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親友の結婚


真冬にも関わらず
柔らかな陽射しに包まれ
ぽかぽか陽気だったある日のこと。
高校からの親友の結婚式に参列した。

結婚の報告を受けた時、
多少は寂しい気持ちが湧き上がるかと思ったが
心から"おめでとう"と伝えた。
そう思えた自分、
彼女のことが大好きで
彼女を大切に思う自分のことを、
ほんの少しだけ好きになれた。

そして、交友関係がとっても広い彼女から
友人代表スピーチを任せてもらえた。
この上ない大役への重圧、
緊張する気持ちもあったが
それより嬉しさが優った。

内容を考えるため、
ひとまずテンプレや文例を読み漁る。
検索して出てくるものを読むと、
「◯◯(新郎)さん、△△(新婦)のことを
よろしくお願いします。」
という一文が頻繁に出てくる。
「いや、任せる気ないからなあ…
新婦のこと渡すつもりないしなあ…」と溢れる対抗心。
結局、頑なにその一文は入れなかった。

ある程度形作った後は修正作業。
タブーとされる忌み言葉や重ね言葉を除き、
私がどんなに
"大好き"で"素晴らしい"と思うところであっても、
少しでも彼女のマイナスイメージになる
可能性があるものも除き…
結果、とても当たり障りのない文章に。

「もっともっと彼女の素敵なところ
沢山知ってるのに!!!」
実家で怒り狂う私。
(その消化不良を解消するため、
『私と彼女の思い出100』を
書き綴ることになるのは、また別のお話。)

何度も何度も練り直し、
幾度となく練習して挑んだ
カンペなしのスピーチ。
口が震え、声が震え、
拙いスピーチではあったものの
なんとか形になった…はず。
緊張のあまり
その時間の記憶がすっぽり抜け落ちているので、
スピーチについてはこの辺で。



さて、結婚式はというと。
新郎新婦が"今まで出会った人達との繋がり"を
いかに大事にしているかが伝わってくる式だった。

コロナ禍で縮小傾向となった昨今の結婚式。
だが今回は参列者がとても多かった。
その上、沢山の人に出番があり、
写真での映像出演があり…
知り合いがいなくて1人で参列している人もいる中
各々が晴れやかな顔で
「いい式だったね!」と言っているのが心に残った。



驚いたのは笑いのある挙式だったこと。
披露宴は和やかであることが多いものの、
挙式はどちらかというと厳かな雰囲気のイメージ。
リングボーイとして成人男性が呼ばれた時は
めちゃくちゃ笑ってしまった。

今回は人前式で、
参列者が各々考えた 【誓いの言葉】から
くじ引きで選ばれたものを誓うというスタイル。
私は「彼女を置いていくな!」という思いを込めて、
新郎に"彼女より長生きすること"を
誓ってもらおうと思ったのだが…
くじ運がなかったようだ。

新郎側のゲストが考えた、新婦の【誓いの言葉】。
なんだか古い価値観から
考えられるような言葉だったので、
一瞬渋い顔をしてしまった。
"家で新郎を癒すこと"という誓いの言葉に関しては、
隣に座っていた友人が
「家から一歩外に出れば癒さなくていいらしい」
と言っていて、なるほどと笑った。
まあ、2人が皆に祝福されていたなら
形は何だっていいのだ。

父上とバージンロードを歩く彼女は
緊張からか、すこぶる真顔だったけれど、
(思わず、「笑ってー!」と声をかけそうになった)
彼と2人で歩く彼女はとってもいい表情をしていた。
彼ららしい笑顔溢れる挙式。



後に続く披露宴では、
新郎新婦が式場の決め手にしたという
美味しい料理に舌鼓。
料理にも2人の思い出が組み込まれていて、
なんと手の込んだ演出…
前菜からメイン、デザートに至るまで
どれも美味しく夢心地。

披露宴会場は、
2人の醸し出す雰囲気そのままの
和やかで微笑ましい空気感。
こちらまでニコニコ、
いや、ニヤニヤしてしまうような…
新郎新婦の幸せそうな笑顔が忘れられない。


披露宴の定番、【生い立ちビデオ】。
一般的には、幼少期からの写真が次々現れて
下の方に少し説明が出てくる程度。
しかし、
今回の式で流れたのは写真と文字だけではなく
"写真を見ながら新郎新婦が話している様子"。

通常は
「お姉さんがいるんだなあ…」「弓道部だったのね」
程度の感想で終わってしまいそうなものだが、
新婦の写真を見て笑う新郎や、
新郎の写真を見てツッコむ新婦がなんとも可愛らしく…
2人と一緒に写真を見ながら
わいわい話している気持ちになる。

ちなみに。
私が新婦と共に撮った写真も沢山出てきたが、
学生時代の一枚も、旅先での一枚も、
変なポーズで写っていた。
(動画作成を請け負った共通の友人チョイスか?)
私たちらしいと言えば、私たちらしい。
上映後に、新郎新婦と同じポーズで
写真を撮ることができたのもいい思い出となった。

そして、
個人的に1番印象深かったのは、
参列者に配られた冊子だ。
一般的には
席次表と新郎新婦の簡単なプロフィールが
配られるのみ。(だと思う)

ところが、
周囲の人々が2人を一言で紹介するページ、
生活が垣間見えるお手製料理のページ、
参列者から新郎新婦へのQ&A。そして対談!
クリエイティブなことが好きな彼女らしい超大作。
圧巻のクオリティ。
時間がない中よく準備したなあ…と感心してしまう。

新郎側のゲストへ、新婦がどんな人なのか
新婦側のゲストへ、新郎がどんな人なのか。
分かりやすい紹介になっていることはもちろん、
「あの子こういうところあるよね!」と
あるあるとしても楽しめる。
2人の馴れ初めや、結婚指輪購入時の裏話まで。
盛りだくさんの内容だった。

何より、
2人が周囲にどれだけ愛されているか、
2人がどれだけ互いを思いやっているかが
伝わってきて、
なんとも微笑ましい一冊。
これから何度も何度も読み返してしまいそうだ。

予定はないけれど、
もしこれから先、結婚することがあったら
冊子を作りたくなってしまった。
(何度も言うが予定はないし、それほどマメじゃない)



幸せビームを浴び、アドレナリン大放出した
式直後のこと。
面識のない、新婦の友人たちから話しかけられ、
「◯◯さんですよね?!いつも話聞いてました!」と。
私はいつのまに有名人になったのだろうか…
彼女が周囲に私のことを話してくれるのは
とても喜ばしいのだけれど、
余計なことを話していないことを祈るばかりだ。
初対面にも関わらず大いに盛り上がり、
ツーショットを撮り、解散した。


式場を後にしたら、各々二次会へ。
私は高校の同級生数人で居酒屋に集まり
2時間ほどグダグダおしゃべり。
新郎新婦も顔を見せてくれた。
2次会の会場がいくつもある状態なので
ハシゴに次ぐハシゴ。
てんてこ舞いのご様子だったが、
笑顔を絶やさず
参列のお礼を伝えてくれた。
こんなに幸せな気持ちにさせてもらったのだ。
お礼を言うのはこちらの方である。


あれから数日経ったが、
挙式、披露宴の空気感が頭から離れず
未だ余韻の中におり、
これを書き記した次第だ。

親友へ。
 出会って14年程経ちますね。
 私にとってあなたは
 "親友"と呼ばせて欲しいと願ったはじめての人です。
 いつもあなたの存在に救われてきました。
 本当にありがとう。
 そして、結婚おめでとう。末長くお幸せに。
 これから先もずっとずっと大好きよ。
 出会ってくれて、友達になってくれてありがとう。
 心からの感謝と愛を込めて。

 P.S.愛が重くてごめん