「塔」2019年8月号(月詠)

すり傷の数を競つてゐた頃のたんぽぽ畦に咲くかへり道

ほんたうは焼いてないのに焼きそばと言ひ張る物へ湯を注ぐなり

倫理的に生きてゐるのでスーパーに時折出逢ふ値引きのお寿司

夏の息かすかに溶けてゐるやうな五月、氷を鳴らすストロー

花火つて聞いてゐるので大抵の爆発なら素直に受け入れる

日だまりに熱うすれつつコンビニのコピーにたまにできる行列

(p.126)

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