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会員組織のチャネル移行時の数値目標はどう設定すべき?

こんにちは、デジタルマーケティンググループの中山です。
長年会員組織を運営していると別の管理ツールへの会員組織の移行や統合、メールからLINEやアプリへの会員チャネル変更の機会が発生します。その際に、どうやって移行を促すかという手法の検討はもちろん重要ですが、どれくらい移行させるかという数値目標の設定にも頭を悩ませることが良くあります。今回は、この移行時の数値目標設定についてお話ししたいと思います。

結論

移行での数値目標「移行後1年間での会員数」は以下の考え方でシミュレーションするとよいというのが今回の結論となります。

1. 移行目標のベースにする指標はアクティブ顧客数
2. 既存会員数を基にした移行率で算出しない
3. 移行先チャネルの特性や状況に応じた調整を行う
4. 移行に合わせた完全新規会員の目標も足す

上記内容で移行会員の数値目標をシミュレーションすることが現実的かつ、打ち手を検討しやすいと考えています。
以下、それぞれの項目について補足していきます。

1. 移行目標のベースにする指標はアクティブ顧客数

既存組織の運営期間が長いほど会員母数が多く、数十万会員やそれ以上の規模となっていると、どうしても既存会員数をベースに考えたくなってしまいます。しかし、その内訳には休眠ユーザーなども一定数含まれているため、既存会員数ベースで目標設定することでハードルが高い目標となってしますことがあります。
そのため、ベースとする数値を企業内で定義しているアクティブ顧客とその実数とすることで実態との乖離が少ない目標を設定することができます。
移行での数値目標は「移行後1年間での会員数」となりますので、
例えばアクティブ顧客の定義/実数が、

直近2年間で2回以上の購買経験がある顧客|10万人

であれば、半分の1年間として5万人

直近6ヵ月に購買経験がある顧客|2万人

であれば、2倍の1年間として4万人
といった数値が移行目標の基準として考えられます。
また、アクティブ顧客はそもそも優先度の高い顧客となるため、移行においても優先的な対象とし、会員化によりコミュニケーション可能な状態とすることが望ましいです。

2. 既存会員数を基にした移行率で算出しない

既存組織の会員数が多いとその何割を移行できるかという考えに陥りやすくなります。しかし、1で示したようにアクティブ顧客をベースに検討し、移行率からの算出は行わないほうが良いでしょう。

LINE会員への移行、アプリ会員への移行などは、よく目にする組織移行のため参考となる移行率がありそうではあるのですが、会員の属性/移行の難易度/旧組織がすぐになるなのかというような緊急度、など個々の状況で異なる変数が多くピッタリな参考値はほぼないと考えたほうがよいでしょう。

3. 移行先チャネルの特性や状況に応じた調整を行う

アクティブ顧客数をベースとした移行目標の基準値を出した後に、以下のような移行先チャネル特性や移行時の状況によってシミュレーションの調整を行います。例えば、会員の10%がシニア層でシニア層の移行ハードルが高いと考えられる場合は、その10%を除外しておくなどといった調整です。

  • 移行先のチャネルがすべてのアクティブ顧客へのアクセシビリティを満たしていているか(シニア層には難しくないか、など)

  • 移行告知がどれくらいリーチできるか

  • 移行に伴ったキャンペーンやクーポン配布などダイレクトなメリットが存在するか

4. 移行に合わせた完全新規会員の目標も足す

1~3は既存会員をいかに取り込むかという点での目標値となりますが、完全新規についても目標を立てておきます。こちらについては、年間の新規顧客数の想定が付く場合はそれをベースに何割の会員化を目指すかといった考え方で問題ありません。

ただし、既存会員組織の規模が十分に大きい場合は、優先度としては新規会員より既存会員・既存アクティブ顧客の取り込みとなるような目標値として考えるようにするとよいかと思います。

会員組織移行時のターゲット属性別での優先度

上記のように数値目標を決めると、ターゲット属性別で目標設定されている状態となります。このようにしておくことで、移行時の成果を見ながら移行施策のチューニングが行いやすくなります。

1.アクティブ顧客
まずはこちらを取り込むことを最優先に考え、目標値への進捗を注視する

2.新規顧客
購買時などの接点でどれだけ登録を促せるか、旧組織時の登録割合との差が出ていないかという点を注視する

3.その他アクティブ定義に当てはまらない既存顧客
母数が多いためこの層を取り込めないかという点が議論に上がりやすいが、施策実施の費用対効果が悪い場合が多い。完全に無視はしないものの、積極的に施策実施をするかは余力の有無を含めて考慮する。

さいごに

今回は会員組織の移行時に悩みやすいポイントについて取り上げてみました。このような組織の移行や目標設定、今回の指標のベースとなるアクティブ顧客の定義のための既存会員分析などに課題感や悩みがあればお気軽にご相談ください。


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