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#小説
春嵐花冠のメイストーム
※「キネマ探偵カレイドミステリー 輪転不変のフォールアウト」のネタバレを含みます
【晩春の頃に降りる霜を、最後に降る霜とし「八十八夜の別れ霜」と呼ぶことから、バレンタインデーから八十八日経った五月十三日をメイストームデーと呼び、別れを告げる日とされている。】
俺の通っていた高校では、進路決定に結構な重きを置いていて、ホームルームの時間を使って何やら将来を考える時間を作っていた。大学の研究だ
逆行可能のエイプリルアクト
嗄井戸の部屋からスナッフフィルムを見つけてしまった俺は、色々な捜査をした末に、過去に戻ることにした。誘拐事件さえ起こる前に解決してしまえば、全ては始まる前に終わったも同然、無病息災の色即是空だ。
過去に戻る方法については心配要らない。
なんと【任意の人間】が引き起こした【任意の理由】で、映画研究会? 部? のデロリアンが本物になったのである! 俺は文系だからわからないが、そういうこともあるら
死体埋め部の停滞と展望
「告白する時って絶対イケる! って確信がないと出来なくない?」
「俺今彼女いるんで」
「何それ。自慢? 牽制?」
「どっちもです」
「お前ね、先輩と血で血を洗うような真似していいの? 近頃の若者はすぐキレるんだからね。俺は嫌だなぁ、可愛い後輩を山に埋めんの」
「キレるの度合いがあまりにもじゃないですか? 振られますよ」
奈緒崎はそう言って、やる気なくテキストを捲った。試験は四限に迫っている。頭に
不可思議不可視のオーディエンス
「正直な話、もう来ないかと思ってたよ。君はレントンのことを知ってるかな? あの感動的なラスト! 真っ当な生活を手に入れる為に、彼は今までの全てを捨て去るんだ」
一週間ぶりに会った嗄井戸は、開口一番にそう言った。夏本番だというのに、真っ白な肌も髪も日差しに真っ向から反抗しているように見える。でも、それも何だか懐かしいから不思議だ。ある程度間を空けると、何でもよく見えるという例かもしれない。
「何言