#スタートアップを図解します|図でハラオチする7つの本質
創業・急拡大期のベンチャー企業がこの10年で「スタートアップ」と呼ばれるようになりました。それは単に新たなラベリングを示すに止まらず、成長メカニズム・エンジンシステムのリバースエンジニアリングであり、資金調達・人材流動も含めたエコシステムの進化であり、ひとつの"産業"としての確立でした。
このように一つの名前・概念で括られた産業に多くの優秀な叡智が集まり、学びが加速度的に深まり、さらにオープン化されることによって自らの足で踏み出したり失敗しなければ体得することができなかった暗黙知が可視化され、解像度が上がり、それらは"一般解"と呼べるものへ昇華されていっています。
そんな「スタートアップ」のプロダクトや組織に関する"一般解"における「服用しやすい処方箋」となるべく、Twitterというクリエイティブな制約条件の塊の中で図解にチャレンジした7つのトピックを、こちらのnoteで紹介したいと思います。
スタートアップの差別化
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補足
グノシーを創業から上場まで導き、現在レイヤーXを牽引する若くしてスタートアップ2周目を突き進んでいる福島氏によるシャープな切り口が特徴の「スタートアップ差別化」論がこちら。
スタートアップのみならず一般的なビジネス戦略・戦術として多くのノウハウが存在するブランディングやマーケティングを代表に、ネットワークエフェクトやデータによるいわゆる"空中戦"とも言える「ハイレベル」な差別化にスタートアップのリソースが集中しがちな環境に警鐘を鳴らす。
派手で内外からも分かりやすい空中戦ではなく、一見地味だがスタートアップの足場作りには欠かせない「顧客理解」と「ファネル改善」を「ローレベル」と概念づけ、このローレベルのやりきりこそスタートアップの主戦場であると位置付けるメタ整理力は流石のひとこと。プロダクトのグロースをハンズオンでやり切った先にようやく見えてくる本質。
参照
福島氏の詳細な解説はstand.fmのこちらのエピソードから。
彼の視座をインストールしたい場合はこちらのnoteも参照に。
成長スタートアップの自己成長則
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補足
私自身がスタートアップ環境3度目の真っ只中であるため、このスタートアップにおける自己成長則は良くも悪くも身を持って何度も実感しています。
まずコアとなるマインドセットが
自己成長=周囲5人の平均
という前提条件。こちらをベースに、成長スタートアップで働く人材の成長サイクルは基本的に「正」のスパイラルで循環しています。そのサイクルにおける3つの要点が
・優秀な人材の流入
・成長機会の多さ
・周囲の相対評価
です。
注意が必要なのが、これが人材成長エコシステムにおける「正」のスパイラルとして機能するためには、そのスタートアップ自身が成長していることです。会社自体が停滞すると、その環境における人材の成長サイクルも停滞してしまうという落とし穴も心に留めておきたい。
参照
スタートアップへの転職を相談された時、必ず「まずこれ読んで」と紹介するnoteがこちら。
スタートアップの成長痛
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補足
急成長するスタートアップが必ず直面するとも言える「成長痛」というメタファーの組織的カオス状態。「まぁ、これも成長痛だから」と一般解的にラベリングして切り捨てる(見てみぬふりをする)のは簡単だが、実際にこの組織的カオスが足枷となり事業成長やマーケット的チャンスを逃してしまうスタートアップも少なくないですね。
多くの場合、具体的な処方箋はその組織フェーズや企業文化によって異なるものの、根本的な「成長痛」のメカニズムはいくつかの構造的原因に帰結するので、今回は2つの成長痛メカニズムを図解しました。この基本診断に立脚すれば、組織的な「新陳代謝」「血流の促進」がいかに重要かが浮き彫りになる。多くの成長スタートアップにおいてこれが前もって備えることができないのは、まさに病気と同じで一度痛い目を見ないと「予防」「未病」に対する強い心理的インセンティブが特に経営レイヤーに働かない、肌感として理解できないというこちらも構造的な問題を孕んでいる。
参照
スタートアップのCEOの役割
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補足
「器」という表現ほどしっくりくるものもない。その会社の成功や成長は、トップである CEO(並びにそのCEOの器に直接的に影響を与える経営陣)の「器」で決まるというは、何十周回ってもやはりそうなのだと思う。また、組織がそうであるように、そのトップに位置付けられるCEOも100人いれば100通りであることは疑いようもない。
なのであれば「一般構造的にCEOにしかできないこと」と、「そのCEOにしかできないこと」のかけ算に、各CEOの時間は集約すべきであり、そのための役割分担、チーム構成としての経営陣、執行メンバーがある。特に成長過程のスタートアップは「儲かる仕組み」がコアエンジンではなく、CEOを中心とした組織の熱量がコアエンジンであることが多い。ゆえに、CEOのエネルギーレベルを常に最高レベルまで保つことこそ、あらゆる荒波を乗り越える上での航海マネジメントなのだろう。
参照
グーグルやツイッターなど名だたるシリコンバレーのメガベンチャーを牽引したイラッド・ギルによる、これ以上ない解像度の高さを誇るスタートアップの教科書。成長過程でぶつかるプロダクト、組織、経営、ファイナンス、全ての暗黙知がリアルな実体験と検証を経たノウハウとして綴られているスタートアップ関係者必読の書。
スタートアップの採用
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補足
ゼロをイチに。1を100に。そうやって何もないところから「何か」を生み出すスタートアップの資産は、やはり「人財」に尽きるでしょう。最も投資すべきは人であり、昨今の人材マーケットの総合的な高まりを鑑みてもそれがマクロにも正しいことを実感させられます。
そんなスタートアップにおいては、採用力は基礎体力です。一時的な飛び道具でも緊急手段でもありません。あらゆる採用手段を念頭におきながら、図解した5つをコアコンピタンスとして維持し、高め続けなければいけません。また、画一的で理想の採用要件を満たす人材の採用ハードルは高まり続けているので、「ポジション・要件・手段」のフィードバックループを回しながら常に最適解を求める継続努力が欠かせない。
スタートアップはなぜ自らを太らすのか
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補足
急拡大する事業の後を追うように、急拡大する組織。事業のKPIが伸びると同時に、伸び続ける社員数。実績と並行して誇示される組織規模。熾烈な競争環境における優劣は、実は「内部環境による自滅」という敗因で勝負がついているケースが少なくなりません。
太り続ける組織がやっかいなのは、"暴飲暴食"が身体の不調とつながる、つまり問題が表面化するのにタイムラグがあるということです。そしてジャイアントキリングを狙うスタートアップにおいて欠かせない小回り、スピード感もメタボな身体では失われていきます。量だけでなく質も維持した健全な体作りは、相当気をつけていないと短期的な衝動と根本的な慣性で維持することが難しいことは、みなさん自らの身体で実感していますよね。"急がば回れ"を自らに突きつけながら、健全な組織作りが広がることを祈っています。
参照
Tech Crunch Japanにも転載頂いた筆者のnoteでより詳細の解説を試みています。
終わりに
"全体を知り、繋がりを知り、削ぎ落とす。"
あらゆる場面で思考のクセとなっている図解脳。具体と抽象の往復作業は、物事の本質を見極め、足元の一手の精度を高めるフレームワークです。コロナが蔓延り、コミュニケーションの複雑性が高まり続ける中で、抽象化・分析力・説明力は総合格闘技であるリーダーシップの必須スキルと言えるでしょう。
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