、やはりバランスが悪く一元的になりがちだと感じます。

愛と力のバランスを取ることは、大変難しく、継続的な努力が必要です。しかし、このバランスを意識することで、より健康的で成果のある人間関係と社会を築くことが可能になります。
私自身、まだまだ力の方に比重がある自分に気付かされる事が多いです。

キング牧師の言葉を心に留め、日々の行動に反映させることで、私たちは個人としても社会としてもより良い方向へと進むことができそうです。

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