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【役立つ英文法】 強調構文(分裂文)に含意されること

 「強調構文」をどのように理解していますか?「強調構文」というと,形式的な側面を中心にして,たとえば次のように教わることが多いと思います。

強調したい名詞(句)や副詞(句)を "it is … that〜" の間に挟んで残りすべてを that 以下に回すことで,「〜するのは(他でもない)…だ」という意味を表す。

たとえば,

The boy plays baseball in the park.

の "the boy" を強調したいのであれば,

It is the boy that plays baseball in the park.

となるし, "in the park" を強調したいのであれば,

It is in the park that the boy plays baseball.

となります。

 このように,「強調したい部分」と「それ以外の部分」を "It is … that 〜" で挟んで分裂させることから,「分裂文」とも呼ばれます。
 「強調構文」という名称は,意味的側面に焦点を当てた用語であるのに対し,「分裂文」という名称は,形式的側面に焦点を当てた用語です。

 これが,もっとも基本的部分の説明ではないでしょうか。

 今回は,強調構文(分裂文)の意味的側面をさらに深めます。

(1) I love you.
(2) It's you I love.

 上記の(1)と(2)はどのような違いがあるのでしょうか。(2)の強調構文(分裂文)では,強調語句に前景化し(焦点を当て),

「他にはいない」


というニュアンスを加えます。つまり,(2)では「私が好きなのは,あなただけ」という意味を含意します。一方で,(1)では「私が好きなのはあなた(他にも好きな人はいる)」ことを含意します。

 これを踏まえると,次のような文は誤りということになります。

(3) It was Kyoto that I didn't visit.
(私が行かなかったのは,他でもない京都です)

 強調構文(分裂文)を使うと,「that 以下は強調部分しかない」ということを含意します。しかし,私が行かなかった場所は京都以外にもあるはずです。よって,(3)の文は誤りということになります。

 少し意味的な側面を深めると,一見例外とみえる現象も体系的に整理できます。

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