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書評「プライベートバンクは富裕層に何を教えているのか?」

 今回、具体的な投資の方法ではなく資産運用の考え方について感じたことをまとめました。

 まず、プライベートバンクとは何なのかをお伝えします。プライベートバンクとは金融資産1億円以上の富裕層のみを対象として資産運用のお手伝いをする金融機関のことを指します。日本の世帯数約5,000万世帯のうち約100万世帯が金融資産1億円以上の富裕層と言われており、その、日本の上位2%の富裕層に向けて最適な金融商品や節税対策を提案したり、さらには顧客が経営者の場合は事業成長のサポートといったサービスまで行っているのです。

 このような富裕層のみが受けられる特別なサービスを行う担当者(プライベートバンカー)は、顧客それぞれの資産状況やライフプランに応じて中長期的な視点から最適な金融商品を提案できる優秀な人材であり、また、他にもポートフォリオマネージャー・弁護士・税理士・といった専門家が結集したチームが一生のお付き合いとしてアドバイスをしてくれるのです。

 上位2%の富裕層のみが優秀な資産運用のプロから受けているアドバイスとはどんなものなのか?この「1億円の壁」の向こう側を覗いてみると、驚くほどアナログ(良い意味で人間的)で、しかし本質を捉えたものだと感じました。

 プライベートバンカーは以下の流れで顧客にアドバイスを行い、信頼を勝ち得ていたのです。

1.顧客について知る(資産状況に加えてリスク許容度や投資の考え方)

2.顧客の課題を知る(子供の教育、相続対策、事業承継等様々)

3.最終的なゴール・目的を知る(なぜそのお金が必要なのか、将来どうありたいのか)

4.1〜3を踏まえたうえで最適な金融商品の提案(リスクとリターンの最適化)

5.定期的な運用結果の報告(必要があれば運用方法の変更も検討)

 ただ単に「お金を出来るだけ増やしてくれ」と言われれば、ハイリスク・ハイリターン運用を実行することもできますが、万が一運用が失敗した時は取り返しの付かないことになります。プライベートバンカーは、顧客それぞれに対してどの程度の損失を許容できるのか?運用期間はどのくらいなのか?何を成し遂げるためのお金なのか?を知った上で提案を行わないと顧客満足に繋がらないことを知っているのです。これは私たち個人の資産運用にも同じことが言えるのです。

「人生とは自分という会社を経営するようなものだ」

 この言葉は著者の口癖として紹介されたものです。

 世の中には色々な会社があり、会社の規模も違えばそれぞれ経営方針も違うように、私たち個人においても、資産規模も違えば様々な人生目標があると思います。自分の目標を達成するための手段として、自分に合った資産運用を行うことが本質であり、最も欠けてはならないことだと感じました。

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