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IoTで気象観測(その5) - データ解説編

前回まで4回にわたって、気象データの観測機器について、ハードウェア、ソフトウェア両面から説明した。

今回は観測された気象データについて、気象予報士として解説をしたい。

改めて整理すると、本システムで観測しているデータは下記の4点である。

1) 気温
2) 湿度
3) 気圧
4) 照度

1)~3)はBME280を搭載したセンサーモジュールで、4)はBH1750FVIを搭載したセンサーモジュールで取得する。観測間隔は5分毎である。

それぞれの取得データについて、以下に説明していく。

気温、湿度

下記は、2020/1/26に自宅ベランダで観測したデータである。青線が気温、赤線が相対湿度である。

自宅_気温・湿度

5分毎の観測であるため、一日の細かい変化をグラフ化できていることがわかる。

また、午前中、気温が上がるにつれて、湿度が下がってきていることがわかるだろう。さらに12:00~16:00くらいに注目すると、気温と湿度の変化が逆の関係になっていることがわかるだろうか。何故か?以下に解説しよう。

相対湿度は、

相対湿度(%) = (大気の水蒸気量[g/m3] / 飽和水蒸気量[g/m3]) × 100

で計算される。

飽和水蒸気量は大気に含むことができる、水蒸気量の最大値で、温度に依存し、温度が高いほど多くの水蒸気を含むことができる。

大気中に含まれる水蒸気量が変わらなかった、つまり分母が変わらなかったと仮定すると、分母の飽和水蒸気量が温度が高くなるとともに大きくなるため、相対湿度は低くなるのである。

そのため、大気中に含まれる水蒸気量が変わらなかったとすると、気温と湿度は逆の動きをする。

照度

下記に、1日の照度の変化を示す。縦軸は照度[ルクス]を対数で表示している。このセンサーで取得可能な照度は最大54, 612ルクスであるが、日中晴れている場合には、これ以上の照度であり、測定可能な照度を超えているため、照度は最大値(54,612ルクス)に張り付いている。

日中、日が差していなければ、20,000ルクス以下であれば概ね曇り空であり、それ以上であれば薄日から晴れ間が広がっている状態である(あくまで、この測器の場合であることに注意)。

自宅_照度

この日の日の出は7時頃、日の入りは17時20分頃。グラフからも夜明け前に明るくなる始め、日没前に向かって暗くなっていくことが読み取れる。

また、午前中は雲が多く、12時前から14時前にかけて晴れ間が広がり、15時~16時にかけては晴れたり曇ったりであることがわかる。

このように日中、晴れ間が出ているか、出ていないかを見て取れる。

さらに、既述の気温のグラフと比較すると、晴れ間が広がっているときに気温が上がっており、曇ると気温が下がっていることがわかる。

当たり前のことではあるが、測定結果から明らかにすることができる。

気圧

最後に、気圧のグラフを示す。ここで言う気圧は現地気圧であり、海面更正気圧(海抜0mの値に補正した気圧)ではない。

自宅_気圧

日照データからもわかるように、穏やかな概ね穏やかな晴れの一日だったので、気圧変化も小さい。

12時30分過ぎくらいに、ポコッと気圧が上がっており、測定エラーかもしれないが、気圧については測定しているデータの中で一番信頼できるデータだ。

何故かというと、気温や湿度は測定場所の周囲の環境に左右されやすいが、気圧は屋外で観測していれば、測定環境にされることはほぼないからだ。実際、概算ではあるが、測定場所の海抜を考えて海面更正気圧に補正すると大阪(大阪管区気象台)の気圧と比較して、測定結果に不自然に感じる値ではない。

一方、気温は20℃近くまで上がっているが、この日の大阪の最高気温は12.5℃。この差はベランダの観測環境の問題である。この点については、詳細について別途述べることにする。

まとめ

安価なマイコンやセンサー類ではあるが、このように測定できていることがわかる。安価にこのように個人でシステムを作って、測定できるようになった意味は大きいと思う。

解説は以上であるが、恐らくIoTでセンサーを使って観測するという記事は山ほどあるが、取得したデータについて触れているサイトはほとんどないのではないかと思う。

次回以降、本システムの課題などについて述べるつもりだ。

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組み込みソフトウェアのエンジニア、最近はAIなどいろいろ開発。学生時代は物理を専攻(素粒子物理)。 気象予報士。でも一番好きなのは天文。大阪在住。本職を気象や自然科学の分野にも活かしたい。実家の家庭菜園ネタも。Twitter(@canopus0601)。

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