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#26. ケンウィルバーの4象限モデルと研修コンテンツ開発

多くの研修会場では「個人のスキルやノウハウ」向上のみを扱う事が多く、結局現場では活かされないという事がよく起きています。「その知識、役に立った。でも私の内側では拒否している。みんなは動かないだろう。」そんな声が聞こえてきそうです。

そこで、ケン・ウィルバーの4象限モデルのご紹介です。
これは、研修コンテンツの開発者にとっても、非常に有益なフレームワークです。このモデルは、人間の経験を個人的・内的、個人的・外的、集団的・内的、集団的・外的の、4つの異なる観点から理解することを提案しています。これらの観点を研修コンテンツに組み込むことで、より包括的で効果的な学習体験を創出することができます。

個人的・内的(主観的):
この象限は、個人の感情、思考、価値観を扱います。研修では、参加者が自己認識を深め、内面の動機や信念を理解することが重要です。例えば、ロールプレイや自己反省のセッションを通じて、参加者が自分自身の内面を探求し、個人的な成長を促進するような内容を取り入れることができます。
主にコーチによるコーチングやセラピストによるセラピーが効果的なエリアになります。
美を学ぶ象限とも言えます。

個人的・外的(客観的):
ここでは、個人の行動や能力が焦点となります。研修では、技能の開発や行動の変化を促す内容が必要です。例えば、実践的なスキルトレーニングや、特定の業務に関連する知識の伝達などが含まれます。この象限は、参加者が新しいスキルを身に付け、実際の業務に応用するための基盤を築きます。
主にトレーナーによるトレーニングが効果的なエリアになります。
真を学ぶ象限とも言えます。

集団的・内的(共感的):
この視点は、グループや組織内の文化、価値観、共有された意味に関連します。研修コンテンツでは、チームビルディングや組織文化に焦点を当てることが重要です。グループディスカッションやワークショップを通じて、参加者が共有価値や目標を発見し、組織としての一体感を育むことができます。
主にコーチによるグループコーチングが効果的なエリアになります。
善を学ぶ象限とも言えます。

集団的・外的(システム的):
ここでは、組織の構造、システム、プロセスが考慮されます。研修では、組織の効率性や業務プロセスの改善に関するトピックが重要です。例えば、組織のワークフローを分析し、より効果的な協働方法を模索するワークショップなどが含まれます。
主にコンサルタントによるコンサルティングが効果的なエリアになります。
真を学ぶ象限とも言えます。

ケン・ウィルバーの4象限モデルを研修コンテンツ開発に応用することで、個人の内面から組織のシステムまで、多様な側面から学習を促進することが可能になります。このアプローチは、参加者が自分自身と組織に対する包括的な理解を得るのを助け、より効果的な研修プログラムの開発に寄与します。

研修コンテンツを開発する際は、これらの4象限全てを統合することが重要です。各象限は独立しているように見えますが、実際には互いに深く関連していますので、参加者が各象限を横断して学べるようにプログラム化する事をお勧めします。

たとえば、リーダーシップスキルに関するプログラムを行う場合には、ある現場での課題に対して、受講者の自己認識や感情知性の向上によるリーダーとしての在り方をコーチングによって強化する(個人的・内的象限)、マネジメント手法やリーダーとしての各種スキルをトレーナーより伝える(個人的・外的象限)、チームのコミュニケーションや文化風土の形成をグループコーチングによって強化する(集団的・内的象限)、そして、組織構造に於けるルールや社内規則などコンサルタントのアドバイスで構築し(集団的・外的象限)、全象限からのアプローチが、考えうる最適な計画となるように促します。

このように、ケン・ウィルバーの4象限モデルを研修コンテンツに組み込むことにより、参加者が自分自身と組織の中でより効果的に機能し、持続可能な成長と発展を遂げられるようになります。

研修コンテンツ開発者として、このモデルを活用して、より実践的で実務に効果が出る学習体験を設計してみては如何でしょうか?

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