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#29. 相手の肯定的意図を探る事の絶大な効果

私たちの日常生活や職場でのやり取りにおいて、他人の肯定的な意図を理解しようとする態度は、予想以上に大きな影響を及ぼします。
今日は、一人一人のこの姿勢が、従業員の幸福感を高め、チームの結束を強化し、組織全体の成功に大きく貢献すると言う話をさせて下さい。

「あの人はいつも上から目線」「彼は嫌味ばかり言う」「あの部下は言い訳ばかりする」などなど、会社や組織でよく目に耳にしませんか?そして私達もやはりそう思ったことがある。
これが普通の人間だと思います。
しかしながら、私達、人材開発に関わる人間こそ率先して、そう思う自身に目を向け、それを見つめ直すと言う挑戦をしてほしいと思っています。
誰かが始めなければならないとすれば、それは「人様に人格を問う」人材開発に携わる人だと思います。

相手の言動に違和感を感じると、何やら暗黒のトンネルに引きずり込まれる恐怖を感じますよね。
そのトンネルの先にこそ、その方にとっての肯定的意図がある。私達の想像力を振り絞って「トンネルの先には何があるのか考えてみる」だけで世の中は大きく変わります。

トンネルの中は暗い。しかしトンネルの先は必ず明るい。その事実は信じて良いし、しかも想像するだけで良いのですから、大きなリスクはありません。因みに世のセラピストやコーチはそのトンネルを歩いて覗きに行きます。凄い仕事ですよね。

その態度によって貴方が安静を取り戻し、相手に示唆を与える可能性がある。「相手の悪意を想像する」態度では何も変わりません。
相手の肯定的意図を探る態度というのは、仮に悪意に見える言動であったとしても、不安を解消したい、自分を大きく見せたい、本当は仲良くしたいなど、その方にとっての肯定的な意図が必ずあると信じて向き合う態度です。多くの場合、その方には他人に対する配慮が欠如していますが、それに対して私達が攻撃をしても解決には向かい難いという考え方です。
当然、貴方にはそれに立ち向かう力が十分にあるという前提です。でもそれを使わない。(核ミサイルは保有してもボタンは押さない、に近いかもしれません)

では、こうすることがどうして組織の幸福感を高め、結束させるのか。色々な観点から説明をしてみたいと思います。


脳科学的観点
脳科学的には、他人の肯定的な反応が私たちの脳に与える影響について、興味深い発見を提供しています。特に、オキシトシンとセロトニンという神経伝達物質が、このプロセスに深く関与していると言われています。

1.オキシトシンは信頼や絆を強化する「愛情ホルモン」として知られており、同僚や上司からの温かい言葉や理解がオキシトシンの放出を促し、チームメンバー間の信頼感を深め、職場での安心感を高めます。
2.セロトニンは幸福感と安定感をもたらす神経伝達物質で、他者からの肯定的な評価やサポートは、セロトニンのレベルを高め、自己価値感や達成感を提供します。

心理学的観点
心理学的には、相手の肯定的意図を認識することで、その相手の幸福感は増大し、ストレスの軽減、自尊心の向上に寄与します。肯定的なコミュニケーションを重視する企業の研修プログラムでは、従業員が互いの価値を認識し、肯定する文化が育成され、これが顧客満足度と従業員のエンゲージメントの向上に直接的に繋がっています。

認知心理学では、他人の肯定的意図を認識することが私達自身の認知の歪みを修正し、集中力を高める効果があるといっています。

仏教的観点
仏教的には、他人の肯定的意図の理解は慈悲と無私の精神を促進します。全ての関係者への慈悲が根底にある企業哲学は、地域社会への積極的な貢献に繋がり、従業員や顧客からの高い評価を得ることになります。

かように「相手の肯定的意図を探る事」は、個人の幸福感の増大、職場での協力と効果性の向上、そして組織全体の生産性の向上に大きな影響を与えます。従業員間の相互尊重と肯定的なコミュニケーションを重視する企業文化は、高い従業員満足度と卓越した顧客サービスをもたらしています。私たちが他人の肯定的な意図を探るとき、私たちはただ単に相手を評価するだけでなく、共感と理解の橋を架け、より強固な組織と共同体を構築しています。

現代社会は、情報の爆発的な増加と急速な変化によって特徴づけられており、このような環境では、相互理解と協力がこれまで以上に重要になっています。私たちは、単に生産性や効率の追求だけを優先させる事なく、相互尊重と肯定的な関係性の構築を通じて、より持続可能で人間中心の社会を築く必要があります。

肯定的な意図を探ることは、この新しい成人の発達段階において、私たちが取るべき重要なステップの一つです。私もその態度をもって生きることを意識しながら暮らしています。常に実践が出来ているわけではありませんが、嘗ての生活に比べると、実感として幸福感が高まっているのは間違いありません。私の周りには人に優しく、能動的で建設的な人が集まっている。昔のように批判すべき人が周りには居なくなっているという感覚です。まだ意識した事が無いという方がいらっしゃいましたら、どうぞ今日からチャレンジしてみて下さい。

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