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『枕草子』朗詠 第十段「山は」

名にし負う、名所の山を列挙している段。
この時代、女性は行動範囲が限られるので、自分で訪れ、じかに眺めたことがあっての感想は少なく、
だいたいは、名前から連想される情趣や、その地を訪れたことがある人から聞いた話の印象、
そして、歌枕として、趣のある和歌に読まれ、屏風絵などに描かれたイメージで、「いいなぁ」と連ねているのだと想像します。

歌枕は、風景や情趣が、実際にそうであるかどうかに限らず、地名から連想されて言葉の連想や、『万葉集』その他、古歌に読まれた固定観念を踏襲しているもの。
定子中宮を囲む女房たちのサロンで、「山と言えば、何かしら?」とテーマにして、知る山の名、趣ある歌に読まれていいなぁと思う山の名を、連想しながら楽しみつつ、挙げている様子を思い浮かべます。

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