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短編小説

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2018年11月の記事一覧

金曜日に君はもう来ないので

※「月曜日が好きだと君は言うけれど」のネタバレを含みます。

 死のうと思っていた。飛び降りる為の建物も見繕っていたし、妹宛の遺書も書いていた。この決意が単なる一過性の嵐でないことははっきりしている。俊月が抱えていたのは、何処に見せても恥ずかしくないくらい切実な希死念慮だった。
 ドラマチックさまで加味してもらえるなら、いつもは冷たいオーディエンスだって手を叩いてくれただろう。今まで何にも褒められ

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