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運動時に糖質がエネルギーになる仕組み

糖質は運動時のエネルギー源として、なくてはならないものです。摂り過ぎは良くありませんが、適量の摂取は確実に運動パフォーマンス向上に寄与します。
最適なタイミングや量での糖質摂取を目指す上で、エネルギーになる仕組みを知っておくと役立つでしょう。

そこで今回は、運動時に糖質がエネルギーになる仕組みについて解説します。糖質について詳しく知り、パフォーマンス向上に繋げていきましょう。

■糖質とは何か?

「糖質制限」や「糖質オフ」など、“糖質”という単語は日常でよく聞きますが、厳密な定義をご存知の方は少ないかもしれません。

端的に言えば、糖質は「炭水化物から食物繊維を除いたもの」の総称です。
炭水化物は糖質に加えて食物繊維を含めたものの総称であり、人が消化できる炭水化物は糖質、消化できない炭水化物は食物繊維と呼ばれます。

具体的には、でんぷんやブドウ糖などが糖質にあたり、白米やパン、砂糖などの甘味料に多く含まれています。
ちなみに、糖質の中でもブドウ糖など単糖類やスクロースなどの二糖類は“糖類”と呼ばれさらに細かく分類されます。

■運動時に糖質がエネルギーになる仕組み

糖質の定義について理解したところで、次に糖質がエネルギーになる仕組みを見ていきましょう。

▼糖質はどのように貯蔵され利用されるのか

タンパク質、脂質、糖質は三大栄養素と呼ばれますが、このうちエネルギー源となるのは主に糖質と脂質です。中でも糖質は、運動時にメインで使われるエネルギー源となります。

糖質を摂取すると、筋肉と肝臓で(※1)グリコーゲンとして貯蔵されます。運動時には、まず筋肉に貯蔵されたグリコーゲンから使い始められます。

運動時には、糖質の経口摂取による、血液中のグルコース(血糖)が、まずは主なエネルギー源となりますが、徐々に筋肉中のグリコーゲンが分解され、グルコースとなって、血中に補給されます。そしてさらなる長時間の運動により、筋グリコーゲンが枯渇してくると、残る肝臓に貯蔵された肝グリコーゲンが分解され、グルコースとして血中に送られ、血糖値を保つために使われます。

(※1)グリコーゲンとは、糖(グルコース)が鎖のように繋がり、体組織に貯蔵できる構造になったもの。

▼身体に蓄えられる糖質の量

上記の仕組みから、筋グリコーゲンと肝グリコーゲンを使い切ると、血糖値が保てなくなり低血糖などの症状を引き起こすことがあります。

それならばとたくさん糖質を貯蔵したくなりますが、糖質の貯蔵量には限界があります。余分なグルコースは脂質になって肝臓や脂肪組織に蓄えられるので、グリコーゲンとしてのまま貯蔵はできません。

糖質は肝臓に約100g、筋肉に約400gほどグリコーゲンとして貯蔵できると言われており、カロリーにすると合計で2,000kcalほどになります[1]。
※上記はアスリートの目安で筋肉量などによっても貯蔵できるグリコーゲンの量は変化します。

2,000kcalというと、一般的に成人男性の1日に必要なエネルギー量に相当しますが、脂肪と比べると圧倒的に少ないエネルギー量です。脂質は1gあたり9kcalあるので、1kgあたりでは9,000kcalにもなります。

このように、身体に貯蔵できる糖質の量は非常に少なく、長時間の運動では終盤にエネルギー切れを起こす可能性があります。
そのため、運動時は、糖質を多めに接種することや(※運動直前は血糖値の乱高下を引き起こすのでNG)、運動中にこまめに糖質を補給したりといった対策が必要です。また、運動前のカーボローディングによる筋グリコーゲンおよび肝グリコーゲンの貯蔵が重要になってきます。
さらには、長時間の運動時には、上記糖質が使われる順序を考慮して、うまく貯蔵した糖質を消費できるようにスイッチしていくことも重要になってきます。

■運動時に糖質が不足していないか確認するには

運動時の糖質をうまく消費し、枯渇状態になっていないかを可視化するには、SympaFitアプリがおすすめです。
SympaFitアプリは、持続的グルコースモニタリング装置(CGM)で得られる経時グルコースデータを、運動中のグルコース値をモニタリングし、振り返ることができるので、糖質摂取・消費が適切におこなわれているかを判断する材料になります。

また、運動中のグルコース変動、エネルギーバランス、回復状態のモニタリングにも有用なツールであり、エネルギー切れが起きた瞬間や、原因などを明らかにすることが可能です。

【参考文献】
[1]David H Wasserman Four grams of glucose Am J Physiol Endocrinol Metab. 2009 Jan;296(1):E11-21.