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書評 「敗者のゲーム」を読んで

 本書の結論について短めにまとめてみました。

 本書が伝えたい結論としては、「資産運用において市場平均と連動するインデックスファンドが最も合理的である。」ということになります。

 この結論について2つの理由を持って説明します。

 一つ目、市場を形成しているのは多くの機関投資家と少数の個人投資家である。

 機関投資家とは銀行や保険会社、投資信託やETFのファンドもそうです。あなたが投資信託やETFを購入し資産運用しているのであれば、資金の出処はあなた(個人)ですが、実際に銘柄を選定し市場に影響を与えるのは機関投資家ということになるのです。
 そして、機関投資家は利益を出すことを第一目標に資金を運用します。安定を売りにしたファンドであっても、一定程度の安定性を保った上で最高の利益を目指すのです。
 つまり市場を形成しているのは、投資において圧倒的な知識・経験・情報を備えた投資機関家の集団が、最高の利益を追い求めた結果であると言うことなのです。

 二つ目、機関投資家(プロ)が形成した市場を上回るということは容易では無い。

 一つ目の理由で述べたように市場は多くの機関投資家、いわゆる投資のプロが形成しています。彼らは投資における知識と経験が豊富であり、日々市場の動きを観察をし、様々な企業のトップと直接会って投資に役立つ情報をいち早く仕入れることまでしているのです。機関投資家達は投資の世界に身をおく、投資界のトップアスリートと言えます。あなたは個別の銘柄選定でそんな彼らに勝てる自信がありますか?

 また、個別に株は買わずにアクティブファンドに投資をしている人もいるでしょうが、その方法についても否定します。
 アクティブファンドも機関投資家が運用しており、短い期間に置いてインデックスファンドを超える成績をあげるケースもありますが、長期間の運用になるとその割合はグッと低くなってしまいます(10年で3割、20年で2割程度)。
 その理由は前述の通りで、投資のプロフェッショナル集団が最良であると判断して形成された市場を、さらに上回る結果を出すことが容易ではないということです(さらに割高となる手数料分も上乗せして上回る必要があるとなおさら)。
 加えて言うと、アクティブファンドがインデックスファンドを上回る結果を出した時というのは最良と考えられ形成された市場がミスを犯していた時のみであり、投資のプロフェッショナル集団を相手にそのファンドだけが勝ち続けることは極めて困難なのです。
 たしかに、長期で市場平均を上回るアクティブファンドは存在しますが、そのファンドを見分ける方法が存在しない以上インデックスファンドの選択が最も合理的であるということになるのです。

 上記をふまえたまとめとして、本書の題名「敗者のゲーム」とは、ミスに繋がる行動を重ねたものが負けるという意味です。反対に「勝者のゲーム」成功に繋がる行動をとったものが勝つということです。
 投資の世界は「敗者のゲーム」であり、私たちは市場を超えるリターンを求めてミスを犯す必要はないと言う投資に対する向き合い方を教えてくれる一冊となっています。

※インデックスファンド:市場平均に連動した運用結果を目指す投資商品

※アクティブファンド:市場平均を上回る運用結果を目指す投資商品

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