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Covid-19検査を受けるハメに…

陰性だった直後にこれを書いているが、まだ手汗をかいている。

私の住んでいるNSW州では、毎日の感染者が10名前後でなんとか抑えているという状態が続いている。他の国は知らないが、オーストラリアでこの数字はけっこうオオゴトなのだ。

そして、ついに私も検査をしないとならない羽目になった。

8月初め、私はあるレストランでランチを取ったのだが、その施設内にあるフィットネスセンターで感染者が出て、そこがクラスターになっている。

(フィットネスセンターなんて、器具をシェアするし、屋内で換気悪いし、もちろん運動してるから飛沫が飛び散るし、なんで皆そこまでするのか…そこら辺走っときゃあいいじゃん、とランナーの私は思うのだが、まあそれはそれとして)

こういうケースがあると、ジムは閉鎖されて徹底的に清掃をしなくてはいけない。また、これを受けてこちらの保健局はかなり細かいメッセージを出す。

「何月何日、どこそこの場所に行った人は検査に行くように!」って感じのメッセージが、ウェブサイトやSNSに頻発する。下のツイートが、もろにそれ。

めっちゃ細かいでしょ?

最初は要検査の対象はジム利用者だけだったので、オレはジム使ってないし、一人でメシ食ってすぐ帰ったからまず感染はしてないだろ…と楽観していた。症状も出てないし、毎日のように走っているので健康極まりない。

ところがしばらくして、検査対象者が、「施設全体を訪れた人」に拡大した。

私も保健局、施設の両方より検査を受けろというメールが来た。なんか、自分が犯罪を犯して逃走中で、それを追う包囲網が狭まってきているような気持ちがしたなあ。

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そう、オレの行動は当局に察知されているのである。というのも現在オーストラリアでは、レストランやパブに入る際には名前や携帯番号を報告しないといけない。最近はQRコードをスキャンして、飛んだリンクに個人情報を入力するようなシステムになっているが、それをしなければ入れてくれない。

プライバシーがなくなるなあ、とは思うが、まあこのおかげでもし感染者が出たら誰が同じ場所にいたのかを追跡できるので文句は言うまい。

オーストラリアはそれなりに政府を監視する勢力(メディアとか野党とか)があるので、個人情報が悪用されることはないだろうと、個人的には信用している。

私がこの施設に行ったのはかなり前なので、もし感染したとしても既に治っていそうなものだけど、その間いろいろな人に会っているので、ダメージは既に与えてしまっている可能性もある。

もし検査が陽性になったらどうしよう、と思うと気が重い。

なんといっても "No Worries, mate!" が口癖の国民性なので、感染者がイジメられるといったことは比較的起こりにくいと思うが、それにしても自分の親友などに悪いニュースを届けなくてはいかんのか、と思うと気が重い。

先も述べたように自分には症状が出ていないので、このまましらばっくれてやり過ごそうか、という考えが実はけっこうあった。

ただ、いつまでも白黒つけずにほおって置くのもこちらの精神上よろしくない。鉄は熱いうちに打て、ではないが被害を最小限に抑えるべく協力するのは市民としての義務、とも考えた。

…ということで、月曜日に思い切って検査に行ってきた。

「心当たりのある人は検査してね!」と強調しているだけあり、オーストラリアでは検査所がたくさんある。病院に行かなくても、仮設検査所が町の公民館のような場所にあったり、ドライブスルーの検査所だってある。

私は自宅から徒歩5分の検査所に行ってきた。ここは毎日9時から4時まで検査ができ、無料だ。

朝一番で行ったので検査希望者は3人ほどしかいなかった。ID代わりの運転免許証を提示し(といっても向こうは触りたくないので中空にてホールドする)、名前や電話番号を受付の人に告げ、間隔を空けて並ぶ。

「症状はあるの?」と聞かれたので、

「いや、ありませんがホットスポットに行っていたんで…」と説明てそれで終わり。検温したりとかはなく、気になる人は誰でも検査できるようになっている。

受付の人も検査をした人も防護服にフェイスシールド、マスクをした完全防備の看護師で、ドクターはいないようだった(もしかしたらどこかに詰めているのかもしれないが)。

実際の検査をする場所は入り口の軒下、半分屋外のオープンスペースだった。室内でやると換気とか消毒が大変だからかな、と思うが、おかげで顔はバレバレ。でも皆さん気にしていなく、フツーのことをやってますよ、という感じだった。

検査の仕方は、鼻に綿棒をガーッとめちゃくちゃ奥まで突っ込まれるよ!と聞いていたし、私の前の人が「うぐっ!」と言っていたのでやっぱりそうか、とビクついたが、まあ出血することもなく無事完了。プールで鼻から水を飲んでしまった時の感覚に近いかな?場合によってはかなり行列ができていることもあるが、今回はすべてのプロセスが15分ほどであっけなく終わった。

ただ、これからがもっと気の重い時間。検査結果待ちだ。

検査をしたら、結果が出るまで家から出てはいけないというお達しなので、それを遵守する。これを守らなければヘタをすると、確か罰金を取られるんでは…。検査の結果は24-72時間中に出るとのことで、早い場合は翌日にも出るらしいが、この日は丸一日巣ごもりが決定。

結果報告は、セーフの場合はその旨がSMSで送られるが、アウトの場合は、保健局の担当者から電話がかかって来、今後の対応を話し合うそうだ。

…ということは、電話が鳴った場合はめっちゃくちゃ焦るなあ。運命の電話…こんなもん受けたくねーよ。

例えて言えば、入学、入社試験の結果待ちの気分に似ているが、この場合は、「最悪」か「ニュートラル」の二者択一という、あまり嬉しくない結果待ち。

当日には結果は出ないだろうからここはどーんと構えて過ごそう!…なんて思えるはずもなく、落ち着かない気持ちでその日の晩を過ごし、さっさと寝ることにする。

それなりによく眠れたが、やはり早く目覚めてしまったので家事をこなしていたが、やはり携帯をチラチラ見ながらおどおどしていた。通知が来るのは早くても9時以降だと思っていたが、それまでの時間の流れが遅かった…。

「メッセージの着信音でありますように!」

そんなときに限ってほかのSNSの着信があったりして、紛らわしいなあ~。

すると、9時半頃にSMSの着信音。

「はあ~、セーフかあ~~~」と安堵するが、念の為にメッセージを読む。

普段は、NEGATIVE という言葉はもらいたくないものだが、この時ばかりは嬉しい単語だった。

でも、真面目な話を最後にすると、このオーストラリアのシステムは他の国と比べると大げさかもしれない。

が、我々はこの国に住んでいるので、この国のやり方を信用して従わないとどうにもならない。そしてオーストラリアのやり方はもちろん賛否両論あるけれども、ぶれてないのが一般市民としてはありがたい。

ともあれ、これから祝陰性ランをし、食料を買いに行かねば…。