「塔」2018年9月号(月詠)

たましひはあぢさゐに似て色彩の膨らむうへに雨のしたたる

夕闇が窓に凭れてゐる内に生きのびる言ひ訳を見つける

台風の眼のごときものわが内の怒りにもあり生ぬるき風

指入れて引き裂くための目印を男の喉は晒してゐたり

湖【うみ】ひとつ干上がるごとき憔悴よわれの脳【なづき】を貫きわたる

(p.120)

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