「塔」2020年8月号(月詠)

落下するペットボトルの速度にて夢より戻るわがたましひは

護られてゐるうちはまだ良かつたが木香薔薇で息ができない

辛うじて私はわたしを騙しつつ砂糖をまはし入れるカフェオレ

適切な言ひ訳として金曜はお持ち帰りのやきとりを買ふ

吊り革が額をつつく 面倒な奴と思はれ出してうれしい

(p.117 山下洋選)

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